2016年1月28日木曜日

K.482 ピアノ協奏曲(第22番)変ホ長調 第2楽章

第2楽章はアンダンテ、ハ短調。
ロマン派を予告するようなメランコリックで魅力的な旋律が弱音器を付けた弦で始まります。その後ピアノの第1変奏と続き、随所でクラリネット、ファゴットあるいはフルート等の組み合わせで美しい木管のアンサンブルが室内楽のように豊かな旋律を奏でます。
弦楽器、木管楽器、そしてピアノの音色が見事に融和し、奥深い陰影を湛えた楽章となっています。
この協奏曲が初演された時、特にこの楽章は評判がよくアンコールされたそうです。


ピアノ協奏曲(第22番)変ホ長調 K.482/第2楽章 Andante ハ短調

≪参考≫ 第3楽章 アレグロ ―→ こちらから

ブログの更新をしばらくお休みします
ザルツブルク、ウィーンを中心にモーツァルトの足跡を辿る気ままな旅に出てきます(個人的妄想による大ウソ!)。
そのため申し訳ありませんが、ブログの更新をしばらくお休みさせていただきます。
春頃にはリフレッシュして元気に再開出来ることを祈っています。それまで皆様もどうかお元気でお過ごしください。

2016年1月27日水曜日

K.482 ピアノ協奏曲(第22番)変ホ長調 第1楽章

Happy 260th Birthday!!  W.A.Mozart!!!
1785年(モーツァルト29歳)の年に3曲のピアノ協奏曲が書かれています。
第20番 ニ短調、第21番 ハ長調、そしてこの22番 変ホ長調です。いづれも名曲の誉れ高い傑作揃いで、翌年書かれた3曲と合わせてピアノ協奏曲創作の最充実期といっていいでしょう。
このK.482はピアノ協奏曲で初めてクラリネットが用いられた作品としても知られています。全体的に規模も大きく、堂々たる交響的構築をもち、後期の充実した筆致を示しています。
この第1楽章はアレグロ、4分の4拍子、ソナタ形式で書かれています。
冒頭のユニゾンの朗々とした響きに続き、木管の音色が美しく歌います。おもしろいことにこの楽章ではピアノが主題を奏でることはなく、オーケストラが主題をうけもち、ピアノは自由に小さなカデンツァのように輝きを放っています。


ピアノ協奏曲(第22番)変ホ長調 K.482/第1楽章 Allegro
生誕260年おめでとう!!!
本日はモーツァルトのお誕生日です。また、きりのいい生誕260年ということで、ミニイベントもあるようです。
260年経っても愛され続けるモーツァルトの音楽は正に天からの人類への贈り物です。ありがとうございます。
<写真>朝霧高原から望む富士山(2016年1月初旬撮影)
      撮影した時期は冠雪が少なく、夏の富士のようでしたが、先日の寒波で今は見事な雪化粧をしています。

2016年1月25日月曜日

K.481 ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 第3楽章

第3楽章は主題と6つの変奏からなっています。主題はアレグレット、4分の2拍子、変ホ長調。
第1変奏はヴァイオリン、第2変奏はピアノ、第3はピアノの動き回る左手の変奏、第4はヴァイオリンが主役。第5はピアノの流れるような旋律。
最後の第6変奏は8分の6拍子のアレグロで華やかに全曲を閉じます。 短調の変奏がないのはめずらしく、全体にとても明るい印象を残しています。


ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 K.481/第3楽章 Allegretto
今日の「きらクラ!」
今回のドンはモーツァルトの「魔笛」から夜の女王のアリア。ネアピンでこれまたモーツァルトのピアノ協奏曲第20番がかかって、モーツァルト・ファンにとってはたまらない冒頭部分で十分楽しませていただきました。
ピアノ協奏曲の第20番は、現在このBlogに載せている1785年の作品で、2月に完成しています。本当に名曲中の名曲で、冒頭の弦楽のシンコペーションを耳にすると心が震えます。
また今回のBGM選手権のお題は結構難しく、みなさんがどのような音楽を当てるのか興味深く聴かせていただきました。なかなかよかったと思いますが、3作品ともカラーが似ていて、贅沢にもやや物足りなさを感じてしまいました。もっと明るくて意外な曲とのコラボがあると面白かったかな?などと分不相応で身勝手なことを思ってしまいました。ご苦労されているコダマッチさんはじめスタッフの皆様、ごめんなさい m(__)m。

