2019年2月28日木曜日

K.486 第3曲 三重唱「私がプリマ・ドンナよ!」

「劇場支配人」からもう1曲、3重唱を聴いてみます。
登場人物はいずれもこの劇団に応募してきた歌手で、ソプラノのヘルツ夫人とジルバークラング嬢、そしてテノールのフォーゲルザングの3人です。
前半のアレグロ・アッサイの部分では二人のソプラノが、自分こそがプリマドンナだと言い張って、技巧をこらした歌唱で激しく争います。そこにフォーゲルザングが「芸術家たるもの、他の芸術家にケチなんかつけちゃいけない。そういうことは芸術の品位を汚すことになるんだから、慎まなくてはいけない」と仲裁に入りますが、二人は争いをやめないため「小さな音で、一番小さな音で、弱く・・・」という風にピアニッシモで結ばれます。
モーツァルトが得意とした、喜劇的でユーモアあふれる人間描写と、生き生きとし音楽で、活力に満ちた作品に仕上がっています。
ちなみに初演の時、ヘルツ夫人役はかつてモーツァルトが恋い焦がれたアロイジア・ウェーバー(結婚してランゲ夫人)が歌っています。

「劇場支配人」 K.486/第3曲 三重唱「私がプリマ・ドンナよ!」Allegro assai 変ロ長調

余談 明日3月1日は「FM50三昧」
最後の15分しか聴けなかった25日の「きらクラ!」ですが、なんとブロ友のいーともさん、BWV1000番さんのお蔭で、放送内容を概ね知ることができました。本当にありがとうございました。
実は私、今回のBGM選手権のお題が「夏でもないのに・・何で??・・。よもやこだまっち様、御乱心!!か・・?」と思っていたのですが、ブロ友さんのお蔭で納得しました。渡辺徹さんの奥様が榊原郁恵さんなんですね!!
納得はしたけど、いざ音楽を当てるとなると難しい!! 全く影を感じさせない輝くような明るさとパワーに満ちた詩と、ふかわさんのハイテンポな朗読に合わせられる音楽がなかなか見つかりませんでしたが、当然ボツ覚悟で一応記念なんで投稿してみました。
懐かしの鈴木大介さん、伊藤恵さん、渡辺徹さんのお声も聞けるんで、明日の放送の【やわらかクラシック】コーナー(午後4時半頃~)が楽しみです。

2019年2月25日月曜日

K.486 第2曲 ロンド「若いあなた!」

『劇場支配人』の中から、ソプラノのロンドを聴いてみます。
歌うのは劇団に応募してきた女流歌手ジルバークラング嬢。
前半のアンダンテの部分は、若い人に求婚されたジルバークラング嬢が「あなたの愛を受け入れましょう。あなたの優しいまなざしの中に、私の幸福が発見できるからです。でも、この恋の後に暗い悩みが続く場合、恋の喜びがその償いになるかどうか、そのことはよくあなたが考えてみてくださいよ」と、互いの年齢差を憂慮します。
そして後半のアレグレットのところでは「私には、あなたの手と心ほど大切なものはないのです。この上なく清らかな愛の炎に燃えながら、愛の保証として私の心を差し上げましょう」と華やかなコロラトゥーラをはさんで曲を閉じます。
音楽はモーツァルトの瑞々しい感性を見事に表現しています。
(※訳詞:学研「モーツァルトその音楽と生涯(吉田秀和解説)」より引用)


「劇場支配人」K.486/第2曲ロンド「若いあなた!」Andante - Allegretto 変ホ長調

余談今日の「きらクラ!」想定外のリメイク放送
昨日の日曜日は放送なし。今日はひふみんの再放送で録音等で何度も聴いていたので、本日の朝は『すっぴん』にチャンネルを合わせていました。
そしたら9時から国会中継が始まったので、FMに切り変えて懐かしのひふみん節をに耳を傾けていたら・・・なんか只の再放送ではなく、BGMのお題が出たり、思わせ振りなギターの「別れの前奏曲」なんかが流れてきて意表を突かれました。
そしてこの時期の恒例のふかわさん「この番組は4月から・・・・継続になりました!!」とのコメント!! なんと!!このあたりリアルタイムの話題だったんです!!
ということで見事に勘違いして最後の15分しか聴けませんでしたが、大事な4月からの番組継続、そして3月1日の「今日は一日“ありがとうFM50”三昧~クラシック編~」にふかわさん、真理さんが出演されて(多分夕方あたり?とおっしゃってました)BGM選手権を紹介するとのことでした。楽しみですね。
しかし、今日の放送が私のように単なる再放送だと思った方は多かったのではないでしょうか? 先週の公開収録の録音を改めて聴いてみたら最後のところでふかわさんが「ゲスト加藤一二三さんのリメイク版を放送します。是非聴いてください」とおっしゃってましたが・・人間は勝手に思い込んでしまうんですね・・。

2019年2月7日木曜日

K.486 ジングシュピール「劇場支配人」/序曲

前回より1786年(モーツァルト30歳)の作品を聴いてます。
この年の最も大きな仕事は『フィガロの結婚』で、前年末から作曲に取り掛かっていました。
そんな忙しい中、オランダ総督ザクセン=ティシェン夫妻がウィーンを訪問することになりました。総督の奥さんは皇帝ヨーゼフ2世の妹にあたり、皇帝は妹夫妻を歓待する企画を練り、その一つとして、当時ウィーンでいちばん人気のあったサリエリとモーツァルトにそれぞれオペラを書かせて、それをシェーンブルン宮廷で上演することにしました。
皇帝の依頼とあってモーツァルトも断るわけにはいかず、1月から2月初めにかけて作曲しました。
台本は「後宮からの逃走」を書いたゴットリープ・シュテファニーで、話の筋はごく単純で、全1幕10場からなり、曲はこの序曲を入れて5曲しかありません。音楽以外の部分は殆んど台詞で語られていて、内容が退屈なのか、現在、全部の台詞を含めたレコード・CDは見当たらないようです。
ここで聴く序曲は、現在でも単独でよく演奏されている人気曲です。
明るく快活なハ長調 プレストで、厳格なソナタ形式で書かれていて、こうした劇の序曲としては規模が大きく、立派な構成になっています。


ジングシュピール「劇場支配人」 K.486/序曲 Presto ハ長調
【あらすじ】
劇場支配人は新しい劇団を結成しようと団員を募集する。
しかし応募してきた歌手や役者たちは、それぞれ自分が優れていることを主張し、給料のことで言い争いになるので、支配人は募集を中止すると言い出す。
困った一同は、今度は支配人の条件を飲んで、めでたく一座が誕生する。
(東京書籍「モーツァルト事典」より引用)
<写真>シェーンブルン宮殿/ウィーン