終楽章は意表を突いて、独奏ヴァイオリンの悲劇的なレチタティーヴォを思わせるト短調のアンダンテで始まります。
このことは、後の主部のロンド主題が南ドイツの民謡「百姓娘が猫を失くした」によっているためにとられたモーツァルトの機智によるとも解されています。
その序奏の後は一転してアレグロ・モルト、変ロ長調、8分の3拍子のロンドが始まり、ディヴェルティメントらしい快活な曲想になります。
終わり近くにもう一度アンダンテが再奏され、最後にロンドのテーマで締めくくられます。
ディヴェルティメント 変ロ長調 K.287(271h)/第6楽章 Andante - Allegro
◆余談◆
本来、気晴らし的な明るい娯楽音楽がディヴェルティメントですが、この楽章にみられるように、モーツァルトは明るさの中に哀愁の翳がただよう、笑いの中に涙が見え隠れするような、たとえようのない美しさを表現しています。
これ以後に書かれたこの種の作品は、単なる娯楽音楽を超越した比類のない芸術作品となっていきます。
ところで、昨日直木賞が発表され、恩田陸氏の「蜜蜂と遠雷」が受賞されました。
この小説はピアノコンクールを舞台にした長編小説だそうで、私の尊敬するクラシック音楽のブロガーの方が非常に高く評価していらしたので、今度読んでみようと思っていた矢先で驚きました。
以前もピアノ調律師の小説「羊と鋼の森」が話題になりましたが、音楽をテーマにした文学には非常に興味をそそられます。
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