2013年12月31日火曜日

大晦日に寄せて K.379 ヴァイオリン・ソナタ ト長調 第2楽章

2013年最後の1日です。

第2楽章は主題と5つの変奏、そしてコーダで構成されています。
主題は愛らしく親しみやすいメロディで始ります。
第1変奏はピアノだけで演奏されます。第2変奏はバイオリンの3連符で勢いよく始ります。
その後3つの変奏が続き、最後に主題が再度現れ曲を締めくくります。

ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K.379/第2楽章 Andantino cantabile

余談
この曲に関してモーツァルト研究家のアインシュタインは次のように述べています。
「壮麗で激動的なアダージョによって導入され、やや市民的で気楽すぎる変奏曲によって結ばれ、ト短調の情熱的なアレグロを持つ。」
『やや市民的で気楽すぎる』と評しているこの変奏ですが、私はとても好きです。
モーツァルトの変奏曲は、変幻自在で無限の創造性を感じさせてくれて何度聴いても飽きることはありません。

今年は love mozart love にお付き合いいただきありがとうございました。
(休眠の日々が多く、気まぐれな更新ですみませんでした。)
来年も愛するモーツァルトの音楽をたくさん聴いて、充実した1年にしたいと思います。
その魅力を少しでもお伝えできるよう、このブログも出来る範囲で更新させていただきます。
それでは良いお年をお迎えください。

2013年12月30日月曜日

K.379 (373a) ヴァイオリン・ソナタ ト長調 第1楽章 

新潟西海岸の松林
2013年も残すところあと2日となりました。
最後に1年を振り返りながらこの曲を聴いてみます。

数多いモーツァルトのヴァイオリン・ソナタの中でもK.379は異彩を放っています。
2楽章形式で、第1楽章は冒頭のアルペジオに始る壮麗で長いアダージョの序奏の後に、ト短調のアレグロが続いて、ドラマチックで刺激的な構成になっています。
1781年4月にコロレド大司教主催のザルツブルク宮廷音楽家による音楽会のために書かれたといわれています。

ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K.379/第1楽章 Adagio - Allegro

◆余談◆
私は就寝の際にCDをかけながら眠ります。ほとんどの場合モーツァルトの室内楽です。特にヴァイオリン・ソナタは睡眠にうってつけのようで、気持ちよく眠れて目覚めも爽やかです。
特にこの寒い時期は電気毛布に暖をとり、モーツァルトの室内楽を抱きしめながら眠る感覚は何ものにも替えがたい至福の時です。
ほとんどの場合、第1楽章の途中で眠ってしましますので、翌朝余裕があれば続きを聴きます。

2013年12月29日日曜日

K.496 ピアノ三重奏曲(第3番)ト長調 第1楽章

新潟市西蒲区 角田山を望む
今年も押し迫ってまいりました。
「496」という数字が先日のBSスペシャル「神の数式」に出てきたので、今日はK.496を聴いてみます。

作曲されたのは1786年、「フィガロの結婚」を作曲した年に書かれました。
前作のピアノトリオ K.254からほぼ10年経過して作られたこの作品は、ピアノの伴奏という役割が主だった2つの弦楽器が活発に動き、「三重奏」の名にふさわし充実した構成になっています。特に、チェロが他の2楽器と対等に扱われる第1楽章の展開部はこうした変化を明確に示しているそうです。

ピアノ三重奏曲ト長調 K.496/第1楽章 Allegro

余談
数字を見ると、なんでもケッヘル番号に結び付けてしまうのはモーツァルト・ファンの性(さが)であります。
500円の買い物をして525円払うと「アイネクライネ」を思い起こすのは私だけではないでしょう。(4月からは540円になるのでアダージョ ロ短調になります。その先は交響曲ト短調です。)

ところで、先日再放送された「神の数式」は数式の内容は門外漢でしたが、最先端の物理学をわかりやすく解説した秀逸な番組で夢中で見させていただきました。
その最終回で話題になっている超弦論の数式を詳しく展開していくとこの「496」がいたるところに現れるのだそうです。
この数字は完全数で、その約数(自身の数以外)の和がその数に等しい数字なのだそうです。なんとも不思議で神秘的な結果です。自然界の仕組みの奥深さにただただ感嘆するばかりです。

モーツァルトの「496」はこの曲ですが、モーツァルトの場合はどのケッヘル番号も完全数だと思います。

2013年12月6日金曜日

K.216 ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 第2楽章

無事に命日が過ぎました。
毎年12月5日は何か特別なことをしようと思ったこともありましたが、やはり心のおもむくままに大好きなモーツァルトの曲をひとり静かに聴き入ることが一番ぴったりするようです。
なんとなく心がほっとする週末、今日はヴァイオリン協奏曲(第3番)を聴いてみます。
以前も取り上げて第1楽章を載せましたが、今日は第2楽章アダージョを聴いてみます。
伸びやかなヴァイオリンの繊細なメロディで始るこの楽章は、終始穏やかに流れ、控えめに寄り添うオーケストラのハーモニーが見事に調和して天国的な安らぎを感じさせてくれます。

ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216 第2楽章 Adagio

余談
 モーツァルトのヴァイオリン協奏曲はこの3番で飛躍的な発展を遂げたといわれています。 わずか3ヶ月前に書かれた第2番と比べると確かに成熟した様式美があり、奥深い豊かな表現が聴くものを魅了します。
この年に第5番まで書き上げたモーツァルトはその後はヴァイオリン協奏曲を一切書きませんでした。ヴァイオリン・ソナタは長い間にわたり数多く残していることを考えるとちょっと不思議に思われますが、ご本人的には極めてしまったのかもしれません。

2013年12月5日木曜日

御命日に寄せて K.581 第2楽章

今年もこの日が巡ってきました。
あなたがこの世を去られてから222年の歳月が流れました。
天上界でお健やかにお過ごしのことと拝察致します。

あなたが去られてから、あなたが残して下さった音楽の数々は世界中の人々に愛され続けています。

この星の上であなたの音楽が流れない時は一瞬たりともありません。
数え切れない人々があなたの音楽の美しさに酔いしれ、生きる力をいただいております。

この世に生を受けて、あなたの音楽に巡りあえたことの幸せに感謝せずにはいられません。

これからもずーっとずーっと楽しませいただきます。
先生もますますお元気でお過ごしください。

モーツァルト様へ


クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581/第2楽章 Larghetto ニ長調

2013年12月1日日曜日

K.239 セレナーデ 第6番 ニ長調 「セレナータ・ノットゥルナ」

1776年1月、20歳を迎えたモーツァルトは、その前後の2年ほどの間、ザルツブルクに腰を落ち着け、宮廷音楽家としての職分を守りつつ、軽い実用的な作品を書いています。
セレナーデ、ディヴェルティメントといった社交的・娯楽的なジャンルの作品が多く残っていて、この曲もその中のひとつで、親しみやすい明るい曲想で広く親しまれています。
「セレナータ・ノットゥルナ(Serenada Notturna)」の表題は、父レオポルトが自筆楽譜に記入したものだといわれていますが、定かではありません。楽章数がわずか3つしかないこと、管楽器が省略されていることなど、一般のセレナーデとは異なった特徴があります。

