2013年7月31日水曜日

K.125 聖体の祝日ためのリタニア 変ロ長調 

モーツァルトが若い時に作曲した宗教曲をもう1曲聴いてみましょう。
「リタニア Litaniae」とは「連祷」と訳され、先唱者が神や聖母マリアにたいする呼び掛けを行ない、会衆がそれに「われらをあわれみたまえ」、あるいは「われらのために祈りたまえ」を繰り返して応答する祈りの形式だそうです。
モーツァルトは全部で4曲のリタニアを作曲していますが、これはその第2曲で1772年、モーツァルト16歳の時ザルツブルクで作られています。
キリエに始まって全9曲によって構成されています。
今日は最後の第9曲 「Agnus Dei 神の小羊」を聴いてみます。伸びやかなソプラノの歌の後に合唱が荘厳な雰囲気で続き静かに曲を閉じます。

聖体の祝日ためのリタニア 変ロ長調 K.125  Ⅸ Agnus Dei 神の小羊 Un poco Adagio

2013年7月30日火曜日

K.33 キリエ

新潟平野に昇る朝日(2013.7.20)
宗教曲もモーツァルトの重要な作品ジャンルです。
今日はモーツァルトが10歳の時に書いたキリエを聴いてみます。
「キリエ」は「主よ」を意味し、キリスト教の礼拝における重要な祈りのひとつなのだそうです。
普段殆んど演奏されることのない42小節からなる小品ですが、落ち着いた弦楽の響きと4部合唱が調和して安らかな雰囲気を醸しています。

キリエ K.33

余談
モーツァルトの宗教曲で耳にする機会があるのは、K.618 アヴェ・ヴェルム・コルプスとK.626 レクイエムあたりが一般的かと思います。いずれも超名曲でいつかはこのブログでも取り上げなくてはいけませんが、いつになるかはわかりません。
私にとってはやはり素養のない宗教曲は敷居が高いもので、特に訳された歌詞を読むのは苦手で、言葉は分からなくて音楽として聴くのが向いているようです。

2013年7月27日土曜日

K.617 グラスハーモニカ五重奏曲 アダージョとロンド(ハープ版)

尾瀬沼周辺のカラマツソウ
今日は素敵なハープの演奏会に行ってきたので、ハープの音楽が聞きたいのですが、ご存知のようにモーツァルトがハープのために書いた曲は「フルートとハープのための協奏曲 K.299」しかありません。K.299は別の機会にして、変則的ですがグラスハーモニカのために書いた曲で、代わりにハープで演奏したCDがありましたので、それを聴いてみます。

モーツァルトの最晩年の1791年に書かれた小品です。編成はフルート、オーボエ、ヴィオラ、チェロ、グラスハーモニカ(この演奏はハープで代用)で、それぞれの楽器の旋律の対話が円熟したモーツァルトの様式美の中で、純化された美しさを表現した魅力的な作品です。今日は後半のロンド ハ長調を聴いてみましょう。

グラスハーモニカ五重奏曲 K.617 ロンド Allegretto ハ長調

●コンサート報告●
今日はりゅーとぴあで山宮るり子さんのハープリサイタルに行ってきました。長年のコンサート通いでもハープのソロ・コンサートは初めての経験です。
山宮さんの演奏は今年の3月にN響との協演で「フルートとハープのための協奏曲」を聴いて大変感動したのが記憶に新しいのですが、期待を胸に会場に向いました。
深いブルーのドレスで登場した山宮さんが最初の曲の演奏を始められたら、その音色が予想以上にホールに明瞭に響いて会場の素晴らしさを再認識しました。
2曲目はモーツァルトのピアノ・ソナタ ハ長調 K.545ですが、解説ではアレンジなしで譜面通りの演奏がハープで可能とのことで、少し驚きました。ピアノとは違って、柔らかく温かくなめらかな響きがとても心地のいい演奏でした。
途中にトークがあり、ハープの構造を山宮さんが簡単に説明してくださいました。半音の調性はドからシにそれぞれ対応した7本のペダルでフラット、ナチュラル、シャープと3段階で操作するとのことで、びっくりしました。10本の指をあれだけ細かく繊細に動かしながら、さらに7本のペダルを操作していたとは・・・・神業としか思えません。凡人には想像できないすごすぎる世界です。素人の浅はかさで、今までピアノの黒鍵のように半音の弦があるのだと思っていました。
後半も沢山の曲で楽しませていただきました。その中でドビュッシーのアラベスクが一番親しみやすく感じました。
後半も途中トークがあり、山宮さんがお住まいのドイツの国民性のお話がとても意外で面白く感じました。
演奏もトークも大満足の演奏会でした。

