2018年2月26日月曜日

K.413(387a) ピアノ協奏曲(第11番)ヘ長調

ウィーン時代の第2作目のピアノ協奏曲を聴いてみます。
このK.413(387a)は第12番(K.414(385p))の後に書かれていて、1782年の12月から翌年にかけて完成したと考えられています。
モーツァルト自身の予約演奏会のために書かれたもので、この時期、ザルツブルクの父宛に以下のような手紙を書いています。
「ところで、予約演奏会のための協奏曲が、まだ二つ足りません。 出来た協奏曲は、むずかしいのとやさしいのの丁度中間のもので、非常に華やかで、耳に快く響きます。もちろん空虚なものに堕してはいません。あちこちに音楽通だけが満足を覚える箇所もありながら、それでいて、通でない人も、なぜか知らないながらも、きっと満足するようなものです。」(モーツァルトの手紙(下)P.85)
一般の市民にも、音楽通にも受け入れられる作品を心がけていたモーツァルトの配慮がうかがえます。
ここで聴く第1楽章は明るく屈託のない、非常に聴きやすい曲想になっています。カデンツァはモーツァルト自身が残したもので演奏されています。


ピアノ協奏曲(第11番)ヘ長調 K.413(387a)/第1楽章 Allegro

<写真>ウィーン旧市街からの王宮のミヒャエル門

余談きらクラ!」4月からも継続!!
2週間のオリンピック休暇をいただいておりました。本当に沢山の感動をいただきました。選手の皆様ありがとうございました。そしてお疲れさまでした。
ところで、本日の「きらクラ!」で4月からの続投の発表がありました。ふかわさんは群馬の公開収録で、ファンの皆さんに直接お礼を言いたかったんでしょうね・・・・。
でも本当に良かったです。スタッフの皆様これからも末長くよろしくお願いします。

2018年2月13日火曜日

K.404a 6つの前奏曲とフーガ

モーツァルトがバッハを研究する過程で書いたと思われる曲をもうひとつ聴いてみます。
この作品はバッハの「平均律クラヴィーア曲集」等のフーガに前奏曲をつけた構成で6曲からなり、ヴァイオリン、ビオラ、チェロの弦楽三重奏に編曲されています。
1782年にウィーンで書かれたと思われますが、モーツァルトが書いたという確かな証拠はありません。
フーガのもつ幾何学的な音のハーモニーに、モーツァルトの音楽の柔軟な美しさがブレンドされて、独特な空気感を感じさせます。
後にモーツァルトはこれらのバロック音楽の語法を、自己の様式に巧みに取り込み、多くの名作を生みだしていきます。


6つの前奏曲とフーガ K.404a/第1曲 前奏曲 ニ短調

<写真>新潟市:やすらぎ堤から望む信濃川

余談◆ 今日の「きらクラ!
先週の公開収録の反響が多く寄せられていました。やはり熱心な「きらクラ!」ファンで埋め尽くされた、とても楽しい催しであったことが伝わってきました。私も2年前に長岡の公開収録に参加した記憶が甦りました。
ところで最後に「コダマッチ講演会」の情報があり、びっくり!参加したくなりましたが、ちと遠すぎて残念。今度は是非近間にお越しいただきたいと思います。
巷では4月からの番組改編のニュースが多々流れていますが、「きらクラ!」は絶対現在のスタッフで続くと思います。いや、続いてもらわないと困ります!!
ふかわさんも番組の中で、次回の公開収録のことに話題にしてましたから、もう継続の内示はあったと推測します。「きらクラ!」を長寿番組に!!!

2018年2月6日火曜日

K.399(385i) ピアノのための組曲 ハ長調

この時期(1782年)、モーツァルトはスヴィーテン男爵(当時48歳)との出会いにより、バッハ、ヘンデルなどのバロック音楽を知り、大きな影響を受けたといわれています。
スヴィーテン男爵は外交官として外国に赴任中に、バロック音楽の楽譜収集に熱中し、とりわけ最後の赴任地であったベルリンではバッハの貴重な楽譜を入手したそうです。そしてウィーン帰郷後に、毎日曜日の私的演奏会でそれらの作品を演奏していたそうです。
その会に参加していたモーツァルトは父宛の手紙に・・・
『ぼくは毎日曜日の12時に、スヴィーテン男爵のところへ行きますが、そこではヘンデルとバッハ以外のものは何も演奏されません。
僕は今、バッハのフーガの蒐集をしています。ゼバスティアンのだけではなくエマーヌエルやフリーデマン・バッハのも。それからヘンデルのも。・・・』(岩波書店「モーツァルトの手紙(下)P54)と書いてあり、モーツァルトが熱心に研究していた様子がうかがえます。
そしてそれらの研究の成果として何曲かの作品がありますが、何故か未完のものが多く、この組曲も4曲目のサラバンドの途中で終わっていますが、ここでは2曲目のアルマンドを聴いてみます。知らないで聴くとバッハの作品かと思ってしまいます。


ピアノのための組曲 ハ長調 K.399(385i)/2 アルマンド Andante ハ短調

<写真>新潟市:りゅーとぴあ周辺の雪景色

余談
モーツァルトにとってもバッハの音楽は大きな指針であり、彼の作品をより豊かにしたインスピレーションの源泉のひとつであったことは間違いないと思われます。
タイプとしては全く異なったイメージがありますが、その二人の創り出した音楽は、光り輝く偉大な双璧として私たちを魅了し続けます。
ある音楽家が『音楽の世界で、最も高い山はバッハである。そして最も美しい山はモーツァルトである』と言っていましたが、言い得て妙です。

2018年2月3日土曜日

K.409(383f) メヌエット ハ長調

1782年5月に書かれた「あるシンフォニーのメヌエット」を聴いてみます。
この曲は以前、交響曲(第34番)ハ長調 K.338 の第3楽章であると考えられていました。しかし楽器編成などから、現在は演奏会の挿入曲であったと思われています。
モーツァルトの残した作品には、書かれた時期やその目的などがよくわからないものが多数ありますが、この曲の場合、その輝かしい祝祭的な雰囲気や、管楽器の協奏的な手法など、独立した1曲の作品としてふさわしいとも思われます。
編成は弦楽5部に、フルート、オーボエ、ファゴット、ホルン、トランペット各2本、それティンパニーになっています。


メヌエット ハ長調 K.409(383f)

<写真>ウィーン旧市街地にて

余談
NHK BSの「平成細雪」(全4回)の最終回が先日放送されました。
毎週楽しみに見ていた作品で、特にエンディングに流れるバッハの「G線上のアリア」の清廉なスキャットが作品の品格を一層高める素晴らしいBGMでした。
またモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」が最終回の1場面に使われていましたが、こちらの方は音楽の素晴らしさに場面映像が追いついていないように感じました。
さらに昨日、テレ朝「越路吹雪物語」で主人公が喫茶店で失恋する場面で、何と、モーツァルトの「レクイエム」の「ラクリモサ」が流れました。『………っ、ここで使うの……?』と思ってしまいました。(ちょっとうるさいモーツァルト・ファンの呟き)