セレナーデ 第6番 ニ長調 K.239/第3楽章 Allegretto ニ長調

余談
久しぶりに「セレナータ・ノットゥルナ」を聴きました。
毎日、鉛色の低く垂れこめた曇天を見ていると、ついつい短調系の曲に手が伸びますが、この曲のように屈託のない明るい曲は心を晴れ晴れとさせてくれます。モーツァルトの真骨頂です。

2013年11月30日土曜日

K.279 ピアノ・ソナタ(第1番)ハ長調 第1楽章

モーツァルトは生涯で18曲のピアノ・ソナタを残していますが、この曲はその第1番です。

この頃「ピアノソナタ」というジャンルはまだ新しく、ピアノフォルテとの出会いや、ヨーゼフ・ハイドンとエマヌエル・バッハの作品との出会いに触発されて作曲したとも推測されています。1775年ミュンヘンで書かたれ「デュルニッツ・ソナタ集」と呼ばれる6曲のソナタ集の第1番でもあります。

ピアノ・ソナタ(第1番)ハ長調 K.279 (189d)第1楽章 Allegro ハ長調

余談
あれほどの早熟の天才モーツァルトが、19歳までピアノ・ソナタを書かなかったことは意外に感じられます。
同じ時期に交響曲は既に30曲くらい書いています。
なぜこのジャンルの作品の誕生が遅かったのか。モーツァルト研究家アインシュタインの言葉を借りれば

『モーツァルトははじめのうちはピアノ・ソナタまたは変奏曲を書きとめる必要を感じなかったが、それは、彼がそういう曲を即興演奏したからである。だから、1766年のはじめハーグで出版された変奏曲(K.24, 25)は、天才児の即興演奏の公開された記録にほかならない。ごく僅かあとの数曲のソナタは、一時は姉が所有していたが、失われてしまった。四手のための作品はどうしても書きとめられなくてはならないので、そういう数曲の作品だけが書きとめられている。』

と述べられています。もっともな理由です。 つまり、自分で即興で演奏できて、作品は全て頭の中に残っているのですから、わざわざ書き留める必要がなかったのです。
しかし、こういう作品を楽譜にして出版できるようになってからは事情は変わってきます。

2013年11月28日木曜日

K.183 交響曲 第25番 ト短調 第1楽章

冬の日本海は厳しい寒さと、横殴りの強風で容易に近づくことは出来ません。
そんな季節がもうすぐやってきます。今日も雪こそ降りませんでしたが、凄まじい風でした。
こんな日本海の光景に接すると、モーツァルトの交響曲第25番ト短調を思い出します。

冒頭の疾風怒涛の旋律が極めて印象的です。
モーツァルト17歳の時、3回目のイタリア旅行からザルツブルクに帰って間もなく書かれた9つの交響曲(第22番から第30番まで)の一つですが、他の交響曲とは異質で切迫した緊張感に支配されています。
彼の数ある交響曲の中で主調が短調なのは後の第40番 K.550 とこの曲だけで、しかも共にト短調であるということはあまりにも有名で「宿命の調性」ともいわれています。

交響曲 第25番 ト短調 K.183 (173dB)第1楽章 Allegro con brio ト短調

2013年11月26日火曜日

K.113 ディヴェルティメント(第1番) 変ホ長調

クラリネット五重奏曲が書かれた日から、遡ること18年、15歳の少年モーツァルトがクラリネットを最初に用いた作品を聴いてみます。

当時クラリネットはまだ発展途上の楽器で、演奏出来る人も少なかったようです。
楽器編成はヴァイオリン2、ヴィオラ(自筆譜では複数)、バス、クラリネット2、ホルン2となっていますが、後にクラリネットのない場合のバージョンも残しています。
ゆったり流れる旋律と管楽器の柔らかい響きに心がなごみます。

ディヴェルティメント 変ホ長調 K.113  第2楽章 Andante 変ロ長調

2013年11月24日日曜日

K.581 クラリネット五重奏曲 イ長調 第1楽章


晩秋の物悲しい季節になるとこの曲が心に染み渡ります。

室内楽の至宝ともいわれる、あまりにも有名な曲です。モーツァルトの盟友であったクラリネット奏者のシュタドラーを想定して、1789年9月に書かれています。
晩年のモーツァルトの澄み切った境地を映し出すような、自然体で流れる豊かな楽想と慈愛に溢れた響きは正に『人類の至宝』というにふさわしいものです。

クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581 第1楽章 Allegro イ長調

◆余談◆
この曲はクラリネット五重奏曲というジャンルで、歴史上最初に書かれた作品かと思われます。
最初に書かれていながら、既に完璧な作品となっているために、その後に同じジャンルの曲を書いている作曲家にとっては超えられない壁となっているように思われます。

2013年9月1日日曜日

K.467 ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 第2楽章

新潟市・福島潟の水辺にて
すっかり秋めいてまいりました。朝晩は肌寒いくらいです。
長らくご無沙汰しておりましたが、ようやくモーツァルト・モードになってまいりました。 またボチボチ始めますので、お時間の許す方はお付き合いください。 

9月の最初は有名なピアノ協奏曲 ハ長調の第2楽章を聴いてみます。
スウェーデン映画『みじかくも美しく燃え』に使われたことで広く知られています。
繊細でゆったりした弦の主題で始まり、独奏ピアノとの静かな対話には心が安らぎます。

ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 第2楽章 Andante ヘ長調

2013年8月11日日曜日

【暑中御見舞2】 ゴールドベルク変奏曲

連日の猛暑です。皆様ご自愛ください。

J.S.Bach ゴールドベルク変奏曲 アリア(ハープ演奏版)


曲に寄せて
有名なバッハのゴールドベルク変奏曲のアリアです。通常チェンバロで演奏されますが、今日は珍しいハープでの演奏を聴いてみます。とても優しい音色に癒されます。
不眠症に悩む伯爵のために演奏されたという俗説があります。このアリアはその説にうなずけますが、この後に続く30の変奏曲は睡眠導入には向かないように思われます。

