2018年4月26日木曜日

K.333(315c) ピアノ・ソナタ(第13番)変ロ長調/第3楽章

第3楽章はアレグレット・グラツィオーソ、4分の4拍子で、ロンド形式で書かれています。
主要な主題の他に2つの副主題を持っていて「A-B-A-C-A-B-A」の形式になっていて、最後のAの前にカデンツァが置かれています。
明るく軽快な主題ですが、中間部では一時短調に転じて豊かな表情を見せています。
全体的に華やかで伸びやかでいながら気品も兼ね備えていて、非常に魅力的なソナタの最後を見事に締めくくっています。


ピアノ・ソナタ(第13番)変ロ長調 K.333(315c)/第3楽章 Allegretto grazioso

余談
Mari Gardenの花々とともにK.333の全楽章を聴いてまいりました。
モーツァルトはどの曲も素敵な作品ですが、この曲は特に魅力を感じます。
ピアノを弾かれる方にとっては、特別に高度な技法を必要とされる作品ではないと思いますが、そのシンプルさや親しみやすさの中にこそモーツァルトの美しさの真髄を見る思いがします。

2018年4月23日月曜日

K.333(315c) ピアノ・ソナタ(第13番)変ロ長調/第2楽章

第2楽章はアンダンテ・カンタービレ、4分の3拍子で、ゆったりと歌うような優しさに溢れた楽章になっています。
ソナタ形式ですが、展開部も比較的長めに設定されていて、繊細なハーモニーがいいようのない美しさを醸し出しています。半音で動きながら大胆な不協和音も挟んで、見事な陰影を浮かび上がらせています。


ピアノ・ソナタ(第13番)変ロ長調 K.333(315c)/第2楽章 Andante cantabile 変ホ長調

余談今週の「きらクラ!
今回のBGM選手権は問題が・・・・難問?なのか、無機質な数字の羅列なんで、結局どんなBGMを当てても、それなりの効果を発揮しそうな感じがしました。
採用された4つの作品はどれも個性的で、予想通りの効果を上げていました。個人的には「星条旗よ永遠なれ」が面白かった。
最後の真理さんの1曲で、モーツァルトのクラリネット協奏曲がかかったのは嬉しかったです。ポール・メイエさんの演奏は私も何度か聴かせていただきましたが、音色に深みがあって素晴らしい演奏だった記憶が甦りました。

2018年4月22日日曜日

K.333(315c) ピアノ・ソナタ(第13番)変ロ長調/第1楽章

軽やかな流れるような出だし、変幻する豊かな旋律、見事な構成で織なされる音のタペストリーに、モーツァルトのピアノ・ソナタの最高峰ともいわれるこのソナタは、交響曲「リンツ」と同時期に書かれたと最近(1980年代)の研究でわかりました。
冒頭の旋律がJ.C.バッハの≪ソナタ≫作品17-4に似ていることから、以前は1778年にパリで作曲されたと思われていました。
この第1楽章は、愛らしく流れるような軽快な旋律のアレグロで、ソナタ形式で書かれています。流麗さの中にシンコペーションや強弱の対比などの効果がバランス良く配置されています。


ピアノ・ソナタ(第13番)変ロ長調 K.333(315c)/第1楽章 Allegro 4/4 ソナタ形式

<写真>ムスカリ (in Mari garden 2018.4.20)

余談 ケッヘル番号について
所用に時間を取られ、暫く更新をお休みしておりました。
このK.333のソナタは私も大好きな曲のひとつです。いかにもモーツァルトという繊細な美しさに溢れています。
ところで、これから順次取り上げるK.330~K.333の4曲のソナタは、ケッヘルの6版(1964年出版)まで1778年から1779年にかけてのパリ滞在中に書かれたものだと考えられていました。
しかし1980年代にプラートの自筆譜の筆跡研究と、タイソンのX線を用いた用紙の透かしの研究で、1783年末の作品であることがかなりの精度で判明しました。
とすると、このK.333(315c)の場合、ケッヘル初版の番号「333」→6版の番号「315c」→7版?の番号「425a」という番号を変遷する形になってしまい、一体どれれが本来の年代順の番号なのかと……混乱を招いてしまいます。
そこで最近では、一般に普及している初版の番号で呼称し、括弧書きの最新の年代順番号は添書程度に扱うことが普通になってきました。
これからも研究によって作曲時期に変更が加わる可能性は十分考えられますから、その方が現実的です。
ということで、この愛らしいソナタは「333」というとても覚えやすい番号とともに、これからも広く親しまれていくでしょう。