K.112 交響曲 第13番 ヘ長調

尾瀬 大江湿原から望む燧ケ岳
今日はモーツァルトが15歳の時に作曲した若々しいシンフォニーを聴いてみましょう。
2回目のイタリア旅行中のシンフォニーで、自筆譜が残っています。
父レオポルドがリューマチで動けなかったので、ヴォルフガングは退屈しのぎにこの曲を作ったと言われています。
マイヤー氏邸での音楽会のために作られたのかもしれませんが、作曲動機はよくわかっていません。
イタリア旅行で の音楽体験から会得した作曲技法などが随所に生かされているそうです。

交響曲 第13番 へ長調 第1楽章 Allegro

余談
雨模様の毎日です。各地で豪雨の被害が報道されています。少なくても困る水、多すぎても困る水です。
写真の尾瀬地方は関東地方の水瓶としての保水力を発揮しています。夏になると夕方にスコールのような大雨がよく降ります。でも深い森のおかげで水害にはなりません。

2013年7月26日金曜日

K.330 (300h) ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調

尾瀬 大江湿原のワタスゲ
当地はまだ梅雨が明けません。今日はピアノ・ソナタを聴いてみましょう。
K.330 ハ長調のソナタは、その愛らしい旋律でとても親しまれています。
作曲時期につては、当初1778年にパリで作られて、K.310、K.330~333のセットで、《パリ・ソナタ》 と考えられていました。その後1970年代、自筆譜の筆跡の研究から「早くても1780年の夏」と発表されました。さらに1980年代に入り、アラン・タイソンという研究家が自筆譜の五線紙の種類や透かし模様を分析し、K.330~ 332の3曲は、1783年にウィーンまたはザルツブルクで作曲されたもので、K.333は1783年の末にリンツで作曲されたと判断しました。この説が正しければ、本来のK番号はもう100番ほど後になりますが、確定的ではないため、現在もこの番号で親しまれています。
前作のK.310イ短調のソナタとは対照的な作風で、シンプルで明るく軽やかな旋律は心を浮き立たせてくれます。

ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 K.330/第1楽章 Allegro moderato


余談
モーツァルトの作品の中には、作曲時期がはっきりしないものが多々あります。
今でも研究者の方は自筆譜の筆跡や紙質等を調べておられるのでしょうか?ご苦労さまです。
ところで皆さんはモーツァルトの自筆譜をご覧になったことありますか?私はラ・フォル・ジュルネ東京の時、丸の内で海老沢敏先生の所蔵品を拝見したことがあります。
美しい筆跡でとても神々しく輝いて見えました。そのまま「これ下さい。」とレジに進みたい気持ちになりました。

2013年7月25日木曜日

K.313 フルート協奏曲 第1番 ト長調 第3楽章

尾瀬大江湿原を散策する人々(2013年7月20日)
第3楽章はロンド テンポ・ディ・メヌエット ト長調。3/4拍子。
出だしは愛らしいモチーフで印象的です。
フルートが早いパッセージも入れながら、飛び跳ねるように快活な旋律を華麗に奏でます。

フルート協奏曲 第1番 ト長調 K.313 第3楽章 Tempo di Menuet

2013年7月23日火曜日

K.313 フルート協奏曲 第1番 ト長調 第2楽章

尾瀬 大江湿原のニッコウキスゲ
第2楽章はゆったりとした アダージョ マ ノン トロッポ です。
この楽章についてアインシュタインは次のように書いています。
『緩徐楽章(ニ長調)ははなはだ個人的ですらあって、むしろ非常に幻想的で非常に独特なものになったとも言える。ために注文者はどうにも扱いようがなかったにちがいない。』
確かに一般人である依頼主のためには、もっと簡単で素朴な内容でよかったのかもしれませんが、ゆったりとした音楽の流れと温かいフルートの響きが独特の世界を展開しています。

フルート協奏曲 第1番 ト長調 K.313 第2楽章 Adagio ma non troppo ニ長調

余談
尾瀬のニッコウキスゲは最近その生息域が激減しているそうです。
日光方面から移住してきた鹿に大量に食べられしまい、今残っている群生域は有志の方々が徹夜で守っていて維持されているそうです。鹿も生きなくてはいけませんから致し方ないのでしょうが、なにかうまくい方法はないものなのでしょうか?

