2015年11月13日金曜日

K.468 歌曲「結社員の旅」

ここでモーツァルトのフリーメイソンの音楽を聴いてみます。
この曲はオルガンまたはピアノの伴奏で歌われる、28小節の比較的シンプルな曲です。
「不協和音」完成後の3月26日にウィーンで作曲されています。モーツァルトの勧めで入会した父レオポルドの第2位階に昇進した際の儀式のために書かれたといわれています。
歌詞はフランツ・ヨーゼフ・ラチュキーという人のもので、
   『今や理解の新しい段階に進もうとする君は、
    知恵に至る道と信じて迷わずに君の道を行きたまえ。
    なしとげた者だけが光の泉に近づくものと知れ。』
といった内容になっています。


   歌曲「結社員の旅」K.468
余談
私は宗教的な素養がないもので、モーツァルトに関しても宗教曲はついつい疎遠になりがちですが、このフリーメイソンの啓蒙思想はモーツァルトの音楽を理解するうえでとても重要であると思われます。
この思想が表現された名高い作品があの名作オペラ『魔笛』であるといわれています。
<写真>新潟県南魚沼市 魚沼の里 長森のそば畑

2015年11月10日火曜日

K.465 弦楽四重奏曲(第19番)ハ長調 第4楽章

ハイドン・セットもいよいよ最終楽章に来ました。アレグロ(初版ではアレグロ・モルト)ハ長調、4分の2拍子。
まず冒頭の澄み切った第1主題で豊かな軽やかさに満たされます。
その後の第2主題、軽快な16分音符のパッセージ、そして変ホ長調でうたわれる印象的な旋律と、明確な4つの素材から構成された楽章になっています。
展開部での転調過程は、第1楽章の序奏部のハ長調を得るまでの過程の再確認とも考えられます。
コーダでは第1主題が再現して、混沌とした不安定感で始まったこの曲は明快な躍動感のうちに力強く閉じられます。


弦楽四重奏曲 ハ長調 K.465/第4楽章 Allegro
余談
モーツァルト創意に満ちたハイドン・セットが完結しました。
この曲集をハイドンに献呈する際にモーツァルトは次のような献辞を添えていました・・・・

『親愛なる友ハイドンに  

 ・・・ここに私の6人の息子をお贈りします。
 いずれもまことに長い間の辛苦の末の成果です。
 何人かの友人が、少なくともいくらかは労苦も報われるだろうと言ってくれたのに励まされ、この子らがいつの日か私にとってなんらかの慰めになることもあろうと期待するに至りました。
 ・・・どうかこの子らを優しくお迎えください。そして彼らの父とも導き手とも、また友人ともなってくださいますよう!・・・

              あなたの誠実な友 W.A.モーツァルト ウィーン 1785年9月1日 』

2015年11月8日日曜日

K.465 弦楽四重奏曲(第19番)ハ長調 第3楽章

第3楽章はメヌエット アレグロ ハ長調。
モティーフと強弱の対比でスケルツォ的な雰囲気を持っている楽章です。
ハ短調のトリオは、シンプルな伴奏の上に第1ヴァイオリンが情熱的なメロディーを歌います。
全体的に他の楽章に対しても印象的なコントラストを作り出しています。


弦楽四重奏曲 ハ長調 K.465/第3楽章 Menuetto
今日の「きらクラ!」
今回のBGM選手権は科学的な記述で一体どんな曲がつくのだろうかと楽しみにしておりました。
どれも異なったアプローチで素晴らしく、ふかわさんも困って全部ベストとなった歴史的な放送でした。
①なよこぶたさん:シベリウス/即興曲 作品5-5 ----きらめく無数の星が降り注ぐような音楽でした。
②悪魔の胃袋さん:ストラヴィンスキー/火の鳥 終曲 ----壮大な宇宙を連想させるスケール感!
出入飛鳥(ディーリアスか)さん:バッハ/チェンバロ協奏曲 BWV1056 第2楽章 ----淡々と流れる柔らかいピアノの響きが科学的な記述にピッタリ。私的にはベストでした。
本当にこの企画は面白いです。感動させていただきました。

2015年11月2日月曜日

K.465 弦楽四重奏曲(第19番)ハ長調 第2楽章

第2楽章はアンダンテ・カンタービレ ヘ長調。
展開部を省いたソナタ形式になっていて、平明で淡々と進行する緩徐楽章ですが、モーツァルト特有の奥深い安らぎに満ちています。
オットー・ヤーン(19世紀のモーツァルト研究家)はこの楽章を「私たちを、苦しみと激情の記憶の浄化された、霊的な平安の領域に高めてくれる」と評しています。


弦楽四重奏曲 ハ長調 K.465/第2楽章 Andante cantabile ヘ長調
写真に寄せて
先日、谷川岳の付近を散策してきました。
好天に恵まれ、美しい紅葉と気高く険しい一ノ倉沢の岩壁を望むことができました。
若い頃何度か東京から帰省する際、上野発の夜行電車で早朝土合駅で降りて、日の出とともに西黒尾根で谷川岳を目指したり、清水峠越えをした記憶がよみがえりました。何にも縛られない自由を満喫できた青春でした。

2015年11月1日日曜日

K.465 弦楽四重奏曲(第19番)ハ長調「不協和音」 第1楽章

ハイドンセットの最後の第6曲目です。この四重奏曲は冒頭の22小節からなる不協和音に満ちた序奏があることから、「不協和音」と呼ばれて大変有名です。
当時この和声は理論的に間違いとして書き改められて演奏されたこともあったようで、それほど大胆な試みをモーツァルトがなぜ敢えてしたのかは謎です。
現代の私たちは多様な音楽に接していますから、この序奏を聴いてもさほどの違和感は感じません。むしろこの後に来るハ長調の明るい主題と見事な対比をなして、緊張感をはらんだより一層の魅力を感じさせる作品になっています。
前作 K.464 イ長調の四重奏曲完成のわずか4日後の1785年1月14日に完成していています。
ハイドンに捧げる曲集の最後を締めくくるモーツァルトの意気込みがうかがえます。


弦楽四重奏曲 ハ長調 K.465/第1楽章 Adagio - Allegro
余談
この「不協和音」の序奏部分については、モーツァルトの前年末のフリーメイソン入信と深い関係があるという説があります。それによりますと、
●フリーメイソンの最も重要な標語の一つにみられる《混沌から秩序へ》を表現している。
●入門志願者は目隠しをされたままフリーメイソン結社の儀式のなかへ案内され、その後突然目隠しがはずされ、燦然と輝く光に目が眩んでしまうという体験の感動表現である。
という考えです。真偽は定かでありませんが、私には納得できる説です。以前にも申しましたが、フリーメイソン入会後のモーツァルトの作品にはより一層の奥深さを感じるからです。
<写真>谷川岳・一ノ倉沢への遊歩道からマチガ沢を望む