2014年10月13日月曜日

K.310(300d)ピアノ・ソナタ(第8番)イ短調 第2楽章

苗場山頂の夕景(2014.9.27)
モーツァルトの残した18曲のピアノ・ソナタの中で、短調は2曲しかありません。
今日聴くK.310 イ短調とK.457 ハ短調の2曲ですが、いずれも演奏機会の多い人気曲です。
作曲されたのは1778年初夏で、パリで書かれました。この異郷の地でモーツァルトは母親を失うという悲しい出来事があり、その切ない心情・緊張が表現された作品といえます。
当時のピアノ曲の枠を超え、ロマン派への流れを予見させる作品となっています。
アインシュタインは「これはきわめて個人的な表現であって、この時代のあらゆる作曲家の作品全体を見わたしても、似たものは見つからないであろう。」と書いています。
切迫感のある1、3楽章にはさまれた、この第2楽章はゆったりしたアンダンテ・カンタービレ ヘ長調。不穏な印象の不協和音が連続していて暗い影を落としています。


ピアノ・ソナタ イ短調 K.310(300d) 第2楽章 Andante cantabile con espressione ヘ長調

余談
現代の私たちにとって、このモーツァルトのイ短調ソナタは名曲として心に刻まれています。
しかし、18世紀の人々にこの音楽は受け入れられたのでしょうか?
直接の演奏記録等はないようですが、モーツァルトの激しく湧き上がる心情吐露というべきなのでしょうか。

2014年10月11日土曜日

K.203 セレナーデ ニ長調 第8楽章 

苗場山 山頂付近の草紅葉
ようやくこのセレナーデも最終楽章になりました。
第8楽章はプレスティッシモという速度表記ですが、あまり聞いたことがありません。イタリア語で「prestissimo :出来るだけ早く」という意味だそうです。速度記号の中では最も早いものにあたり、ベートーヴェンの第九の最終楽章の最後の部分に使われているそうです。
フォルテとピアノの対比が見事に展開していて、機会音楽として十分な魅力を備えています。


セレナーデ ニ長調 K.203(189b)/第8楽章 Prestissimo ニ長調

余談
全8楽章もの長いセレナーデにお付き合いいただきありがとうございました。
素晴らしかった苗場山の紅葉風景とともに、私自身楽しませていただきました。

2014年10月9日木曜日

K.203 セレナーデ ニ長調 第7楽章

苗場山頂上台地から谷川岳方面を望む
第7楽章はこの曲で3つ目のメヌエットです。
管の祝祭的なファンファーレ風の響きを特徴に華々しく開始されます。 トリオではオーボエが旋律を受け持ちます。
フィナールムジークの催しのために書かれたこの曲もいよいよ佳境に入ってきたようです。


セレナーデ ニ長調 K.203(189b)/第7楽章 Menuetto ニ長調


写真に寄せて
ようやくこの登山も頂上にたどり着くことができました。
苗場山の頂上周辺はご覧のような広大な台地になっています。まるで雲上のゴルフ場のようです。
湿地帯には沢山の池塘が点在し楽園のような光景です。難儀をして登って来てこのパノラマを眼前にすると疲れは吹き飛んでしまします。素晴らしい自然の造形です。

2014年10月7日火曜日

K.203 セレナーデ ニ長調 第6楽章

苗場山登山道からカッサ湖(田代湖)方面を望む
第6楽章はアンダンテ ト長調 4分の2拍子。 ちょっと珍しい弱音器付のヴァイオリンとオーボエのかけあいが美しい旋律を奏でます。


セレナーデ ニ長調 K.203(189b)/第6楽章 Andante ト長調

写真に寄せて
神楽ケ峰から望む苗場山
上の写真で下草のように生えている緑はクマザサです。この明るい緑と針葉樹の濃い緑、そして紅葉が実に見事な光景を展開していました。
今回登った祓川コースは、ここまで来てもまだ目的の苗場山は見えません。ここを過ぎて神楽ケ峰を曲がると突如として姿を現す巨大な山塊(右写真)の苗場山は見る者を圧倒し、畏敬の念さえ抱くものでした。
深田久弥は著書「日本百名山」の中で『それはゆるく傾いた長い稜線を持った山である。いわゆる山らしい山のたくさん重なっているあいだに、苗場だけはまるで鯨の背のようにその厖大な図体を横たえている。』と述べていますが、まさにその特徴的な山容は他に例をみません。

