2014年9月29日月曜日

ヴィターリ シャコンヌ ト短調



Tomaso Antonio Vitali / Chaconne in G minor   Nathan Milstein :violin  Artur Balsam :piano


このたびの御嶽山の噴火により犠牲になられた方々に心より哀悼の意を表します。
同じ山を愛する人間として悲しくてなりません。

私たちは自然から命をいただき、自然の恵みによって育まれ成長します。
自分を生み出した自然の豊かさに感謝にし、時にそのあまりの美しさに涙します。
しかし自然は私たちに予期せぬ困難も与えます。
時にその圧倒的なエネルギーの炸裂を前に私たちはなすすべを失います。

天地は私たちをどこに導くのだろう。
生生流転する自然界の中で、幾多の喜び・悲しみ・苦悩・絶望・安らぎを繰り返しながら、私たちはどこへと向かっているのだろうか。

2014年9月23日火曜日

K.37 ピアノ協奏曲 第1番 ヘ長調

角田山から望む新潟平野
ピアノ協奏曲というジャンルは、モーツァルトが発明・開発し完成させたといっても過言ではないと思います。 そのスタートとなった第1番を聴いてみます。
1767年に作曲されたこの1番から4番(K.37、39、40、41)はモーツァルトが他人の作品をピアノ協奏曲用に編曲したものです。モーツァルト自身はこれを他人の作を寄せ集めたものという意味の「パスティッチョ」と呼んでいました。
この第1番は、当時ウィーンで活躍していたラウパッハとホーナウアーというチェンバロ奏者の作品から1楽章ずつ抜き出して編曲しているそうです。
このような作業を通じて磨きをかけた作曲技法は、以後に創り出す歴史的な作品群に結実していきました。

ピアノ協奏曲 第1番 ヘ長調 K.37/第1楽章 Allegro


余談
モーツァルトのピアノ協奏曲の初期の作品はなかなか聴く機会がありません。
第9番「ジュノム」K.271がよく演奏される最も番号の若い作品のような気がします。
改めて聴いてみると、この第1番も他人の作品の編曲とはいえ、いかにもモーツァルトという雰囲気をかもし出しています。

2014年9月20日土曜日

K.80 (73f) 弦楽四重奏曲 第1番 ト長調 第1楽章

角田山麓の田園風景
モーツァルトの弦楽四重奏も生涯に亘って書かれ続けた重要なジャンルです。 その最初の作品を聴いてみます。
1770年3月15日、14歳の時に最初の3楽章が作曲されています。
父との最初のイタリア旅行の際に宿泊地であったローディで書かれたことから、「ローディ」という愛称で呼ばれることもあります。終楽章は後にウィーンかザルツブルクで書かれたようです。
第1楽章はアダージョで始っています。多少変則的な形ですが、当時のイタリアではこのような形式があったようです。 モーツァルトの輝かしい弦楽四重奏作品群の第一歩です。


弦楽四重奏曲 第1番 ト長調 K.80/第1楽章 Adagio

写真に寄せて
周囲の越後平野は実りの秋を迎えています。
黄金の稲穂の輝きが一面を覆って美しい光景です。
今年も台風等の影響もなく、無事に収穫を迎えられたことに農家の方々は安心されておられることでしょう。
しかし、近年のTPP等の政治状況を考えると複雑な思いにかられます。
シンプルに地元で収穫された自然の恵みを地元でいただく「地産地消」がスムーズに機能するよう祈らずにはいられません。

2014年9月15日月曜日

K.7 ソナタ ニ長調 第2楽章

上堰潟公園のコスモス(9月13日撮影)
吉田秀和さんの『モーツァルト その音楽と生涯』を曲を聴きながら読んでいたら、心に残る作品がありました。モーツァルト8歳の時の作品です。
とてもシンプルで静謐な楽章で、8歳の子供の作品とは信じがたいです。(そんな事を言い出したら、毎回言ってなくてはいけなくなりますが……)
ヨハン・ショーベルトの作品を踏襲しているそうですが、父のレオポルトは「一風変わった趣味のもの」と手紙に書いているそうです。ここではチェンバロとヴァイオリンの演奏で聴いてみます。

ソナタ ニ長調 K.7 /第2楽章 Adagio


余談
このたびの「きらクラ!」の楽章取違いの件では、BWV1000番様のおかげで全国のリスナーの方々から書込みをいただき誠にありがとうございました。NHK様にも誠実に対応していただき恐縮しております。
以前の私でしたら、ひとり悶々としていたのでしょうが、話して分かってくださる人々がいるというのはとても心強い限りでした。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
今回の「きらクラ!」では「ここ好き」でブルックナーの7番が登場してとても感動しました。オイゲン・ヨッフム氏の指揮姿の記述には鳥肌が立ちました。こういう演奏に立ち会えた方は一生の宝物になると思いました。
実は私、近くの山を歩きながら聴いていたのですが、あの重厚な第2楽章の響きを森林の中で聴いていたら目頭が熱くなりました。音楽って本当に素晴らしいです。

2014年9月13日土曜日

K.16 交響曲 第1番 変ホ長調 第1楽章

新潟市角田浜より望む日本海(2014.9.13撮影)
モーツァルトの初期の交響曲はなかなか取り上げられる機会は少ないですが、今日は彼が最初に書いた交響曲を聴いてみます。
 1763年6月9日からモーツァルト一家は3年半にも及ぶ西方への大旅行に旅立ちました。 僅か7歳のモーツァルトは各地で多様な音楽を吸収し作曲技術を格段に高めたといわれています。
この第1番も当時ロンドンで活躍していたクリスチャン・バッハの影響を受けているといわれています。 1764年末から65年1月、モーツァルト8歳の時にロンドンで作曲されました。
この第1楽章はモルト・アレグロで簡単なソナタ形式になっています。

交響曲 第1番 変ホ長調 K.16/第1楽章 Molto Allegro


余談
モーツァルトの初期の作品はなかなか触れる機会が少なく、どうしても後期の完成度の高い作品ばかりを取り上げがちになりますが、彼の歴史を知る上ではやはりしっかりと聴いておきたいものです。
今回この最初の交響曲を取り上げたのには理由があります。
それは、あの有名な吉田秀和さんの『名曲の楽しみ モーツァルト その音楽と生涯』が今出版されているからです。 私も6月に買っていた第1巻を最近ようやく読み始めています。
なんとNHKで1980年4月から7年間に亘って放送されたものの書き起こしで、来年の1月までに全5巻が発刊されるそうです。 私も当時、時々聴いていましたが、こうして本になるとは思っていなかったので凄く嬉しいです。
モーツァルトの作品を時系列に丁寧に解説した一級品の内容で、文体も語り口調でとても親しみがもてます。 洋書の翻訳調の書籍に比べると遥かに分かりやすい内容になっています。
これから私も何年もかけてCDを再生しながら読ませていただきます。