2013年8月9日金曜日

【暑中御見舞】The Sound of Music

夏本番です。当地も真夏日の日々です。
この時期は毎年のことですが、何故かモーツァルトを聴こうというモチベーションが下がってしまいます。
なので、今月は少しモーツァルトとは離れてなるべく涼しげな曲をランダムにアップしようと思います。

The Sound of Music

The Sound of Music 序曲

曲に寄せて
ミュージカル史上に燦然と輝く不滅の名作『サウンド・オブ・ミュージック』のオープニング主題歌です。
モーツァルトの故郷・ザルツブルクを舞台とした大ヒット映画で、ヨーロッパアルプス上空からの雄大な映像が次第に絞り込まれ、ジュリー・アンドリュースを捉える冒頭シーンは実に印象的でした。
もう公開から50年近く経過していてもいまだに深く心に残っています。

2013年8月5日月曜日

K.450 ピアノ協奏曲 第15番 変ロ長調 第1楽章

この曲はモーツァルトの自作目録の第2曲目の作品です。
ウィーンで独立し精力的に活動し始めたモーツァルトは、自身の演奏会用にピアノ協奏曲を立て続けに作曲していましたが、この協奏曲は3月24日の2回目の演奏会のために書かれたものです。
オーケストラの編成も大きくなっていて、技巧的にも難しくなっているそうです。 

卓越した作曲家でありピアニストでもあったモーツァルトが、独立した音楽家として成功するためにはピアノ協奏曲の新作を次々と発表し演奏会を開催することが最も近道であったと思われます。
その結果として、1784年から1786年までの3年間に12曲以上の傑作が生み出され、ピアノ協奏曲というジャンルに輝かしい足跡を残すことになります。

ピアノ協奏曲 第15番 変ロ長調 K.450 第1楽章 Allegro

Link >> 第3楽章

2013年8月4日日曜日

K.302(293b) ヴァイオリン・ソナタ  変ホ長調

新潟市・白山公園の蓮(2013.7.27)
この曲は選帝侯妃マリア・エリーザベトに献呈された6曲のピアノとヴァイオリンのためのソナタ(いわゆる「マンハイム・ソナタ」、K.301~306)の第2曲目にあたります。
 1778年2月マンハイムで作曲され、11月に出版されています。
 第1番ト長調(K.301)が抒情的であったのに対し、この曲は典型的なモーツァルト風の陰翳に満ちた曲に仕上がっています。 2楽章から成っていて、今日聴く第2楽章は瞑想的な荘重な雰囲気で始まり、二つの楽器が協奏しながら、最後はピアニッシモで消えるように曲を閉じています。

ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 K.302 第2楽章 Andante grazioso ロンド形式

余談◆ 
ようやく当地も梅雨明け宣言が出ましたが、まだクーラー無しで過ごせます。朝晩は肌寒いくらいです。
先日の局地豪雨では多くの被害が報道されています。被災者の方々には心よりお見舞い申し上げます。 
写真は新潟市民の憩いの場である白山公園で先週撮影しました。
この公園は音楽の殿堂「りゅーとぴあ」のすぐ隣にあります。規模は小さいですが歴史ある神社があり新潟市民の心の中心的存在になっています。市内の住所の番地もここに近いほうが番地が若いように制定されているそうです。

2013年8月3日土曜日

K.338 交響曲 第34番 ハ長調 第3楽章

奥只見から望む越後駒ケ岳
モーツァルトにとって故郷ザルツブルクは愛憎半ばする地かも知れません。
そんな故郷で1780年8月に書かれた最後の交響曲がこのK.338です。
作曲の動機ははっきりしていませんが、この後音楽劇「イドメネオ」(K.366)の稽古のためにザルツブルクを離れミュンヘンに向かい、しばらく故郷には帰ってきません。その別れの演奏会のために書かれたともいわれています。
就職活動のためにパリ、マンハイム、ミュンヘンを旅して受けた刺激を反映させて、充実した編成と作曲技法で書かれています。3楽章形式でメヌエットはありません。
ハ長調ということで最後の交響曲「ジュピター」の壮麗さを思い起こさせます。

交響曲 第34番 ハ長調 K.338 第3楽章 Allegro vivace

余談
モーツァルトの交響曲には名前のついたものが結構あります。
31番「パリ」、35番「ハフナー」、36番「リンツ」、38番「プラハ」、そして有名な41番「ジュピター」などです。いずれも名作ですが、名前がないためにあまり知られていないこの34番も実に素晴らしい曲です。
勝手に名付け親をするなら『さよならザルツブルク』。自分を受け入れてくれない閉鎖的な故郷から新天地に向うエネルギーを感じさせてくれます。

2013年7月31日水曜日

K.125 聖体の祝日ためのリタニア 変ロ長調 

モーツァルトが若い時に作曲した宗教曲をもう1曲聴いてみましょう。
「リタニア Litaniae」とは「連祷」と訳され、先唱者が神や聖母マリアにたいする呼び掛けを行ない、会衆がそれに「われらをあわれみたまえ」、あるいは「われらのために祈りたまえ」を繰り返して応答する祈りの形式だそうです。
モーツァルトは全部で4曲のリタニアを作曲していますが、これはその第2曲で1772年、モーツァルト16歳の時ザルツブルクで作られています。
キリエに始まって全9曲によって構成されています。
今日は最後の第9曲 「Agnus Dei 神の小羊」を聴いてみます。伸びやかなソプラノの歌の後に合唱が荘厳な雰囲気で続き静かに曲を閉じます。

聖体の祝日ためのリタニア 変ロ長調 K.125  Ⅸ Agnus Dei 神の小羊 Un poco Adagio

2013年7月30日火曜日

K.33 キリエ

新潟平野に昇る朝日(2013.7.20)
宗教曲もモーツァルトの重要な作品ジャンルです。
今日はモーツァルトが10歳の時に書いたキリエを聴いてみます。
「キリエ」は「主よ」を意味し、キリスト教の礼拝における重要な祈りのひとつなのだそうです。
普段殆んど演奏されることのない42小節からなる小品ですが、落ち着いた弦楽の響きと4部合唱が調和して安らかな雰囲気を醸しています。

キリエ K.33

余談
モーツァルトの宗教曲で耳にする機会があるのは、K.618 アヴェ・ヴェルム・コルプスとK.626 レクイエムあたりが一般的かと思います。いずれも超名曲でいつかはこのブログでも取り上げなくてはいけませんが、いつになるかはわかりません。
私にとってはやはり素養のない宗教曲は敷居が高いもので、特に訳された歌詞を読むのは苦手で、言葉は分からなくて音楽として聴くのが向いているようです。