K.203 セレナーデ ニ長調 第5楽章

苗場山登山道から谷川岳方面を望む
台風一過の穏やかな朝です。
第5楽章はメヌエットニ長調(トリオ イ長調)4分の3拍子。
編成は弦のほかは、フルート、ホルン、トランペットが各2本です。舞曲風のリラックスした雰囲気に満ちています。


セレナーデ ニ長調 K.203(189b)/第5楽章 Menuetto ニ長調

2014年10月5日日曜日

K.203 セレナーデ ニ長調 第4楽章

第4楽章はアレグロ 変ロ長調(トリオ 変ロ長調) 4分の4拍子。コンチェルト・ソナタ形式。
終楽章とともに充実した構成になっています。
分散和音主題のトゥッティの後、ヴァイオリンのソロは装飾をおりまぜつつ主題を拡大してゆきます。快活な楽章です。


セレナーデ ニ長調 K.203(189b)/第4楽章 Allegro 変ロ長調

Concert Report
昨夜は地元の新潟室内合奏団の演奏会に足を運びました。
このアマチュア楽団は今年で創立30周年を迎えたそうです。
同好会的な組織は、発足時の勢いで数年は何とか走れるものですが、30年も続いたということは本当に素晴らしいことだと思います。
演目は、モーツァルトの交響曲「ジュピター」とマーラーの4番という凄いプログラムでした。
この楽団の発足当初の目的が『モーツァルトを演奏したい!!』とのことだったそうで、ジュピターは正に30周年にふさわしいプログラムです。
演奏はモーツァルトに対する敬愛の念と真摯な取り組みを感じさせる、とても好感のもてる演奏でした。演奏者おひとりおひとりが身近に感じられるアマオケ独特の暖かさを感じ、終楽章では目頭が熱くなりました。
後半のマーラーはモーツァルトから1世紀余を経た交響曲の表現の多様性・自在性を再認識しました。

2014年10月4日土曜日

K.203 セレナーデ ニ長調 第3楽章

苗場山登山道から谷川岳方面を望む(2014.9.27)
第3楽章はメヌエット ヘ長調(トリオ 変ロ長調) 4分の3拍子。
弦楽器のみで奏される楽章で、トリオにヴァイオリン・ソロが入って名技を披露します。


セレナーデ ニ長調 K.203(189b)/第3楽章 Menuetto ヘ長調

K.203 セレナーデ ニ長調 第2楽章

第2楽章はアンダンテ 変ロ長調 4分の3拍子。
モーツァルトはこのような長いセレナードなどを書くとき、その中に協奏曲風の楽章をはさむ習慣があったそうで、この曲も2、3、4楽章が最初のニ長調とは調性がちょと跳んだところにあって協奏曲風の音楽として書かれています。
第1ヴァイオリンが活躍し短いカデンツァがついています。


セレナーデ ニ長調 K.203(189b)/第2楽章 Andante 変ロ長調

2014年10月3日金曜日

K.203(189b) セレナーデ(第4番)ニ長調 第1楽章

苗場山登山道より望む霧の塔
モーツァルトは仕えていた大司教の要請で大がかりなセレナーデをいくつか書いています。
その中の1曲で1774年に書かれたニ長調のセレナーデを聴いてみます。

当時ザルツブルクではフィナール・ムジークという毎年8月大学の学期末に2年間の予備課程を終えた学生により主催された終了式が行われていました。このセレナーデはその時のために書かれたものだと考えられています。
野外で演奏される8楽章にも及ぶ堂々たる作品です。
第1楽章には序奏(Andante maestoso)が付けられ、式典の始まりの厳粛で華やかな雰囲気をかもし出しています。


セレナーデ ニ長調 K.203(189b)/第1楽章 Andante maestoso - Allegro assai

写真に寄せて
先日、苗場山に登った時の写真です。
今年は紅葉が例年より早いようで、思ってもみなかった素晴らしい景色を堪能しました。
天候も汗ばむくらいの秋晴れで、県内外から多くの登山客で賑わっていました。さすがに日本百名山です。