2018年1月31日水曜日

K.388(384a) セレナード(第12番) ハ短調「ナハトムジーク」

ウィーンに移住したモーツァルトは多忙な日々を送っていました。
1782年はオペラ「後宮からの逃走」の初演、そして8月にはコンスタンツェとの結婚を控えていました。
そんな忙しない7月に、モーツァルトはこの短調のセレナード(通称「ナハトムジーク」)を書いています。作曲の動機は結婚資金の捻出のためとか、バッハやヘンデルの曲に触発されたとかの説がありますが、真相は不明です。
全部で13曲残されているセレナードの中で唯一の短調であること、そして楽器編成が4組8本(オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット各2本)の管楽器編成であること、4楽章形式であることなどで、独自な存在になっています。
通常このジャンルの曲は明るく気軽な雰囲気で書かれましが、この曲は冒頭のハ短調のユニゾンの主題が独特な緊張感をもたらします。そして対比的に第2主題は変ホ長調で明るく伸びやかに展開され、緻密な奥行きを感じさせます。またこの曲は後に弦楽五重奏(K.406)に編曲されています。


セレナード(第12番)ハ短調「ナハトムジーク」K.388(384a)/第1楽章 Allegro

<写真>新潟市西蒲区夏井から望む弥彦山

余談
連日の寒波と降雪のため、毎日スコップ片手に除雪作業が続いています。老体には厳しい冬です。
ところで、先回の「きらクラ!」で真理さんが最後の「私の1曲」でモーツァルトの「グラスハーモニカのためのアダージョ ハ長調 K.617a」をかけてくださいました。とても嬉しかったです。
真理さんといえば、先週の土曜(27日)の朝、たまたまBS日テレを見たら、読売交響楽団がマーラーの3番を演奏していて、真理さんのアップをカメラが何度も捉えていました。真理さんはヴィジュアルも素晴らしいです!!。演奏家としての才能、性格のよさ、美しい容姿・・・・天は何物も与えるのですね・・・。

2018年1月27日土曜日

【祝 生誕262年】K.10 ソナタ 変ロ長調

Happy birthday !!  W.A.Mozart!!!
今日はモーツァルトの誕生日ですので、初期の作品を聴いてみます。
1764年西方への大旅行中、ロンドンを訪れた8歳のモーツァルトはまとまった6曲のソナタ(別名:ロンドン・ソナタ)を作曲しています。
「ヴァイオリンまたはフルート(およびチェロ)の伴奏で演奏できるクラヴサンのためのソナタ」と楽譜に書かれていて、その目的は英王妃シャーロットに献呈するためで、1765年1月に「作品3」として出版されています。曲の内容は、当時ロンドンで活躍していたアーベルやクリスティアン・バッハの影響が表れています。
8歳の少年が、3年半にも及ぶ大旅行中に、連日のように貴族をはじめ多くの面前での演奏会をこなし、作曲までしていたということは驚くべきことです。
K.10はそのロンドン・ソナタの第1曲目です。通常はヴァイオリンで演奏されますが、ここではフルートとチェンバロで演奏されたものを聴いてみます。フルートの柔らかい響きがヴァイオリンとは違った魅力をかもし出しています。


ソナタ 変ロ長調 K.10/第2楽章 Andante 変ホ長調

<写真>ザルツブルク:モーツァルトの生家

余談
毎年モーツァルトの誕生日の頃は寒波に見舞われるようですが、今年のは超強力です。
当地は連日の真冬日で冷蔵庫の中にいるようです。水道が凍結して出なかったり、給湯器が故障したりと大騒ぎです。道路も凍結してるので、外出もはばかられます。
しかし、モーツァルトの時代は、暖房設備や交通機関も今とは比較にならない頃ですから、そんな環境下で長期間にわたり何度も旅に明け暮れた幼いモーツァルトの心情を察すると心が痛みます。もちろん楽しいことも沢山あったでしょうが、肉体的には相当な負担だったことでしょう。
レーオポルトお父さんは、ちょっと「やり過ぎた」面も否めないと思うのは私だけでしょうか?

