2015年10月25日日曜日

K.415(387b) ピアノ協奏曲 第13番 ハ長調 第2楽章

このハ長調のピアノ協奏曲はウィーン時代の1782年から83年初頭に作曲され、モーツァルト自身の予約演奏会のために作られました。
K.413、K.414ととも1785年3月にウィーンのアルタリアから「作品4」として出版されています。
これらの作品はモーツァルトが聴衆の耳に心地よく受け入れられるように配慮されて作られているようで、特にこの13番の第2楽章は終始ゆったりとした牧歌的な雰囲気でとても安らぎます。


ピアノ協奏曲 第13番 ハ長調 K.415 (387b)/第2楽章 Andante ヘ長調
写真に寄せて◆ 
冬の使者が到来しました。
先日近くの上堰潟公園を歩いていたら、白鳥が湖面で羽を休めていました。誠に優雅な姿でした。
毎年何千キロもの旅をして帰ってきてくれるのですが、本当に野生のたくましさには脱帽です。蒔くことも刈ることもしなくても彼らは厳しい自然の中でちゃんと生きています。

2015年10月23日金曜日

ショパン/24の前奏曲 op.28 No.24 ニ短調

先日、ショパン国際ピアノコンクールの本選結果が発表されました。今年の1位はチョ・ソンジンさんで、韓国人の1位入賞は初めてだそうです。山口県出身の小林愛実さんは惜しくも入賞を逃したそうです。
動画サイトでいくつかの演奏を聴きましたが、本選に残っている方々は超絶テクニックでただただ感心しました。弛まぬ研鑽を積まれたことと敬服しました。
この時季はなんとなくショパンが聴きたくなります。先日の「きらクラ!」でも取り上げられていた前奏曲集から最後の24番を聴いてみます。曲集を締めくくる重厚で、深い哀愁を感じさせる激烈な作品で、胸をかきむしられるようです。


ショパン 24の前奏曲 op.28 No.24 ニ短調

心に残るピアニスト(ド素人の鑑賞MEMO)
私も今まで数多くのピアニストの演奏を聴いてきました。素人感覚ですが、その中で特に心に残っている演奏は・・・・
内田光子 第8回(1970年)ショパン国際ピアノコンクール 第2位
2006年サイトウ・キネン・フェスティバル松本
 ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第5番「皇帝」 指揮:小澤征爾
 内田さんの奏でる音は最弱音に至るまで実に明快で、あいまいな音がひとつもなく、緻密にかつ大胆に壮大なベートーヴェンの音の大伽藍が構築される様に度肝を抜かれました。演奏が終わった後、感動でしばらく立てませんでした。
ダン・タイ・ソン 第10回(1980年)ショパン国際ピアノコンクール 第1位
 2011年ラ・フォル・ジュルネ新潟
 ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第4番 指揮:井上道義 仙台フィルハーモニー管弦楽団
 震災の年、開催が危ぶまれた演奏会に急遽代役で世界のダン・タイ・ソンが駆けつけて下さいました。間近にそのピアノの音に接し、そのあまりに美しい音色にただただ感嘆!! 言葉で表現出来ないほど繊細なタッチでした。
ジャン=マルク・ルイサダ 第11回(1985年)ショパン国際ピアノコンクール 第5位
 2011年ジャパン・ツアー 新潟
 シューベルト ピアノ・ソナタ 第15番 「レリーク」
 はじめはルイサダの独特の音の間合いに戸惑いましたが、このシューベルトの演奏を聴いた時、私は未体験の音楽領域に連れて行かれるような感覚を味わいました。彼は楽譜を追っているのではなく、音楽が内包するエネルギーを熟成させながらその場で音楽を紡いでいっているように感じました。素晴らしく感動的な体験でした。
辻井伸行 第13回(2009年)ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール 第1位
 2015年 日本ツアー 新潟
 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第23番「熱情」
 辻井さんのチケットはなかなか取れないため、今まで行けませんでしたが、今年ようやく行くことができました。
 聴いて驚きました。彼の演奏には何かいいようのない異次元の世界を感じました。ベートーヴェンのソナタは非常に緊張を強いられる求心的で鋭角的なイメージを持っていましたが、それを根底から覆されるような演奏でした。こんなにも豊饒なベートーヴェンの世界に接したことはありませんでした。何度も聴いてみたくなる演奏でした。