2018年4月10日火曜日

K.425 交響曲(第36番)ハ長調「リンツ」/第1楽章

あまり居心地のよくなかったザルツブルクへの帰省を終えて、1783年の10月末にモーツァルト夫妻はウィーンへの帰途につきます。そしてその途中にリンツに立ち寄り、モーツァルトの大ファンだったトゥーン侯爵の大歓迎を受けます。
そしてその侯爵の肝入りで、11月4日に開かれた演奏会のために、この交響曲は作られました。モーツァルトは『何しろスコアをひとつも持ってこなかったから、大急ぎで曲を書き上げなきゃいけません』と10月31日付けの父宛の手紙を残しています。
つまり、ちょっと信じがたい事ですが、演奏会までの僅か3日~5日間でこれだけの曲を書き上げたということになります。
どんなに急いで書いたからといって、作品の質を落とすことのないのがモーツァルトの常ですが、この作品も伸びやかで気品に溢れ、とても愛されています。
ここで聴く第1楽章は付点リズムを伴うアダージョの荘重な序奏に始まり、アレグロの晴れやかな主部が続き、鮮やかな対照をなしています。


交響曲(第36番)ハ長調 「リンツ」K.425/第1楽章 Adagio - Allegro spiritoso
Link >>> 第4楽章 Presto

<写真>新潟市・鳥屋野潟公園の桜(4月5日撮影)

余談今週の「きらクラ!
先週のやぱげーのさんの連続投稿で“木々のうちで何より愛らしいもの”の詩に3人の作曲家の別の曲が紹介され、とても興味深く聴かせていただきました。同じ詩にこれだけの作曲家が曲を付けるということは、それだけこの詩が魅力的なんだと思いますが、そのよさを知るためには、語学力が・・・残念。
「ここ好きクラシック」でシベリウスの交響曲第2番の3~4楽章が紹介されましたが、この部分は私も大好きなところです。生演奏で聴くと本当に胸が熱くなります。
今週もふかわさん、真理さんの明るい笑い声に溢れた素敵な内容で、心から堪能させていただきました。

2018年4月7日土曜日

K.424 ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 変ロ長調

モーツァルトは1783年の夏に妻コンスタンツェを連れて、結婚の挨拶のためにザルツブルクに帰省しました。しかし、もともと結婚に反対だった父は彼らを歓迎はしなかったようです。
約3ケ月ザルツブルクに滞在している間に、モーツァルトは旧知のミヒャエル・ハイドン(有名なヨーゼフ・ハイドンの弟)が大司教から依頼されてた6曲のヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲を、重い病気のため残りの2曲を完成できないでいることを知ります。
モーツァルトは少年期から彼の影響を強く受けていて、作曲家としても彼を尊敬していました。そんな彼の窮地を救うためにモーツァルトは僅か2日間で2曲の二重奏(K.423とここで聴くK.424)を完成させたといわれています。
作品は3楽章形式で、他の作曲家が作ったことが分からないように、調性を選び、ハイドンの作曲様式を取り入れて書かれているそうです。 ここで聴く第2楽章はアンダンテ・カンタービレで、ヴィオラは伴奏にまわり、ヴァイオリンが旋律を奏でます。


ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 変ロ長調 K.424/第2楽章 Andante cantabile 変ホ長調 6/8