2013年7月27日土曜日

K.617 グラスハーモニカ五重奏曲 アダージョとロンド(ハープ版)

尾瀬沼周辺のカラマツソウ
今日は素敵なハープの演奏会に行ってきたので、ハープの音楽が聞きたいのですが、ご存知のようにモーツァルトがハープのために書いた曲は「フルートとハープのための協奏曲 K.299」しかありません。K.299は別の機会にして、変則的ですがグラスハーモニカのために書いた曲で、代わりにハープで演奏したCDがありましたので、それを聴いてみます。

モーツァルトの最晩年の1791年に書かれた小品です。編成はフルート、オーボエ、ヴィオラ、チェロ、グラスハーモニカ(この演奏はハープで代用)で、それぞれの楽器の旋律の対話が円熟したモーツァルトの様式美の中で、純化された美しさを表現した魅力的な作品です。今日は後半のロンド ハ長調を聴いてみましょう。

グラスハーモニカ五重奏曲 K.617 ロンド Allegretto ハ長調

●コンサート報告●
今日はりゅーとぴあで山宮るり子さんのハープリサイタルに行ってきました。長年のコンサート通いでもハープのソロ・コンサートは初めての経験です。
山宮さんの演奏は今年の3月にN響との協演で「フルートとハープのための協奏曲」を聴いて大変感動したのが記憶に新しいのですが、期待を胸に会場に向いました。
深いブルーのドレスで登場した山宮さんが最初の曲の演奏を始められたら、その音色が予想以上にホールに明瞭に響いて会場の素晴らしさを再認識しました。
2曲目はモーツァルトのピアノ・ソナタ ハ長調 K.545ですが、解説ではアレンジなしで譜面通りの演奏がハープで可能とのことで、少し驚きました。ピアノとは違って、柔らかく温かくなめらかな響きがとても心地のいい演奏でした。
途中にトークがあり、ハープの構造を山宮さんが簡単に説明してくださいました。半音の調性はドからシにそれぞれ対応した7本のペダルでフラット、ナチュラル、シャープと3段階で操作するとのことで、びっくりしました。10本の指をあれだけ細かく繊細に動かしながら、さらに7本のペダルを操作していたとは・・・・神業としか思えません。凡人には想像できないすごすぎる世界です。素人の浅はかさで、今までピアノの黒鍵のように半音の弦があるのだと思っていました。
後半も沢山の曲で楽しませていただきました。その中でドビュッシーのアラベスクが一番親しみやすく感じました。
後半も途中トークがあり、山宮さんがお住まいのドイツの国民性のお話がとても意外で面白く感じました。
演奏もトークも大満足の演奏会でした。

K.112 交響曲 第13番 ヘ長調

尾瀬 大江湿原から望む燧ケ岳
今日はモーツァルトが15歳の時に作曲した若々しいシンフォニーを聴いてみましょう。
2回目のイタリア旅行中のシンフォニーで、自筆譜が残っています。
父レオポルドがリューマチで動けなかったので、ヴォルフガングは退屈しのぎにこの曲を作ったと言われています。
マイヤー氏邸での音楽会のために作られたのかもしれませんが、作曲動機はよくわかっていません。
イタリア旅行で の音楽体験から会得した作曲技法などが随所に生かされているそうです。

交響曲 第13番 へ長調 第1楽章 Allegro

余談
雨模様の毎日です。各地で豪雨の被害が報道されています。少なくても困る水、多すぎても困る水です。
写真の尾瀬地方は関東地方の水瓶としての保水力を発揮しています。夏になると夕方にスコールのような大雨がよく降ります。でも深い森のおかげで水害にはなりません。

2013年7月26日金曜日

K.330 (300h) ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調

尾瀬 大江湿原のワタスゲ
当地はまだ梅雨が明けません。今日はピアノ・ソナタを聴いてみましょう。
K.330 ハ長調のソナタは、その愛らしい旋律でとても親しまれています。
作曲時期につては、当初1778年にパリで作られて、K.310、K.330~333のセットで、《パリ・ソナタ》 と考えられていました。その後1970年代、自筆譜の筆跡の研究から「早くても1780年の夏」と発表されました。さらに1980年代に入り、アラン・タイソンという研究家が自筆譜の五線紙の種類や透かし模様を分析し、K.330~ 332の3曲は、1783年にウィーンまたはザルツブルクで作曲されたもので、K.333は1783年の末にリンツで作曲されたと判断しました。この説が正しければ、本来のK番号はもう100番ほど後になりますが、確定的ではないため、現在もこの番号で親しまれています。
前作のK.310イ短調のソナタとは対照的な作風で、シンプルで明るく軽やかな旋律は心を浮き立たせてくれます。

ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 K.330/第1楽章 Allegro moderato


余談
モーツァルトの作品の中には、作曲時期がはっきりしないものが多々あります。
今でも研究者の方は自筆譜の筆跡や紙質等を調べておられるのでしょうか?ご苦労さまです。
ところで皆さんはモーツァルトの自筆譜をご覧になったことありますか?私はラ・フォル・ジュルネ東京の時、丸の内で海老沢敏先生の所蔵品を拝見したことがあります。
美しい筆跡でとても神々しく輝いて見えました。そのまま「これ下さい。」とレジに進みたい気持ちになりました。

2013年7月25日木曜日

K.313 フルート協奏曲 第1番 ト長調 第3楽章

尾瀬大江湿原を散策する人々(2013年7月20日)
第3楽章はロンド テンポ・ディ・メヌエット ト長調。3/4拍子。
出だしは愛らしいモチーフで印象的です。
フルートが早いパッセージも入れながら、飛び跳ねるように快活な旋律を華麗に奏でます。

フルート協奏曲 第1番 ト長調 K.313 第3楽章 Tempo di Menuet

2013年7月23日火曜日

K.313 フルート協奏曲 第1番 ト長調 第2楽章

尾瀬 大江湿原のニッコウキスゲ
第2楽章はゆったりとした アダージョ マ ノン トロッポ です。
この楽章についてアインシュタインは次のように書いています。
『緩徐楽章(ニ長調)ははなはだ個人的ですらあって、むしろ非常に幻想的で非常に独特なものになったとも言える。ために注文者はどうにも扱いようがなかったにちがいない。』
確かに一般人である依頼主のためには、もっと簡単で素朴な内容でよかったのかもしれませんが、ゆったりとした音楽の流れと温かいフルートの響きが独特の世界を展開しています。

フルート協奏曲 第1番 ト長調 K.313 第2楽章 Adagio ma non troppo ニ長調

余談
尾瀬のニッコウキスゲは最近その生息域が激減しているそうです。
日光方面から移住してきた鹿に大量に食べられしまい、今残っている群生域は有志の方々が徹夜で守っていて維持されているそうです。鹿も生きなくてはいけませんから致し方ないのでしょうが、なにかうまくい方法はないものなのでしょうか?