2018年1月20日土曜日

K.407(386c) ホルン五重奏曲 変ホ長調

1782年ウィーンでモーツァルトは唯一のホルン五重奏曲を、幼少の頃からの知り合いだったヨーゼフ・ロイトゲープのために書いています。
ロイトゲープは当初ザルツブルク宮廷楽団のホルン奏者を務めていましたが、モーツァルトより一足早くウィーンに移り住み、チーズ商を営みながら演奏活動を行っていたようです。
ウィーン時代に4曲のホルン協奏曲をモーツァルトは彼のために書いていますが、そこには彼をからかういたずら書きが記されており、二人がとても親しい関係であったことがわかります。
この作品はそんな気安い関係を反映した、のびやかで遊び心に溢れています。
ホルン、ヴァイオリン、2ヴィオラ、チェロの編成で、この第1楽章はディベルティメント風の序に導かれ、ホルンが朗々と歌い上げます。


ホルン五重奏曲 変ホ長調 K.407(386c)/第1楽章 Allegro

<写真>りゅーとぴあの雪景色(1月14日撮影)

余談
大雪に見舞われた14日(日)に東京交響楽団 第105回新潟定期演奏が写真のりゅーとぴあで開催されました。 私は車は諦めて、徒歩と運転が始まった電車で1時間半かけて会場に辿り着きました。
プログラムはプロコフィエフの「古典交響曲」、ピアノ協奏曲1番、そしてラベル編曲の「展覧会の絵」。地方都市にいるとなかなか聴けないプログラムで、とても新鮮でした。
特に大編成のオケでの「展覧会の絵」フィナーレ「キエフの大門」の圧倒的な迫力には我を忘れました。
演奏終了後、最後に指揮者の飯森さんが、新潟の雪害に対してお見舞いの言葉を述べられ、「大変な雪の中をこの演奏会にこんな多くの方にお越しいただき、本当にありがとうございました。」とおっしゃってくださいました。飯森さんの暖かい人間性に感銘しました。
「こちらこそ、遠路から雪の中へお越しいただき、素晴らしい演奏をありがとうございました。」と心の中で呟きました。こころ温まるコンサートでした。

2018年1月16日火曜日

K.414 (385p) ピアノ協奏曲(第12番)イ長調/第2楽章

モーツァルトは1781年3月からザルツブルクを離れウィーンに定住し、作曲家として最も充実した時期を迎えます。今月からはそのウィーン時代の主要な曲を順番に聴いていこうと思います。今までもかなりの数のその時代の作品を掲載してきましたので、重複しない範囲で取り上げていきます。
ウィーン時代に書かれた多くのピアノ協奏曲の第1作が、このピアノ協奏曲(第12番)イ長調で、1782年の秋に作曲されました。
モーツァルトの職業作曲家として、重要な活動だった予約演奏会のために書かれたもので、ウィーンの聴衆に受け入れやすい曲想になっています。楽譜の出版も計画され、管楽器を除いた弦楽4部でも演奏できるように配慮されているそうです。
以前第1楽章を載せましたが、今日は第2楽章を聴いてみます。静かにゆったりとした協奏的ソナタ形式で、しっとりとした主題が印象的です。


ピアノ協奏曲(第12番)イ長調 K.414(385p)/第2楽章 Andante ニ長調

<写真>新潟県岩室温泉・老舗旅館の雪景色(1月13日撮影 from my daughter)

余談今日の「きらクラ!
恒例の年初の「BGM選手権スペシャル」心から楽しませていただきました。
1番目のお題「百人一首セレクション」は1曲目のバッハのカンタータで心を奪われました。オーボエの旋律が実に魅力的で朗読にマッチしていました。2曲目のヴィラ・ローボス、3曲目のコダーイも負けずに素晴らしい。 そして4曲目で「スポーツショー行進曲」・・・???・・曲が流れて大笑い!!!!。全く予想もしなかった切り口。この選者の《さかいしげはる》さんは常連さんで10回近く採用されている方かと思いますが、素晴らしい!!! 5番目のドビュッシーもよかった!! 本当に名作揃い。
2番目のお題、高村光太郎「智恵子抄」。1曲目のヴェーベルンの弦楽四重奏は、その抒情豊かな憂いを帯びた旋律には、真理さんではないですが、心を鷲掴みにされました。選者の《北風亭P子》さん(快調家族さん)も常連さんで、いろんなラジオネームで投稿されていらっしゃいますが、もう20回位採用されていらっしゃるのではないでしょうか? 他にも何度も登場された常連さんが多く、そのレベルの高さには感服します。
歴史を重ねた「きらクラ! BGM選手権」が歳月ともに芸術の域にまで達しつつあるのではないかと思ってしまいます。ふかわさんもおしゃってましたが、CDにして聴きたいくらいです。

