2018年6月10日日曜日

K.461(448a) 5つ(または6つ)のメヌエット

今日から1784年、モーツァルト28歳の年の作品を中心に取り上げていきます。
ウィーンで人気絶頂期を迎えたこの年の作品は、今までもかなり掲載してきましたので、重複しない範囲で順次取り上げていきたいと思います。
まず聴くのは、この年の1月に作曲されたメヌエットです。いわゆる『舞曲』というジャンルに入る作品ですが、宮廷や貴族の館で開催された舞踏会用の曲で、モーツァルトは生涯に亘って多くの作品を残しています。
舞曲にはいくつかの種類があり、古風ながら格調の高い貴族的な『メヌエット』、誰でも踊ることができた庶民的な『ドイツ舞曲』、それらの中間的な『コントルダンス』などが当時よく踊られていたようです。モーツァルト自身も熱狂的な舞踏会ファンで、時を忘れて踊りに興じていたようです。
K.461は本来6曲から構成されていますが、最後の曲8小節の断片のみで未完成です。ここでは第3番ト長調と第5番のヘ長調を聴いてみます。
第3曲は生き生きとしたトリルの反復による本舞曲と、半音階を多用したトリオが対照をなしています。
第5曲のトリオは後半にニ短調への翳りをみせて色彩を深めています。
編成は、フルート2、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、ヴァイオリン2部、チェロ、バスでいずれも2分位の演奏時間になっています。


5つのメヌエット K.461(448a)/第3曲ト長調


5つのメヌエット K.461(448a)/第5曲ヘ長調

余談
モーツァルトの舞曲というジャンルの曲は、いわゆる名曲集などには殆んど登場しません。
一般的に娯楽音楽として、芸術性は高くないと思われているためだと思います。現にこのブログでも舞曲を取り上げたのは今回が初めてです。
オーストリア、ことにウィーンの人々の舞踏好きは他に類を見なかったようで、舞踏会が頻繁に開かれて、貴族、大衆を問わず、それにかける情熱はすさまじかったようです。モーツァルトも嬉々として会場を闊歩していたことでしょう。