2013年7月21日日曜日

K.313 (285c) フルート協奏曲 第1番 ト長調 第1楽章

尾瀬大江湿原のニッコウキスゲ(2013年7月20日)
フルートはその明るくまろやかな音色でオーケストラにはなくてはならない存在です。
しかし、モーツァルトの時代には楽器自体がまだ未発達で音程が不安定であったため、モーツァルトはフルートをあまり好まなかったといわれています。
それでも彼が残した2つフルートの協奏曲、4つの四重奏曲などは名曲として現在でも広く演奏されています。
このフルート協奏曲第1番は1778年、モーツァルトが就職活動のために訪れていたマンハイムで作曲されました。
当時フルートの名人として名を馳せていたヴェンドリングと交友を得たモーツァルトが、彼の仲介でオランダ人の資産家の依頼で書き報酬を得ていたようです。
フルートの特性が生かされたのびやかな作品です。

フルート協奏曲 第1番 ト長調 第1楽章 Allegro Maestoso

写真に寄せて
ニッコウキスゲが花盛りと聞き、梅雨の中休みの昨日尾瀬に行ってきました。
沼山峠から入り、ニッコウキスゲの大江湿原を通り、尾瀬沼を1周してきました。
気持ちのいい涼風の中、美しい風景を堪能しました。

2013年7月19日金曜日

K.421 弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 第2楽章

新潟海岸から望む佐渡方面の部分虹(2013年7月19日早朝)
今朝、出勤途中に車窓から佐渡方面を眺めたら、部分的に虹が見えました。
急いで車を止めて、シャッターを切りました。朝から素敵なものを見ることができました。
週末は梅雨の中休み?か好天が予想されています。

今日は昨日の続きで、第2楽章を聴きます。アンダンテ ヘ長調。
この四重奏曲の唯一の長調の楽章ですが、緩やかに息づくような出だしから、憧れと悲哀を感じさせる奥深い魅力に溢れています。

弦楽四重奏曲 第15番  K.421 第2楽章 Andante ヘ長調

2013年7月18日木曜日

K.421 (417b) 弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 第1楽章

角田浜から望む佐渡方面(7月15日撮影)
毎日どんよりとした曇り空です。一時強い雨も降りました。涼しくていいんですが、梅雨明けが待ち遠しい気持ちもあります。(猛暑に見舞われている地方の方々には申し訳ありません)

こんな日はモーツァルトの数少ない短調の弦楽四重奏曲を聴いてみましょう。
このK.421は有名な「ハイドン・セット」第2曲目にあたり、前作の第1番(ト長調 K.387)から半年後の1783年6月中頃にウィーンで書かれています。セット中で唯一の短調作品となっていて、しかもその調性は「ピアノ協奏曲 K.466」、「ドンジョヴァンニ K.527」そして「レクイエム K.626」と同じニ短調になっていて、宿命的な感じもします。
前作のト長調の躍動的なエネルギーにあふれた曲想とは対照的な深い諦念が全楽章を支配しています。
娯楽的な作品に慣れていた当時の聴衆にとってこの曲は受け入れがたいものだったかも知れません。

弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421(417b) 第1楽章 Allegro

2013年7月15日月曜日

K.301 (293a) ヴァイオリン・ソナタ ト長調

海の日ですが当地は連日の雨模様です。 連休の山行計画は中止にして、昨日は久しぶりの部屋の模様替えをしました。
大きなオーディオボックスに入っていた、今では全く使わないレコードプレーヤー、カセット・デッキ、レコードを物置に移動して、アンプ、CDプレーヤー、チューナーを手元に置いて操作性がよくなりました。

今日はヴァイオリン・ソナタを聴きます。
1778年11月パリのシベールから「作品1」として出版された、いわゆる「マンハイム・ソナタ」あるいは「プファルツ・ソナタ」と呼ばれるシリーズの第1番の作品です。
2楽章から成り、冒頭のテーマは「歌うアレグロ」の見本とも言われ、ヴァイオリンによる流れるような始まりは魅力的です。

ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K.301(293a) 第1楽章 Allegro con spirito

2013年7月13日土曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第7楽章


慈光寺境内にて
それぞれ味わいのある個性豊かな6つの楽章を経て、ついに最後の第7楽章です。
大曲を締めくくるにふさわしい快活なロンド形式のアレグロモルト。変化に富んだにぎやかなフィナーレです。

第7楽章  Allegro molto 



余談
この曲はその楽器編成の特殊性か、地方にいると生演奏を聴く機会は全くありませんでした。
初めて聴いたのは2006年のラ・フォル・ジュルネでした。その時の感動は一生忘れることはできません。
実に奇妙な楽器の組み合わせですが、音楽が始ると各々の楽器の豊かな個性が見事に調和して、全く違和感のない自然な和音と旋律に酔いしれました。「この旋律の次はこの楽器のこの音」と必然のように音楽が繋がっていく様には唖然としてしまいました。
『このような音楽は人間にはつくれない』と正直に思いました。脱帽です。素晴らしい天からの贈物です。

2013年7月12日金曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第6楽章

慈光寺境内のお地蔵様
第6楽章はアンダンテ 変ロ長調 2/4拍子。
アンダンテの愛らしい主題と6つの変奏から構成されています。
クラリネットによって提示された主題を、各変奏ごとに楽器を変えながら受け継いでいきます。さまざまな彩を放って豊かな幸福感を感じさせながら、最後の第6変奏で軽快に楽章を締めくくります。

第6楽章 Andante

2013年7月11日木曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第5楽章

慈光寺境内のお地蔵様
第5楽章はロマンツェ。
アダージョ 変ホ長調 3/4拍子 - アレグレット ハ短調 2/4拍子 - アダージョ 変ホ長調 3/4拍子 の3部形式。
アダージョの哀愁漂う旋律と、中間のアレグレットのユーモラスな雰囲気の対比が趣のある音楽を繰り広げています。

第5楽章 Romance (Adagio - Allegretto - Adagio)