2015年10月17日土曜日

K.281(189f)ピアノ・ソナタ(第3番)変ロ長調 第3楽章

 
 このピアノ・ソナタは1775年(モーツァルト19歳)の初頭書かれた「ミュンヘン・ソナタ集」あるいは「デュルニッツ・ソナタ集」と呼ばれるソナタ集の第3曲目です。
この作品集はモーツァルトがヨーゼフ・ハイドンやヨハン・クリスティアン・バッハの作品を手本にして書いたといわれていますが、アインシュタインはこの第3楽章のことを次のように述べています。
『はじめの二楽章はハイドン自身よりもハイドン的だと言えようが、終楽章では突如として全く本然のモーツァルトが目ざめる。 ハイドンが忘れ去られているだけでなく、ヨーハン・クリスティアーン・バッハも忘れ去られている。そしてひかえめなコンチェルト風の曲相と旋律的な優雅さを持つ、このロンドの作曲の日付がそんなに確実でないとしたら、われわれはこの曲を十年後のヴィーン時代のものとするところであろう。』


ピアノ・ソナタ 変ロ長調 K.281(189f)/第3楽章Allegro 2/2 ロンド形式
写真に寄せて
日差しに誘われて近くを散歩してたら、きれいなススキが風にそよいでいました。やはり日本の秋にはススキが似合います。ただこの付近では外来種のセイタカアワダチソウが凄まじい勢いでススキの生息域を侵しています。そんな光景を見ると少し悲しくなってしまいます。

2015年10月11日日曜日

K.292(196c)ファゴットとチェロのためのソナタ 変ロ長調 第3楽章

ユーモラスな光景がでたところで、ちょっと変わった楽器の組み合わせのデュオを聴いてみます。
モーツァルトのピアノを伴わない二重奏曲は数少ないですが、その中でこの曲はファゴットとチェロという唯一の組み合わせの作品です。
1775年頃ミュンヘンの熱烈なファゴット愛好家のために書かれたと思われています。
ファゴットのユーモラスで表情豊かなメロディーにとても心和む作品になっています。


ファゴットとチェロのためのソナタ 変ロ長調 K.292(196c)/第3楽章 Allegro

2015年10月10日土曜日

K.237(189c)行進曲 ニ長調

モーツァルトの作品に「行進曲」というジャンルがあります。
当時、主にセレナードやディベルティメントの前後に演奏されていたようです。
このK.237は、K.203(189b)のセレナード ニ長調に付随して1774年8月ザルツブルクで作曲されました。オーボエ、ファゴット、ホルン、トランペット各2本、ヴァイオリン2部、バッソで構成されています。
この種の音楽は、富裕貴族の祝賀や表敬などの行事の際に演奏され、雰囲気を盛り上げるために明るく娯楽的に作られています。現在のように再生装置のない時代ですから、常に生BGMだった訳で、今思うと随分贅沢な話です。
現在演奏会などで取り上げられることはほとんどありません。


行進曲 ニ長調 K.237(189c)
写真に寄せて
当地新潟では現在「水と大地の芸術祭」というイベントが行われています。
写真はその一環の上堰潟公園のワラアートです。美術大学の学生さんたちが一生懸命作ってくださいました。

2015年10月1日木曜日

K.303(293c) ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 第2楽章

早いものでもう10月です。コスモスが風に吹かれて愛らしく揺らいでいます。
この爽やかな秋の日にK.303のヴァイオリン・ソナタを聴いてみます。
以前第1楽章を取り上げましたが、第2楽章はテンポ・ディ・メヌエットでこのソナタはこの楽章で曲を閉じます。
いかにもメヌエットらしい愛らしくのびやかな旋律と細かいパッセージが交互する変則的な形式の音楽になっているそうですが、聴いていて全く不自然な感じはしません。


ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K.303(293c)/第2楽章 Tempo di Menuetto
余談
ここ最近穏やかな秋の日が続いていましたが、今夜から暴雨風雨の予想が出ています。
収穫時期を迎えている果実などに被害が出ないことを願っています。
<写真>角田山を望む上堰潟公園のコスモス。