2013年7月21日日曜日

K.313 (285c) フルート協奏曲 第1番 ト長調 第1楽章

尾瀬大江湿原のニッコウキスゲ(2013年7月20日)
フルートはその明るくまろやかな音色でオーケストラにはなくてはならない存在です。
しかし、モーツァルトの時代には楽器自体がまだ未発達で音程が不安定であったため、モーツァルトはフルートをあまり好まなかったといわれています。
それでも彼が残した2つフルートの協奏曲、4つの四重奏曲などは名曲として現在でも広く演奏されています。
このフルート協奏曲第1番は1778年、モーツァルトが就職活動のために訪れていたマンハイムで作曲されました。
当時フルートの名人として名を馳せていたヴェンドリングと交友を得たモーツァルトが、彼の仲介でオランダ人の資産家の依頼で書き報酬を得ていたようです。
フルートの特性が生かされたのびやかな作品です。

フルート協奏曲 第1番 ト長調 第1楽章 Allegro Maestoso

写真に寄せて
ニッコウキスゲが花盛りと聞き、梅雨の中休みの昨日尾瀬に行ってきました。
沼山峠から入り、ニッコウキスゲの大江湿原を通り、尾瀬沼を1周してきました。
気持ちのいい涼風の中、美しい風景を堪能しました。

2013年7月19日金曜日

K.421 弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 第2楽章

新潟海岸から望む佐渡方面の部分虹(2013年7月19日早朝)
今朝、出勤途中に車窓から佐渡方面を眺めたら、部分的に虹が見えました。
急いで車を止めて、シャッターを切りました。朝から素敵なものを見ることができました。
週末は梅雨の中休み?か好天が予想されています。

今日は昨日の続きで、第2楽章を聴きます。アンダンテ ヘ長調。
この四重奏曲の唯一の長調の楽章ですが、緩やかに息づくような出だしから、憧れと悲哀を感じさせる奥深い魅力に溢れています。

弦楽四重奏曲 第15番  K.421 第2楽章 Andante ヘ長調

2013年7月18日木曜日

K.421 (417b) 弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 第1楽章

角田浜から望む佐渡方面(7月15日撮影)
毎日どんよりとした曇り空です。一時強い雨も降りました。涼しくていいんですが、梅雨明けが待ち遠しい気持ちもあります。(猛暑に見舞われている地方の方々には申し訳ありません)

こんな日はモーツァルトの数少ない短調の弦楽四重奏曲を聴いてみましょう。
このK.421は有名な「ハイドン・セット」第2曲目にあたり、前作の第1番(ト長調 K.387)から半年後の1783年6月中頃にウィーンで書かれています。セット中で唯一の短調作品となっていて、しかもその調性は「ピアノ協奏曲 K.466」、「ドンジョヴァンニ K.527」そして「レクイエム K.626」と同じニ短調になっていて、宿命的な感じもします。
前作のト長調の躍動的なエネルギーにあふれた曲想とは対照的な深い諦念が全楽章を支配しています。
娯楽的な作品に慣れていた当時の聴衆にとってこの曲は受け入れがたいものだったかも知れません。

弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421(417b) 第1楽章 Allegro

2013年7月15日月曜日

K.301 (293a) ヴァイオリン・ソナタ ト長調

海の日ですが当地は連日の雨模様です。 連休の山行計画は中止にして、昨日は久しぶりの部屋の模様替えをしました。
大きなオーディオボックスに入っていた、今では全く使わないレコードプレーヤー、カセット・デッキ、レコードを物置に移動して、アンプ、CDプレーヤー、チューナーを手元に置いて操作性がよくなりました。

今日はヴァイオリン・ソナタを聴きます。
1778年11月パリのシベールから「作品1」として出版された、いわゆる「マンハイム・ソナタ」あるいは「プファルツ・ソナタ」と呼ばれるシリーズの第1番の作品です。
2楽章から成り、冒頭のテーマは「歌うアレグロ」の見本とも言われ、ヴァイオリンによる流れるような始まりは魅力的です。

ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K.301(293a) 第1楽章 Allegro con spirito

