2018年9月8日土曜日

K.455 グルックの主題による10の変奏曲 ト長調

1784年8月25日付けで自作目録の7番目にこの変奏曲が記載されていますが、初演されたのは前年の3月23日の皇帝ヨーゼフ2世が臨席されたコンサートで即興で演奏された事で知られています。
この演奏会には、当時ウィーンで帝室作曲家として確固たる地位を築いていた大御所グルックも出席していて、モーツァルトがグルックに敬意を払って演奏したといわれています。(他にもこの演奏会では K.398(416e)の変奏曲も演奏されました。)
この曲のテーマは、グルックの書いたジングシュピール『メッカの巡礼』の一節で「わが愚かなる庶民どもは考える」という上から目線の言葉を滑稽に扱った旋律から取られています。
この頃、ウィーンでのモーツァルトの人気はうなぎ登りで、それをやっかんだ同業者からの妨害もあったようでしたが、このグルックは終始モーツァルトに好意的で、モーツァルトの演奏会にもたびたび姿を見せていたようです。
作品の主題はト長調。4分の4拍子で前半が4小節、後半が8小節の2部形式で、その後装飾的な10の変奏が次々と展開されます。5番目はト短調で、9番目のアダージョはこれまでにないような幅広い豊かな表現が見られ、最後は名人芸的な旋律が華々しく繰り広げられて終結します。


グルックの主題による10の変奏曲 ト長調 K.455(フォルテ・ピアノによる演奏)

余談
大きな自然災害が立て続けに私たちの国を襲っています。被災された方々の辛さを思うと心が痛みます。 一日も早い復興をお祈り申し上げます。
地球のプレートが複雑に入り組んだ境界上に位置する私たちの国は、多くの自然の恩恵と同時に、その活動の凄まじいエネルギーのスパークをまともに受ける宿命を背負っていますが、これだけ続くとさすがに落ち込んでしまいます。

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