2013年7月10日水曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第4楽章

慈光寺境内のお地蔵様
第4楽章はメヌエット アレグレット 変ロ長調 3/4拍子。
第2楽章と同じ2つのトリオを伴った明るいメヌエット楽章です。

第4楽章 Menuetto

2013年7月9日火曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第3楽章 アダージョ

慈光寺境内の観音像
第3楽章はアダージョ 変ホ長調。
シンコペーション風の細かいリズムと低音楽器の分散和音にのって、天から舞い降りるように現れる清澄な旋律は比類のない美しさです。

第3楽章 Adagio

余談
映画「アマデウス」では、病院にいた晩年のサリエリが慰問に来た神父にモーツァルトについて語るシーンがあります。
モーツァルトとの出会いをしみじみ回想しながら、この曲についてこう述べています。
『それはごく普通の譜面だった。 出だしは驚くほど単純だ。
 バスーンやバセットホルンがぎこちなく響く。さび付いたような音。
 だが突然、その上にオーボエが自信に満ちた音色・・・。
 そしてクラリネットが引き継ぎ、甘くとろけるような調べとなる。
 「猿」に書ける音楽ではない。 初めて耳にする見事な音楽。
 満たされない切ない思いが溢れていた。 神の声をきくようだった。』

2013年7月8日月曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第2楽章

慈光寺境内のお地蔵様
第2楽章はメヌエット 変ロ長調 3/4拍子。
2つのトリオを伴い、主部のメヌエットが全合奏で奏され、第1トリオ(ホ長調)、哀愁を帯びた第2トリオ(ト短調)が続きます。

第2楽章 Menuetto

2013年7月7日日曜日

K.361 セレナード 変ロ長調「グラン・パルティータ」 第1楽章

慈光寺(新潟県村松)
「グラン・パルティータ」の通称で知られるセレナードを聴いてみましょう。 この通称はモーツァルトの自筆譜に後世の他者が書き込んだものですが、この作品の規模と内容をよく伝えています。
作曲されたのは1783年から84年と推測されています。当時のウィーンでは管楽器のアンサンブルが盛んに演奏されていて、その流れで作曲されたものと思われます。

オーボエ2、クラリネット2、バセットホルン2、ホルン4、ファゴット2、コントラバスという大規模な編成で、コントラバスの代わりにコントラファゴットが用いられることもよくあり、<13管楽器のためのセレナード>とも呼ばれています。
7楽章で構成された大曲で、クラリネットを中心としたそれぞれの楽器のもつ個性を見事に引き出した傑作として広く知られています。

第1楽章 Largo

第1楽章 Allegro molto 


写真に寄せて
先週末、村松にある越後白山という1,012mの山に初めて登ってきました。
その登山口にある慈光寺という古刹がありました。深い森の中に佇み神秘的で清浄な空気に包まれていました。

2013年7月6日土曜日

K.370 (368b) オーボエ四重奏曲 ヘ長調

慈光寺境内の紫陽花
当地・新潟は6月以来空梅雨ぎみでしたが、数日前から雨模様でようやく梅雨らしくなってきました。
こんな日は爽やかなオーボエ四重奏曲を聴いてみましょう。

この曲はモーツァルトが24才頃の作品で、滞在していたミュンヘンの名オーボエ奏者だったフリードリヒ・ラムのために作曲されたといわれています。
当時モーツァルトとラムがどんなやりとりをしながら曲を完成させたのか想像するのも楽しいです。
   「おーい、ラム、結構早いんだけどこんなフレーズ吹けるか?」
   「ヴォルフガング、任せてよ。ノープロブレム!」
   「ラム、君のような奏者がいてくれると創作意欲めちゃ湧いてくる・・・!!!」

全体にオーボエの繊細で愛らしい旋律と、小気味のいい音色が魅力的な名曲です。

オーボエ四重奏曲ヘ長調 第1楽章

2013年7月5日金曜日

K.498 三重奏曲 変ホ長調 「ケーゲルシュタット」第3楽章

越後白山山頂付近にて(2013.6.30)
今日は珍しい組合せのトリオを聴いてみましょう。
ピアノ、クラリネット、ヴィオラのための三重奏曲です。「ケーゲルシュタット」という名前で親しまれています。九柱戯 (ケーゲルシュタット) という遊びに興じながらモーツァルトが作ったといわれているためですが、真偽は定かでありません。友人のクラリネット奏者アントン・シュタットラーら仲間うちで演奏するために作曲されたともいわれています。
全曲を通して、クラリネットの優しい音色とヴィオラの充実した中音域、ピアノの華やかさが絶妙に溶け合って、幸福感に満たされる雰囲気を醸し出しています。

三重奏曲 変ホ長調 K.498/ 第3楽章 Allegretto

余談
私はこの曲の生演奏を数年前ラ・フォル・ジュルネ金沢で、ポールメイエ氏のクラリネット、仲道郁代さんのピアノ、高名なヴィオラ奏者(名前は忘れました)で聴く機会がありました。
とてもリラックスした雰囲気の素晴らしい演奏でした。舞台を見ていると奏者同士で頻繁に視線を交わしながら実に楽しそうに演奏しているが様子手に取るようにわかりました。
聴く方も楽しいけれど、演奏している方はもっと楽しんだろうな・・・・と、とても羨ましく思ったことを記憶しています。

2013年7月4日木曜日

K.252 ディヴェルティメント 変ホ長調 第1楽章


西蒲区丘陵地より望む菅名岳・粟ケ岳方面
モーツァルトの管楽器のために書かれたディベルティメントは、いずれも短めでわりと地味な存在ですが、それぞれの楽器の魅力が存分に発揮された傑作ぞろいです。
この作品はモーツァルトが20才頃、オーボエ、ホルン、ファゴットが各2本の編成で書かれています。

全曲を通した実にリラックスした雰囲気に満ちています。
モーツァルトはきっとお客様(貴族)の依頼でせっせと書いたのでしょう。
こういう曲を生で聞きながら貴族は食事でもしていたのでしょうか?
現代の私たちは技術進歩のおかげで、生演奏とはいかないですが、いつでもどこでもモーツァルトを楽しむことができます。何という幸せでしょうか。

ディヴェルティメント 変ホ長調 K.252 第1楽章 Andante

2013年7月3日水曜日

K.449 ピアノ協奏曲 第14番 変ホ長調

ウィーンに居を構えて3年目のモーツァルトが、音楽界の寵児となり、大活躍した時期、1784年の作品。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いであったようです。連日演奏会に飛び回り、予約演奏会のために作曲も多数手がけています。特にピアノ協奏曲はこの時期量産しています。
今で言うなら、人気シンガーソングライターが会員限定予約コンサートを頻繁に実施して、そのつど大変クオリティーの高い後世に残る名作を発表し続ける・・・というような状態であったようです。 