2013年7月13日土曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第7楽章


慈光寺境内にて
それぞれ味わいのある個性豊かな6つの楽章を経て、ついに最後の第7楽章です。
大曲を締めくくるにふさわしい快活なロンド形式のアレグロモルト。変化に富んだにぎやかなフィナーレです。

第7楽章  Allegro molto 



余談
この曲はその楽器編成の特殊性か、地方にいると生演奏を聴く機会は全くありませんでした。
初めて聴いたのは2006年のラ・フォル・ジュルネでした。その時の感動は一生忘れることはできません。
実に奇妙な楽器の組み合わせですが、音楽が始ると各々の楽器の豊かな個性が見事に調和して、全く違和感のない自然な和音と旋律に酔いしれました。「この旋律の次はこの楽器のこの音」と必然のように音楽が繋がっていく様には唖然としてしまいました。
『このような音楽は人間にはつくれない』と正直に思いました。脱帽です。素晴らしい天からの贈物です。

2013年7月12日金曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第6楽章

慈光寺境内のお地蔵様
第6楽章はアンダンテ 変ロ長調 2/4拍子。
アンダンテの愛らしい主題と6つの変奏から構成されています。
クラリネットによって提示された主題を、各変奏ごとに楽器を変えながら受け継いでいきます。さまざまな彩を放って豊かな幸福感を感じさせながら、最後の第6変奏で軽快に楽章を締めくくります。

第6楽章 Andante

2013年7月11日木曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第5楽章

慈光寺境内のお地蔵様
第5楽章はロマンツェ。
アダージョ 変ホ長調 3/4拍子 - アレグレット ハ短調 2/4拍子 - アダージョ 変ホ長調 3/4拍子 の3部形式。
アダージョの哀愁漂う旋律と、中間のアレグレットのユーモラスな雰囲気の対比が趣のある音楽を繰り広げています。

第5楽章 Romance (Adagio - Allegretto - Adagio)

2013年7月10日水曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第4楽章

慈光寺境内のお地蔵様
第4楽章はメヌエット アレグレット 変ロ長調 3/4拍子。
第2楽章と同じ2つのトリオを伴った明るいメヌエット楽章です。

第4楽章 Menuetto

2013年7月9日火曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第3楽章 アダージョ

慈光寺境内の観音像
第3楽章はアダージョ 変ホ長調。
シンコペーション風の細かいリズムと低音楽器の分散和音にのって、天から舞い降りるように現れる清澄な旋律は比類のない美しさです。

第3楽章 Adagio

余談
映画「アマデウス」では、病院にいた晩年のサリエリが慰問に来た神父にモーツァルトについて語るシーンがあります。
モーツァルトとの出会いをしみじみ回想しながら、この曲についてこう述べています。
『それはごく普通の譜面だった。 出だしは驚くほど単純だ。
 バスーンやバセットホルンがぎこちなく響く。さび付いたような音。
 だが突然、その上にオーボエが自信に満ちた音色・・・。
 そしてクラリネットが引き継ぎ、甘くとろけるような調べとなる。
 「猿」に書ける音楽ではない。 初めて耳にする見事な音楽。
 満たされない切ない思いが溢れていた。 神の声をきくようだった。』

2013年7月8日月曜日

K.361 セレナード 変ロ長調 第2楽章

慈光寺境内のお地蔵様
第2楽章はメヌエット 変ロ長調 3/4拍子。
2つのトリオを伴い、主部のメヌエットが全合奏で奏され、第1トリオ(ホ長調)、哀愁を帯びた第2トリオ(ト短調)が続きます。

第2楽章 Menuetto

2013年7月7日日曜日

K.361 セレナード 変ロ長調「グラン・パルティータ」 第1楽章

慈光寺(新潟県村松)
「グラン・パルティータ」の通称で知られるセレナードを聴いてみましょう。 この通称はモーツァルトの自筆譜に後世の他者が書き込んだものですが、この作品の規模と内容をよく伝えています。
作曲されたのは1783年から84年と推測されています。当時のウィーンでは管楽器のアンサンブルが盛んに演奏されていて、その流れで作曲されたものと思われます。