2016年1月23日土曜日

K.481 ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 第2楽章

第2楽章はアダージョ、変イ長調で、自由な形式で書かれています。
2つのエピソードと主要主題の変奏された反復を伴うロンドで、半音階的な転調に富んでいる和声が非常に魅力的で、後にシューベルトなどに影響を与えたともいわれています。
アインシュタインはこの楽章を
『魂の深淵に導く異名同音的転換において頂上を極める迷宮的な転調を伴うアダージョほど、モーツァルトがベートーヴェンに近づいている場合はない。』と述べています。
モーツァルト以後のロマン派への先駆けとなっている音楽といえるかもしれません。


ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 K.481/第2楽章 Adagio 変イ長調
余談
全国的な寒波の予報が出ています。どうか皆様、寒さ対策を万全にして乗り切ってください。
ところで、昨夜から今日にかけてのU23サッカー・オリンピック予選は本当にしびれる試合でした。90分を見ていたら勝てる気がしませんでしたが、延長戦での爆発的得点シーンには感動を頂きました。もう1勝に向けて、頑張れNIPPON!!!
<写真に寄せて>
この富士山本宮浅間大社の湧玉池の水は、富士山の伏流水に満たされた、素晴らしい透明度の見たことのないような美しい池でした。ここに住むカモたちは幸せそうでした。

2016年1月20日水曜日

K.481 ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 第1楽章

モーツァルトは生涯に亘って40曲以上のヴァイオリン・ソナタ(ピアノとヴァイオリンのためのソナタ)を書いています。
この作品はその中の最後から3番目にあたり、非常に充実した構成になっていて、アインシュタインが「三大ソナタ」( K.454、K.481、K.526)と称した中の一つです。
この年(1785年)の後半には「フィガロの結婚」の作曲に取り掛かっていて、多忙の中で作曲されましたが、その目的ははっきりしていません。1786年にホフマイスターから出版されていることから、生活費を捻出するためとも考えられています。事実このころモーツァルトがホフマイスターに借金を無心する手紙が残されています。
この第1楽章はモルト・アレグロ、ソナタ形式で快活・明朗な楽章です。第1主題はピアノが担い、第2主題はピアノとヴァイオリンが対等にかけあいます。展開部に入るとジュピター交響曲の最終楽章の有名なモティーフが現れるのも興味深いところです。


ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 K.481/第1楽章 Molto allegro
<写真>富士山本宮浅間大社 湧玉池にくつろぐカモたち(2016年1月上旬撮影)

2016年1月15日金曜日

K.411(484a) アダージョ 変ロ長調 

引き続き1785年のモーツァルトの作品を聴いてみます。
この年にはフリーメイソンに関係したいくつかの作品を書いていますが、これもその一つです。
クラリネット2本、バセットホルン3本の管楽器による小品です。
フリーメイソンの何らかの儀式、おそらく会員の入場のための序奏として演奏されたものと考えられ、ゆったりした旋律と厳かな雰囲気を湛えています。


アダージョ 変ロ長調 K.411(484a)

写真に寄せて
この冬、初めての積雪となりました。朝は氷点下の冷え込みでした。
遅ればせながら本格的な冬の到来のようです。写真は薄らと雪化粧した上堰潟公園です。
いつもの冬が来て安心しました。でも雪も積りすぎないようにと勝手なお願いをしています。
太平洋側にお住まいの方は想像しにくいかと思いますが、当地は冬の間(概ね11月から2月)はほぼ毎日写真のような重たい曇天となります。だからこそ春の喜びはひとしおになります。

2016年1月13日水曜日

K.478 ピアノ四重奏曲 ト短調 第3楽章

第3楽章は主調のト短調には戻らないで、ト長調をとっているのがこの曲の特徴的なところです。
そのため通常のモーツァルトの短調の作品で感じるような痛切感がありませんが、主楽章でみせた烈しさを内に含みながら、美しい透明感に溢れた楽想で、いきいきとしたテーマが見事な構成力で進行します。
テーマのひとつに40番ト短調交響曲の冒頭のモティーフが何度か現れます。この頃からモーツァルトの中ではあのト短調交響曲の構想が出来上がっていたのかも知れません。