ピアノ協奏曲のジャンルは、モーツァルトが確立して、発展・完成させたといってもよいと思います。
特に番号の付いた27曲のうち、20番以降が非常に有名で、現在でも圧倒的な人気があり、演奏される機会も大変に多くなっています。
その影に隠れて20番未満の曲は比較的演奏される機会は多くありませんが、非常に充実した作品群であります。
予約演奏会に度に、聴衆に新鮮な驚きと感動を演出する斬新な手法が随所に駆使されています。
その中で、この14番はモーツァルトの「自作品目録」の巻頭を飾っていることでも有名です。
1784年2月に完成。3月17日にモーツァルト自身のピアノ演奏によって初演されました。

ピアノ協奏曲 第14番 変ホ長調 K.449/ 第1楽章 Allegro vivace


Link >> 第2楽章 Andantino 変ロ長調

2013年7月2日火曜日

K.458 弦楽四重奏曲 第17番 変ロ長調 「狩」 第1楽章

モーツァルトは弦楽四重奏曲を1770年から1790年の20年間にわたり23曲書いています。
作曲期間は13曲の初期作品と、ウィーン定住後に書かれた10曲に分かれています。

この曲は、よく知られているように、ハイドンに捧げた6曲の弦楽四重奏曲『ハイドンセット』の一つです。
このシリーズは1782年12月末に書かれたト長調「春」K.387から始まり、1785年1月のハ長調「不協和音」K.465で完結します。
モーツァルトがハイドンの四重奏曲に感銘し触発されて書いたといわれています。
お互いに認め合い尊敬しあった、ハイドンとモーツァルトの音楽史上最も美しい友情の証ともいわれています。

非常に緻密に作られていて、このジャンルの最高峰の作品のひとつといえるでしょう。

弦楽四重奏曲 第17番 変ロ長調 「狩」K.458 /第1楽章 Allegro vivace assai


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                   天才は天才を知る 

ヨーゼフ・ハイドン
ハイドンは1732年生まれで、77歳まで生き、1809年ウィーンで亡くなりました。
モーツァルトの24年前に生まれ、モーツァルトの18年後に亡くなりましたので、モーツァルトの生涯を暖かく見守っていた大作曲家といえるのではないでしょうか?
大変多くの曲を残しています。交響曲は104曲、弦楽四重奏曲は83曲、その他のジャンルも多数。現在広く知られているハイドンの曲も多数あります。
その大作曲家ハイドンが当時ウィーンでモーツァルトの弦楽四重奏曲を聴いて、父レオポルド・モーツァルトにこう言ったそうです。

「誠実な人間として神の御前に誓って申し上げますが、御子息は、私が名実ともども知っているもっとも偉大な作曲家です。様式感に加えて、この上なく幅広い作曲上の知識をお持ちです。」

天才は天才を知るのです。
   

2013年7月1日月曜日

K.385 交響曲 第35番 ニ長調 「ハフナー」

この交響曲は、ハフナー家の子息の爵位授与式のために6楽章のセレナード(第2ハフナー・セレナード)として作曲されました。翌1783年の春、アカデミー(予約演奏会)の曲目とするために4楽章の交響曲に改められたものです。
「そんな、セレナードを改作して交響曲が出来るの?」と思ってしまいますが、当時の交響曲は現在私たちが思うほどの重み(?)はなく、オペラの序曲のような、大曲への導入曲程度に捉えられていたようです。
 第2ハフナー・セレナードから、メヌエット1曲と行進曲を取り除いて、両端楽章にフルートとクラリネットのパートを書き加えたものが「ハフナー交響曲」です。
モーツァルトは当時オペラ『後宮からの誘拐』を作曲中で、超多忙の中でこの交響曲を作ったのですが、何ら本質的な変更も加えずに交響曲となりえた原作のセレナードの音楽的な充実は作曲者自身が驚きを感じたほどのものだったようです。
ここで紹介します第4楽章は「できる限り早く」演奏するように望んでいたようで、疾走する旋律と変化に富んだ様式が絶妙に調和し、聴く者の心を離しません。

交響曲 第35番ニ長調「ハフナー」K.385 第4楽章 Presto

2013年6月30日日曜日

K.515 弦楽五重奏曲 第2番 ハ長調

今日は充実の室内楽・弦楽五重奏を聴いてみましょう。
モーツァルトは6曲の弦楽五重奏曲を残しています。
通常の四重奏曲にビオラを加えた編成で、中音域が充実し一層の表現の幅と深さを増した作品となっています。
この第2番は第1番(K.174)が作られてから14年後の1787年、モーツァルト31歳の時の作品で、大きな構成を持ち全4楽章で30分以上かかる作品です。
ご紹介する第一楽章はハ長調ですが、半音階を含む不安定な音の進行と、揺れ動くような転調を巧みに操って独特な「哀しさ」を醸し出しています。
この作品の作曲動機は謎のようですが、単なる社交音楽からは離れ、内面的な陰影を表現した緻密で奥深い室内楽の名作です。

弦楽五重奏曲 第2番 ハ長調 K.515 第1楽章 Allegro

2013年6月29日土曜日

K.254 ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調

モーツァルトはピアノ、ヴァイオリン、チェロのため三重奏曲(ピアノ・トリオ)を番号のあるもので7曲書いています。

その最初の曲がこのK.254です。
自筆譜では「ディベルティメント」と書かれていてモーツァルト本人にはピアノ・トリオという意識はあまりなく、自身の言葉よると「仲間うちの演奏」のために作曲された気軽で自由な雰囲気の曲になっています。
気心の知れた友人たちとこのような室内楽を演奏していたら、さぞ楽しかったことでしょうね。モーツァルトの嬉々とした表情が思い浮かぶようです。

1776年8月、モーツァルト20才の時の作品で、地元ザルツブルクで書かれています。この頃には若さ溢れる社交的で明るい曲が数多く残されています。上昇気流に乗っている輝くエネルギーを感じさせる曲です。

ピアノ三重奏曲 変ロ長調 K.254  第1楽章 Allegro assai 

2013年6月28日金曜日

K.296 ヴァイオリン・ソナタ ハ長調

モーツァルトは多くのヴァイオリン・ソナタ(40曲以上)を書いてますが、貴族に献呈したり、出版社に売ったりしていたようです。いずれも小規模な作品が多いですが、モーツァルトが比較的気軽に作っている様子が伺えます。

便宜上ヴァイオリン・ソナタと呼びますが、モーツァルトの時代、主役はピアノで、正式には「ヴァイオリン伴奏付ピアノ・ソナタ」なのだそうです。

K.296の第2楽章も、非常にリラックスした伸びやかで爽やかな曲想を楽しめます。
1778年3月にマンハイムで作曲されました。

ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K.269/ 第2楽章 Andante sostenuto ヘ長調

