1773年のウィーン滞在中に、モーツァルトはサリエリのオペラの主題によるピアノ変奏曲を書いています。
サリエリは例のモーツァルト毒殺の伝説がありますが、当時のウィーンでは確固とした地位があり、優れた音楽教育家でもありました。この変奏曲のテーマとなったオペラ「ヴェネツィアの市 」は1772年1月に初演され、1773年の2月まで上演されていたといいますから、かなり人気があったようです。
このオペラの中のアリア「わがいとしのアドーネ」の主題によってこの変奏曲は書かれていますが、モーツァルトが自身のピアノの腕前を披露する目的で書かれたものと思われます。
全体は118小節のかなり長い曲になっていますが、手慣れた手法で親しみやすい変奏曲になっています。
「わがいとしのアドーネ」による6つのピアノ変奏曲 ト長調 K.180(173c)
<写真> 弥彦神社 もみじ谷の紅葉(11月6日撮影)
◆余談◆
サリエリは映画「アマデウス」での印象が強い人物ですが、イタリア出身の正統派の音楽家で、後にウィーンの宮廷楽長にまで出世します。教育家としてもベートーヴェン、シューベルト、リストなどを育てたといいますから、その手腕は並外れたものがあったようです。
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