苗場山頂の夕景(2014.9.27) |
今日聴くK.310 イ短調とK.457 ハ短調の2曲ですが、いずれも演奏機会の多い人気曲です。
作曲されたのは1778年初夏で、パリで書かれました。この異郷の地でモーツァルトは母親を失うという悲しい出来事があり、その切ない心情・緊張が表現された作品といえます。
当時のピアノ曲の枠を超え、ロマン派への流れを予見させる作品となっています。
アインシュタインは「これはきわめて個人的な表現であって、この時代のあらゆる作曲家の作品全体を見わたしても、似たものは見つからないであろう。」と書いています。
切迫感のある1、3楽章にはさまれた、この第2楽章はゆったりしたアンダンテ・カンタービレ ヘ長調。不穏な印象の不協和音が連続していて暗い影を落としています。
ピアノ・ソナタ イ短調 K.310(300d) 第2楽章 Andante cantabile con espressione ヘ長調
◆余談◆
現代の私たちにとって、このモーツァルトのイ短調ソナタは名曲として心に刻まれています。
しかし、18世紀の人々にこの音楽は受け入れられたのでしょうか?
直接の演奏記録等はないようですが、モーツァルトの激しく湧き上がる心情吐露というべきなのでしょうか。