2015年9月26日土曜日

K.425 交響曲(第36番)ハ長調 「リンツ」第4楽章

モーツァルトは1783年7月に妻コンスタンツェを紹介するためにザルツブルクに帰郷しました。その滞在の帰途にリンツに立ち寄った際に書かれたのがこの交響曲です。
リンツでは大歓迎を受け、トゥーン伯爵の邸宅に迎えられしばらく滞在しました。その際伯爵が企画した音楽会のためにこの曲が書かれたといわれています。
手紙などの資料によると10月30日から書き始めて11月4日の音楽会に間に合わせたようです。コピー機などない時代、各パート譜に写す手間等考えると信じられないスピードです。
曲は4楽章からなっていて、全体にのびやかで気品のある快活さに溢れた魅力的な作品です。
この第4楽章は短くてきびきびした主題がリズミックに展開して知的な感じがします。


交響曲 ハ長調 K.425「リンツ」/第4楽章 Presto
写真に寄せて
実りの秋です。ここ新潟平野もたわわに実った稲穂で埋め尽くされていましたが、現在はほとんど収穫も終えています。写真は1週間前の19日に角田山を望む蒲原平野で撮影しました。

2015年9月22日火曜日

K.464 弦楽四重奏曲(第18番)イ長調 第4楽章

最後の楽章です。アレグロ・ノン・トロッポ(自筆譜はアレグロ)イ長調 2/2拍子。
第1楽章から派生した第1主題をヴァイオリンが奏でたあとすぐに対位法的な発展が始められます。
この展開は『あらゆる室内楽曲中、「学問的」様式の最も完璧な例のひとつ』という評論家もいます。
確かにジュピターの最終楽章のような均衡美を感じさせます。
そして最後はアインシュタインが「聴衆をきわめて瞑想的にして立ち去らせる」と評したppで静かに全曲を閉じます。


弦楽四重奏曲 イ長調 K.464/第4楽章 Allegro non troppo
余談
全楽章を通してこの曲の深い味わいに魅了されます。この季節にいつも抱きしめていたいような作品です。
よく知られているように、この曲の完成した1月前(1874年12月14日)にモーツァルトはフリーメイソンに入団しています。そのことが創作上何らかの影響を及ぼしていると考えることは自然なことだと思いますが、入団を境に彼の作品は一段と深さを増したと感じるのは私だけでしょうか?

2015年9月21日月曜日

K.464 弦楽四重奏曲(第18番)イ長調 第3楽章

第3楽章はアンダンテ ニ長調 2/4拍子。主題と6つの変奏曲からなっています。
それぞれの変奏は強い特徴を示すものではなく、全体的にゆったりと調和した空気感を保っています。
第4変奏はニ短調になっています。最後の第6変奏の後には長いコーダがついて静かに楽章を閉じます。


弦楽四重奏曲 イ長調 K.464/第3楽章 Andante ニ長調
余談
今朝も爽やかな朝日に包まれています。素晴らしい秋の一日のスタートです。
このような日に、ゆったりとモーツァルトの音楽を楽しみながら家事をするというのも素敵な過ごし方です。

2015年9月20日日曜日

K.464 弦楽四重奏曲(第18番)イ長調 第2楽章

第2楽章はメヌエット、3/4拍子、イ長調で、第1楽章がメヌエットに変容したような印象を受けます。
主要な2つのモティーフが順に登場して、少し経過してから対できかせて、その後ソナタ形式の展開部のように発展します。
ゆったりと気の向くままに、4つの音色が対話しながら散歩しているような雰囲気の楽章です。


弦楽四重奏曲 イ長調 K.464/第2楽章 Menuetto

<写真>北方文化博物館(旧伊藤邸)の100畳敷の大広間

2015年9月18日金曜日

K.464 弦楽四重奏曲(第18番)イ長調 第1楽章

この弦楽四重奏曲は有名なハイドンセットの第5曲目にあたり、1785年1月ウィーンで書かれています。
名前のついている4曲目のK.458「狩」、6曲目のK.465「不協和音」にはさまれてやや控えめな存在ですが、とても魅力的な作品です。
全体を通して透明感にあふれる柔らかな雰囲気に包まれ、半音階的な繊細なハーモニーは曲に奥深い陰影をもたらしています。緻密で卓越した作曲技法が駆使されているそうで、絶賛する専門家も多いようです。
第1楽章はイ長調 3/4拍子、ソナタ形式で書かれ微妙な転調を味わうことができます。


弦楽四重奏曲 イ長調 K.464/第1楽章 Allegro
余談
この四重奏曲には特別キャッチーな旋律があるわけではありませんが、しっとりと落ち着いて淡々と旋律を紡いでいきます。年齢のせいなのでしょうか、このような音楽が深く心をとらえる今日この頃です。
<写真>新潟市北方文化博物館(旧伊藤邸)の大広間からのぞむ庭園

2015年9月14日月曜日

K.270 ディヴェルティメント 変ロ長調 第2楽章

第2楽章はアンダンティーノ へ長調 4分の2拍子。
主題は第1オーボエが奏で、第2オーボエとファゴットがカノン風の模倣を添えていて、実に愛らしく親しみのもてる楽章です。
このような小品の中にもモーツァルトの才気がほとばしり、何度聴いても魅了されます。


ディヴェルティメント 変ロ長調 K.270 第2楽章 Andantino ヘ長調
余談
この管楽六重奏用のターフェルムジーク(食卓音楽)の連作は1775年7月から1777年1月の間にザルツブルク宮廷のために作曲されたと思われています。
へ長調 K.213、変ロ長調 K.240、変ホ長調 K.252、へ長調 K.253、変ロ長調 K.270 の5曲によって構成されています。いずれも小規模な4楽章形式(K.253のみ3楽章)で、極めて簡素な外観の作品ですが各楽器の絶妙なハーモニー、洒脱な曲想、親しみやすさなど、ちょっとリラックスしたい時に聴くにはもってこいの作品の数々です。これからも機会をみて取り上げたいと思います。

2015年9月13日日曜日

K.270 ディヴェルティメント 変ロ長調 第1楽章

モーツァルトは管楽のためのディヴェルティメントをいくつか書いていますが、この曲はザルツブルク宮廷のためのターフェルムジーク(食卓音楽)として書かれた5曲の連作の最後のものです。
貴族の方々の食事の折に演奏されていたようです。
オーボエ、ホルン、ファゴットが各2本の構成でシンプルでリラックスした心から楽しめる音楽になっています。
1777年1月ザルツブルクで作曲されています。この第1楽章はこのシリーズの中では最も長い楽章になっています。


ディヴェルティメント 変ロ長調 K.270 第1楽章 Allegro molto
余談
ご無沙汰しておりました。長らくお休みをいただきました。
私も寄る年波には勝てず、あれ以後体のメンテナンスが必要となり、仕事もリタイアして療養に努めております。
早く元気になっていろいろな山に登りたいと願っています。
また時々気が向いたらこのサイトを更新させていただきますので、お時間がありましたら是非遊びにいらしてください。