2018年1月13日土曜日

J.Strauss『美しく青きドナウ』

新年は所用が重なり更新が遅れました。
お正月気分を一蹴するような大雪に当地は見舞われております。一晩で約1mの雪が積もりました。
除雪が間に合わず、車が出せません。近所には出勤を諦めた方々も多く、学校は休校になりました。都市機能がマヒしています。
そんな中ですが、敢えてヨハン・シュトラウス2世の『美しく青きドナウ』を聴いてみます。
この曲は誰でもが耳にする超有名曲ですが、心が浮き立つ洗練された美しいワルツとして最高峰の作品といえると思います。モーツァルトの死後76年経った1867年に作曲されました。
序奏に始まり、第1ワルツから第5ワルツまで豊かな楽想に満ち溢れ、聴くものを飽きさせない素晴らしい構成になっていて、ブラームスをはじめ多くの作曲家に敬愛されている作品です。


J.Strauss『美しく青きドナウ』

<写真>ウィーン市立公園のヨハン・シュトラウス2世像

余談
正月にBSプレミアムで『2001年宇宙の旅』が放映されました。
内容もさることながら、ここで使われた音楽が秀逸で、この映画の名声を一層高めました。
私も久しぶりに鑑賞して、感動を新たにしました。
原始地球の光景の『ツァラトゥストラはかく語りき』で始まり、リゲティの現代曲、そして一転して地球周回軌上に浮かぶ宇宙船のシーンでこの『美しく青きドナウ』が流れるくだりは、その壮麗な美しさに圧倒されます。
50年も前に作られた映画ですが、その時間と空間の壮大なスケール感、内容の深遠さにおいて、この作品を凌駕するものに私はまだ出合っていません。

2018年1月2日火曜日

【謹賀新年】K.285b フルート四重奏曲(第3番)ハ長調 

新年あけましておめでとうございます。
今年もみなさまが美しい音楽とともに心豊かにお過ごしになられますようお祈りいたします。
当ブログは本年も拙い内容で気ままな更新となるかと思いますが、時々遊びにお越しいただければ幸いです。

新年のスタートは明るいフルートの音色をお届けします。
この作品は、1777年マンハイム滞在中に、オランダの音楽愛好家ド・ジャンからの依頼で作曲した3曲のフルート四重奏曲の3番目の曲だと思われていますが、成立過程には諸説あり、確定的ではないようです。
2楽章で構成されていて、ここで聴く第1楽章は簡略なソナタ形式で書かれていてます。快活な第1主題は、ニ長調の下降分散和音による第2主題で一層明るさを加えています。展開部で短調による短い陰影がつけられています。


フルート四重奏曲(第3番)ハ長調 K.285b(Anh.171)/第1楽章 Allegro

<写真>ザルツブルク ミラベル宮殿

●○余談●○●○●○●○●○●○●○
新年は皆様いかがお過ごしでしょうか?
私事、昨年末にNHK紅白歌合戦の観覧券に当選した友人より、同伴者の栄誉をいただきました。 全く期待も予想もしていなかった事で、降ってわいたような幸運に感謝して、昨日観覧してまいりました。
普段はあまり耳にしないジャンルの音楽で、知っている歌手は数えるほどしかいませんでしたが、洗練された演出と、多数の有名アーティストによる素晴らしいパーフォーマンスに、熱い熱い感動をいただきました。
特にその中でも、以前より好きだったX-Japanの演奏は圧倒的でした。Yoshikiの清廉なピアノ演奏、エモーショナルなドラム・プレイ、そしてToshiの魂から絞り出されるような悲哀感に満ちた鮮烈なボーカルを生で聞いて深く心を動かされました。
5時間は夢のようにあっと言う間に過ぎてしまいました。
素晴らしい舞台を作り上げた3,000名を超すスタッフの皆様に心より感謝致します。本当にお疲れさまでした。これからも紅白が年末を締めくくる国民的イベントとして末永く続くことを願います。