2017年9月30日土曜日

K.283(189h) ピアノ・ソナタ(第5番)ト長調

1775年の3月迄、モーツァルトはオペラ『偽の女庭師』の上演のためミュンヘンを訪れていました。
その時期にミュンヘンのデュルニッツ男爵のために6曲のピアノ・ソナタ(K.279~284)を書いていますが、その中の5番目にあたるト長調のソナタを聴いてみます。
鍵盤楽器がチェンバロからフォルテ・ピアノに発達段階だった時期であったため、モーツァルトもヨーゼフ・ハイドンやヨーハン・クリスティアーン・バッハの作品を参考にしながら様々な実験的試みをしているといわれています。
この第1楽章は、明朗で新鮮なリズムとともに軽やかに飛び跳ねるように進んでいき、実に爽快な印象を残します。


ピアノ・ソナタ(第5番)ト長調 K.283(189h)/第1楽章 Allegro

Link▶▶
  ソナタ(第1番)ハ長調 K.279(189d)
  ソナタ(第2番)ヘ長調 K.280(189e)
  ソナタ(第3番)変ロ長調 K.281(189f)
  ソナタ(第4番)変ホ長調 K.282(189g)

<写真>オーストリア デュルンシュタインのレストラン

2017年9月25日月曜日

K.211 ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ長調 第3楽章

フィナーレの第3楽章は、モーツァルトがイタリア語の「rondo」ではなくフランス語の「rondeau」という題名を付けたことでフランス音楽の影響を受けたとも推測されています。
2部のヴァイオリンに支えられて独奏ヴァイオリンが愛らしい主要主題を提示します。快活なエピソード、短調のエピソードをはさみながらこの主題は3度再帰し、フランス風の優美でギャラントなエンディングを迎えます。


ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ長調 K.211/第3楽章 Rondeau : Allegro ニ長調

<写真>ザルツブルク ミラベル宮殿で行われていた地元の結婚式の模様

今日の「きらクラ!」◆ 心にしみたブラームスの旋律
今回の「秋のブラームス祭り」は時期的に少し早いかな……と思いつつ聴いていましたが、次々と流れてくる奥深いハーモニーと旋律にすっかり心を奪われました。
私はブラームスのCDをあまり持っていませんし、普段も積極的には聴いていませんが、これからの時期ブラームスの室内楽を流しながら、温かいコーヒーをいただくなんてぴったりな感じがしました。
こうした偉大な作曲家が残してくださった数々の名作を、再生とはいえ身近に存分に味わえる幸福にただただ感謝します。

2017年9月24日日曜日

K.211 ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ長調 第2楽章

第2楽章はアンダンテ ト長調。
終始ゆったりとした抒情性に満ちていて平穏な波に揺られるような思いになります。ところどころ不意に訪れる沈黙に哀愁を感じます。
モーツァルト以後の作曲家によるヴァイオリン協奏曲にみられる緊張感・緊迫感・技巧性から比べると遥かにシンプルな内容ですが、そのシンプルさにこそ琴線に触れるものがあります。


ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ長調 K.211/第2楽章 Andante ト長調

<写真>ザルツブルク ミラベル宮殿の庭園
余談
このミラベル宮殿は、1606年当時ザルツブルクの大司教だったヴォルフ・ディートリッヒが愛人サロメ・アルトのために建造したものだそうです。愛人にマンション1戸とはスケールが違い過ぎます。
私は勉強不足で、今まで大司教というのは宗教的な指導者だと思っていたのですが、当時は塩の取引による経済力、政治力を併せ持った絶対的な領主だったようです。
そのような絶対的な領主に逆らったモーツァルトは流石です! なかなか出来ることではありません。

2017年9月22日金曜日

K.211 ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ長調 第1楽章

ザルツブルク時代のモーツァルトの作品を聴いてみます。
1775年・モーツァルト19歳のこの年に第2番から5番迄の4曲のヴァイオリン協奏曲が集中的に書かれたことはよく知られています。
この第2番はその年の最初に書かれた協奏曲で、第1番からは2年ぶりの作品となります。書かれた動機ははっきりわかっていませんが、父のレオポルドが有名な「ヴァイオリン教程」を出版したこととの関連も推測されていますが、おそらく宮廷楽団のために作曲したと思われます。
技巧的な名人芸を誇示する内容とは異なり、のびのびとした独奏とオーケストラの掛け合いが、とても心地よい響きを醸し出しています。


ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ長調 K.211/第1楽章 Allegro moderato

<写真>ザルツブルク ミラベル宮殿からホーエンザルツブルク城を望む(2017年9月撮影)
余談
大変長いお休みをいただいておりました。またぼちぼち再開しますので、お時間のある時に遊びにいらしてください。
さて私の念願でありましたザルツブルク、ウィーンを中心としたモーツァルトの足跡を辿る旅にこの度行ってまいりました。旅といっても「ひとりでのんびり」なんてことは無理なので、旅行会社のツアーに参加させていただき、各地の名所を巡ってきました。混雑するザルツブルク音楽祭を避けたのですが、それでも世界中から沢山の観光客が押し寄せていてました。
このブログにようやく本場の写真を載せることが出来るのがとてもうれしく思います。