2013年6月27日木曜日

K.297 (300a) 交響曲 第31番 ニ長調 「パリ」

1778年初夏、パリ滞在中のモーツァルトは3年半ぶりに交響曲の作曲をしました。
「コンセール・スピリチュエル」の支配人ジャン・ル・グロから依頼で作曲されたのがこの交響曲です。
パリ訪問前に訪れたマンハイムではモーツァルトは多くの音楽的刺激を受けていました。
管楽器による色彩効果、ダイナミックな表現法などを学びとっていました。そして、何よりも同地の希にみるほどすぐれたオーケストラは、彼に大きな驚きを与えたといわれています。
折しもル・グロから交響曲の作曲依頼を受けたモーツァルトは、マンハイム楽派の様式にフランス的な表現法を織り込みながら、当時としては大規模な交響曲を作曲することとなり、ここに彼の交響曲の新しい一歩が踏み出されました。
第一の特徴はクラリネットを初めて採用したことで、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トラペット各2本の完全な2管編成をとっていることです。随所に管楽器の協奏的効果がみられるのは、マンハイムで活躍していた管楽器の名手たちから啓発されたものだと思われます。
完成後、6月18日に初演され大成功を収めたと記録されています。
ここでご紹介する第1楽章は全楽器のユニゾンで華々しく堂々と始まり、当時の聴衆への配慮がうかがえます。

交響曲 第31番 ニ長調 K.297(300a)/第1楽章 Allegro Allegro


photo:ラムサール条約登録湿地 佐潟(新潟市西蒲区)
余談
この時期にモーツァルトは父宛に長い手紙を送っています。その中でこの曲に関して次のように書いています。

それは聖体節〔1778年6月18日〕に演奏されて、大いに喝采を受けました。聞くところでは、『ヨーロッパ通信』にも、その記事が出ていたそうです。・・・・〔途中略〕・・・・・
あくる日は、・・・・〔途中略〕・・・・最初のアレグロのまん中に、これはきっと受けると思っていたパッサージュが一つあったのですが、はたして聴衆は一斉に熱狂してしまいました。そして拍手大喝采です。でもぼくは、書いている時から、それがどんな効果を生むかを知っていたので、それを最後にもう一度出しておきました。・・・・ 」

この内容から察すると、聴衆は曲の途中で拍手喝采していたようです。
今で言うと人気ロックバンドのノリノリのコンサートの様相だったのかも知れません。

現代では考えにくいですが、こんなコンサートがあっても楽しいと思います。

2013年6月26日水曜日

K.397 幻想曲 ニ短調

モーツァルトはピアノのためにソナタの他、変奏曲や幻想曲をいくつか書いています。
幻想曲は即興的な楽想を随所にもち、自由な構成で、テンポや調性を変動させるなどの特徴があるそうです。

このニ短調は自筆譜がないため、謎の多い作品です。作曲の動機や時期は不明なのだそうですが、一般的1782年に成立とされているようです。
短調の哀愁を帯びた旋律でとても人気の高い作品です。
おもしろいのは後半のアレグレット(4分の2拍子)の明るい曲想が唐突に現れるところです。アインシュタインは「最も高い意味で子供らしい、あるいは天国的」と評しています。
短調の非常に沈んだ曲の中でも、それに埋没せずにどこか客観視して『なんちゃってね!』とほほ笑んでいるモーツァルトの顔が私には浮かびます。

幻想曲 二短調 K.397

2013年6月25日火曜日

K.545 ピアノ・ソナタ ハ長調 第3楽章

第3楽章は明るく活発なアレグレット。
リズミカルで軽快に曲を締めくくります。

ピアノ・ソナタハ長調 K.545/第3楽章 Allegretto

余談
モーツァルトのピアノ・ソナタは技巧的にはあまり難しくないけれども、音楽として表現しようとするとこれほど難しいものはないとよく耳にします。
その音の少なさ・・・・無駄な音がひとつもないことが演奏者にとっては「ごまかし」が利かない怖さがあるのかもしれません。
時々演奏会で、ロマン派の圧倒的な音量と迫力に満ちたソナタを聴くのも刺激的で楽しいですが、普段自宅で聴くのはやはりモーツァルトが最高です。

2013年6月24日月曜日

K.545 ピアノ・ソナタ ハ長調 第2楽章

第2楽章はアンダンテ ト長調。
シンプルでゆったりとしたメロディが、微妙に色彩を変え移ろいながら流れて行く美しさには言葉を失います。
深い安らぎを感じさせてくれる楽章です。

ピアノ・ソナタハ長調 K.545/第2楽章 Andante

余談
K.545は ピアノ・ソナタ第16番? 15番?
モーツァルトのピアノ・ソナタはその時代の研究によって番号が違うものがあります。
このソナタも、旧モーツァルト全集(※)では第15番ですが、新モーツァルト全集では16番になっています。
モーツァルトの時代には、書いた曲がきちんとは残っていないため、ケッヘル番号もその版によって随分と違っているものがたくさんありますが、混乱を避けるため一般的には初版の番号が使われています。
ピアノ・ソナタも現在一般的には番号で呼ぶよりもケッヘル番号で呼ぶ場合が多いようです。
ベートーヴェンのようにきちんと番号が付いていて、「月光」とか「悲愴」などの名前が付いているのに比べると、ちょっと一般的には分かりずらいのは否めません。
※モーツァルト全集・・・国際モーツァテウム財団(国際的権威のあるモーツァルト研究機関)が刊行しているモーツァルトの作品全集で、旧版と新版(1954年~2007年刊行)がある。

2013年6月23日日曜日

K.545 ピアノ・ソナタ ハ長調 第1楽章

休日の朝はモーツァルトのピアノ・ソナタが似合います。
そのシンプルで精錬された美しさが心地よく体に響いて細胞が活性化されます。モーツァルトの音楽がもたらしてくれる比類のない感覚です。

そんな中でモーツァルトが「初心者のために」書いたことで知られる、ハ長調のソナタを聴いてみましょう。作曲されたのは1788年6月26日と作品目録に書かれていて、交響曲第39番と同じ日付になっています。
技巧的には初心者に配慮してあるそうですが、そのシンプルさが彼の音楽の魅力を一層引き立てています。
第1楽章は4/4拍子のソナタ形式で、音階を上下するメロディが特長的です。

ピアノ・ソナタハ長調 K.545/第1楽章 Allegro