オーボエ2、クラリネット2、バセットホルン2、ホルン4、ファゴット2、コントラバスという大規模な編成で、コントラバスの代わりにコントラファゴットが用いられることもよくあり、<13管楽器のためのセレナード>とも呼ばれています。
7楽章で構成された大曲で、クラリネットを中心としたそれぞれの楽器のもつ個性を見事に引き出した傑作として広く知られています。

第1楽章 Largo

第1楽章 Allegro molto 


写真に寄せて
先週末、村松にある越後白山という1,012mの山に初めて登ってきました。
その登山口にある慈光寺という古刹がありました。深い森の中に佇み神秘的で清浄な空気に包まれていました。

2013年7月6日土曜日

K.370 (368b) オーボエ四重奏曲 ヘ長調

慈光寺境内の紫陽花
当地・新潟は6月以来空梅雨ぎみでしたが、数日前から雨模様でようやく梅雨らしくなってきました。
こんな日は爽やかなオーボエ四重奏曲を聴いてみましょう。

この曲はモーツァルトが24才頃の作品で、滞在していたミュンヘンの名オーボエ奏者だったフリードリヒ・ラムのために作曲されたといわれています。
当時モーツァルトとラムがどんなやりとりをしながら曲を完成させたのか想像するのも楽しいです。
   「おーい、ラム、結構早いんだけどこんなフレーズ吹けるか?」
   「ヴォルフガング、任せてよ。ノープロブレム!」
   「ラム、君のような奏者がいてくれると創作意欲めちゃ湧いてくる・・・!!!」

全体にオーボエの繊細で愛らしい旋律と、小気味のいい音色が魅力的な名曲です。

オーボエ四重奏曲ヘ長調 第1楽章

2013年7月5日金曜日

K.498 三重奏曲 変ホ長調 「ケーゲルシュタット」第3楽章

越後白山山頂付近にて(2013.6.30)
今日は珍しい組合せのトリオを聴いてみましょう。
ピアノ、クラリネット、ヴィオラのための三重奏曲です。「ケーゲルシュタット」という名前で親しまれています。九柱戯 (ケーゲルシュタット) という遊びに興じながらモーツァルトが作ったといわれているためですが、真偽は定かでありません。友人のクラリネット奏者アントン・シュタットラーら仲間うちで演奏するために作曲されたともいわれています。
全曲を通して、クラリネットの優しい音色とヴィオラの充実した中音域、ピアノの華やかさが絶妙に溶け合って、幸福感に満たされる雰囲気を醸し出しています。

三重奏曲 変ホ長調 K.498/ 第3楽章 Allegretto

余談
私はこの曲の生演奏を数年前ラ・フォル・ジュルネ金沢で、ポールメイエ氏のクラリネット、仲道郁代さんのピアノ、高名なヴィオラ奏者(名前は忘れました)で聴く機会がありました。
とてもリラックスした雰囲気の素晴らしい演奏でした。舞台を見ていると奏者同士で頻繁に視線を交わしながら実に楽しそうに演奏しているが様子手に取るようにわかりました。
聴く方も楽しいけれど、演奏している方はもっと楽しんだろうな・・・・と、とても羨ましく思ったことを記憶しています。

2013年7月4日木曜日

K.252 ディヴェルティメント 変ホ長調 第1楽章


西蒲区丘陵地より望む菅名岳・粟ケ岳方面
モーツァルトの管楽器のために書かれたディベルティメントは、いずれも短めでわりと地味な存在ですが、それぞれの楽器の魅力が存分に発揮された傑作ぞろいです。
この作品はモーツァルトが20才頃、オーボエ、ホルン、ファゴットが各2本の編成で書かれています。

全曲を通した実にリラックスした雰囲気に満ちています。
モーツァルトはきっとお客様(貴族)の依頼でせっせと書いたのでしょう。
こういう曲を生で聞きながら貴族は食事でもしていたのでしょうか?
現代の私たちは技術進歩のおかげで、生演奏とはいかないですが、いつでもどこでもモーツァルトを楽しむことができます。何という幸せでしょうか。

ディヴェルティメント 変ホ長調 K.252 第1楽章 Andante

2013年7月3日水曜日

K.449 ピアノ協奏曲 第14番 変ホ長調

ウィーンに居を構えて3年目のモーツァルトが、音楽界の寵児となり、大活躍した時期、1784年の作品。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いであったようです。連日演奏会に飛び回り、予約演奏会のために作曲も多数手がけています。特にピアノ協奏曲はこの時期量産しています。
今で言うなら、人気シンガーソングライターが会員限定予約コンサートを頻繁に実施して、そのつど大変クオリティーの高い後世に残る名作を発表し続ける・・・というような状態であったようです。 