余談
モーツァルトとヨーゼフ・ハイドンとの関係は、ハイドンセットと呼ばれる弦楽四重奏曲集などでよく知られていますが、その弟であるミヒャエル・ハイドンとも深いつながりあります。
ミヒャエルは兄と同じくウィーン聖シュテファン教会少年聖歌隊に入り、1757年からハンガリーで楽長として活動していました。そして1763年2月、ザルツブルクの宮廷楽団の首席奏者だったレオポルトが副楽長に就任したのに伴い、その後任としてミハイルが首席奏者となりました。さらに1781年、モーツァルトがザルツブルクを去ったとき、その後任となり、以後、終世ザルツブルクを離れませんでした。
兄のヨーゼフの陰に隠れてあまり目立ちませんが、モーツァルトが敬愛するほどの才能があったようです。
ミヒャエルはモーツァルト作曲したこの二重奏曲のオリジナル楽譜を、思い出の品として生涯大切にしていたと伝えられています。

2018年4月5日木曜日

K.418 アリア 「あなたに明かしたい、おお神よ」

このアリアは、当時ローマで活躍していたアンフォッシのオペラ『無分別な詮索好き Il curioso indiscreto』がウィーンで初公演される際、主役のクロリンダ役となるアロイジアのために書いたアリアの一つです。
れっきとした作曲家のオペラに、別の作曲家のアリアを挿入するということは、とても考えにくいことですが、当時はよくあった事のようで、モーツァルトもこの種の挿入アリアを数曲残しています。
このオペラが1783年6月30日にブルク劇場で上演されたとき、アロイジアが歌ったモーツァルトの曲(このK.418とK.419)だけが受けたといいますから、アンフォッシは面目が立ちません。このような事態を避けるために、挿入アリアの上演には妨害活動もあったようです。
歌詞の内容は、許婚のいる伯爵に恋心を抱いてしまったクロリンダが、その苦しい胸の内を明かすものです。前半は伯爵への愛を歌うアダージョ、後半は許婚への嫉妬心を表したアレグロになっています。


アリア 「あなたに明かしたい、おお神よ」 K.418

<写真>新潟市西蒲区仁箇の水芭蕉自生地にて(3月29日撮影)

余談
先回の「きらクラ!」は新年度の明るく、笑いの絶えない楽しいスタートでした。 ふかわさんは何回か笑いのツボにはまったようです。
私も投稿の中で、『“マ・メール・ロア”が好きすぎて、全てのBGMのお題にこの曲をあてて投稿する』というラベル愛に溢れた方には、大笑いしてしまいました。逆転の発想で凄く新鮮でした。皆さんBGMを考える過程で、いろんな心の遊びをしているようで、とても愉快でした。
また、ブロ友の神戸のやぱげーのさんがリクエストされた、バターワースという作曲家は初めて知りました。その広範な守備範囲に感心してたら、ご兄弟の千代田卜斎が名付け親で「先生ありがとう」という素敵な投稿が読まれました。W採用なんてめったにありませんよね・・・・。やはり投稿のクオリティーが高いからこそ、これだけ頻繁に採用されるんですね・・・素晴らしい!!!

2018年4月1日日曜日

K.417 ホルン協奏曲(第2番)変ホ長調

この作品は、一般的に第2番と呼ばれていますが、近年の研究でモーツァルトが完成させた最初のホルン協奏曲であると考えられています。
自筆譜には「ヴォルフガング・アマデ・モーツァルト、ロバ、牡牛、間抜けなロイドゲープを憐れむ、ウィーンにて、1783年5月27日」と記されていて、このことは以前に取り上げた、ホルン協奏曲ニ長調 K.412、ホルン五重奏曲 変ホ長調 K.407などと同様で、ホルンの独奏曲で長年の親友であるロイドゲープは欠かせない存在となっています。
3楽章形式で、ここで聴く第1楽章は協奏風ソナタ形式で、明るい弦楽の序奏の後に、ホルンの旋律が伸びやかに歌われます。


ホルン協奏曲(第2番)変ホ長調 K.417/第1楽章 Allegro maestoso

余談
早いもので今日から4月です。全国的に晴天が続き、まことに穏やかな春です。
当地もぼちぼち桜の開花宣言が始まったようです。このままお花見日和が続いて陽光の下で満開の桜をモーツァルトの音楽とともに楽しみたいものです。