ピアノ四重奏曲 ト短調 K.478/ 第3楽章 Allegro moderato ト長調
余談
このピアノ四重奏曲は、ウィーンの出版社ホフマイスターからの依頼で書かれました。
この第1曲が出来上がったら出版社が「この楽譜を見たら、みんなが難しすぎるので受けないだろう」と嘆いたため、モーツァルトは嫌気がさしたのか自ら連作の契約を破棄して、次作の第2番をアルタリア社から出版したと伝えられています。
もし、ホフマイスターが作品そのものの素晴らしさを正当に評価し、モーツァルトに賛辞を送っていたら、もっと多くのピアノ四重奏曲が残っていたと思われます。

2016年1月10日日曜日

K.478 ピアノ四重奏曲 ト短調 第2楽章

第2楽章はアンダンテ、変ロ長調、8分の3拍子で、展開部を省いたソナタ形式になっています。
第1楽章とは対照的に、控えめな表現のゆったりとした心安らぐ曲想になっています。


ピアノ四重奏曲 ト短調 K.478/第2楽章 Andante 変ロ長調

今日の「きらクラ!」
今日は「BGM選手権スペシャル」でした。
リスナーの皆さんの素晴らしい投稿と選曲に大きな感動をいただきました。
多くの投稿の中からセレクトして構成されたコダマッチさんには脱帽です。
どの作品も斬新な着眼点と幅広い選曲で秀逸でしたが、特に心に残ったものは・・・・・
「ノーザンライツ」では
・バーバー:弦楽のためのアダージョ(合唱版)
       合唱の曲があてられることはめずらしいと思いますが、静謐な雰囲気が素晴らしい。
       崇高な気持ちにさせられる感動的な作品でした。
・ヴィヴァルディ:マンドリン協奏曲
       この詩に、マンドリンの音をあてるという発想が非凡だと思います。
       実際聴いてみると、目をみはる化学反応! 暖かい気持ちになりました。
「うられていったくつ」では
・ルロイ・アンダーソン:「忘れ去られた夢」
       とても美しい曲(私は初めて聴きました)で、少年の純粋な気持ちが伝わってきました。
       涙腺タイムになるくらいの感動的な仕上がりでした。
今回は全部で12作品が放送されましたが、どれも甲乙付けがたい充実したもので、全部にベストを贈りたい内容でした。また、ひとつひとつの作品に対するふかわさんの感性豊かなコメントには大いに共感しました。
「同曲異文」
コダマッチさんの推奨で、過去の作品から同じ音楽で違う詩(文)をあてた作品が流されました。
この試みを聴いてみて、ふかわさんもコメントされていましたが、改めて音楽の力って本当に凄いと思いました。人の心にダイレクトに届く人類共通の芸術文化だと感じました。

2016年1月9日土曜日

K.478 ピアノ四重奏曲 ト短調 第1楽章

モーツァルトはピアノ四重奏曲を2曲書いていますが、このK.478 ト短調は1785年の10月に完成しました。
ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという組み合わせは当時は一般的ではなかったようですが、この後の時代ではベートーヴェンをはじめ多くの作曲家がこのジャンルの作品を書いています。
ト短調といえばモーツァルトの宿命の調性ともいわれますが、交響曲第40番や弦楽五重奏第3番のような切迫した雰囲気はこの曲全体からはあまり感じられません。このことは第1楽章以外は短調が避けられているからかと思われます。
この楽章はアインシュタインが「運命のモティーフ」と呼んだ、烈しい内的な緊張を含んだ旋律が全体を支配しています。


ピアノ四重奏曲 ト短調 K.478 第1楽章 Allegro
余談
(遅ればせながら…)新年おめでとうございます。今年も不定期・気ままな更新のBlogですが、何卒よろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

<写真>早朝の田貫湖から望む富士山方面(2016年1月8日撮影)
当地・新潟はいまだに無雪状態で思うような写真が撮れなかったため、所用のついでに富士山方面を撮影してきました。運よく好天に恵まれ、40年ぶりに美しい富士を間近に堪能させていただきました。
富士山は心のふるさと。広大な裾野と気高い頂にはただただひれ伏すのみです。富士山がある国土に生まれ育った幸せを感ぜずにはいられません。