ピアノ協奏曲のジャンルは、モーツァルトが確立して、発展・完成させたといってもよいと思います。
特に番号の付いた27曲のうち、20番以降が非常に有名で、現在でも圧倒的な人気があり、演奏される機会も大変に多くなっています。
その影に隠れて20番未満の曲は比較的演奏される機会は多くありませんが、非常に充実した作品群であります。
予約演奏会に度に、聴衆に新鮮な驚きと感動を演出する斬新な手法が随所に駆使されています。
その中で、この14番はモーツァルトの「自作品目録」の巻頭を飾っていることでも有名です。
1784年2月に完成。3月17日にモーツァルト自身のピアノ演奏によって初演されました。

ピアノ協奏曲 第14番 変ホ長調 K.449/ 第1楽章 Allegro vivace


Link >> 第2楽章 Andantino 変ロ長調

2013年7月2日火曜日

K.458 弦楽四重奏曲 第17番 変ロ長調 「狩」 第1楽章

モーツァルトは弦楽四重奏曲を1770年から1790年の20年間にわたり23曲書いています。
作曲期間は13曲の初期作品と、ウィーン定住後に書かれた10曲に分かれています。

この曲は、よく知られているように、ハイドンに捧げた6曲の弦楽四重奏曲『ハイドンセット』の一つです。
このシリーズは1782年12月末に書かれたト長調「春」K.387から始まり、1785年1月のハ長調「不協和音」K.465で完結します。
モーツァルトがハイドンの四重奏曲に感銘し触発されて書いたといわれています。
お互いに認め合い尊敬しあった、ハイドンとモーツァルトの音楽史上最も美しい友情の証ともいわれています。

非常に緻密に作られていて、このジャンルの最高峰の作品のひとつといえるでしょう。

弦楽四重奏曲 第17番 変ロ長調 「狩」K.458 /第1楽章 Allegro vivace assai


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                   天才は天才を知る 

ヨーゼフ・ハイドン
ハイドンは1732年生まれで、77歳まで生き、1809年ウィーンで亡くなりました。
モーツァルトの24年前に生まれ、モーツァルトの18年後に亡くなりましたので、モーツァルトの生涯を暖かく見守っていた大作曲家といえるのではないでしょうか?
大変多くの曲を残しています。交響曲は104曲、弦楽四重奏曲は83曲、その他のジャンルも多数。現在広く知られているハイドンの曲も多数あります。
その大作曲家ハイドンが当時ウィーンでモーツァルトの弦楽四重奏曲を聴いて、父レオポルド・モーツァルトにこう言ったそうです。

「誠実な人間として神の御前に誓って申し上げますが、御子息は、私が名実ともども知っているもっとも偉大な作曲家です。様式感に加えて、この上なく幅広い作曲上の知識をお持ちです。」

天才は天才を知るのです。
   

2013年7月1日月曜日

K.385 交響曲 第35番 ニ長調 「ハフナー」

この交響曲は、ハフナー家の子息の爵位授与式のために6楽章のセレナード(第2ハフナー・セレナード)として作曲されました。翌1783年の春、アカデミー(予約演奏会)の曲目とするために4楽章の交響曲に改められたものです。
「そんな、セレナードを改作して交響曲が出来るの?」と思ってしまいますが、当時の交響曲は現在私たちが思うほどの重み(?)はなく、オペラの序曲のような、大曲への導入曲程度に捉えられていたようです。
 第2ハフナー・セレナードから、メヌエット1曲と行進曲を取り除いて、両端楽章にフルートとクラリネットのパートを書き加えたものが「ハフナー交響曲」です。
モーツァルトは当時オペラ『後宮からの誘拐』を作曲中で、超多忙の中でこの交響曲を作ったのですが、何ら本質的な変更も加えずに交響曲となりえた原作のセレナードの音楽的な充実は作曲者自身が驚きを感じたほどのものだったようです。
ここで紹介します第4楽章は「できる限り早く」演奏するように望んでいたようで、疾走する旋律と変化に富んだ様式が絶妙に調和し、聴く者の心を離しません。

交響曲 第35番ニ長調「ハフナー」K.385 第4楽章 Presto