2018年11月23日金曜日

K.429(468a) カンタータ「汝、宇宙の魂よ」(未完)

モーツァルトの作品の中にフリーメイソンに関する曲がいくつかあります。このフリーメイソンという組織は、ちょっと謎めいていて分かりづらいところがあります。
一般的には18世紀の初めイギリスで結成され、博愛・自由・平等の実現を目指す世界的友愛団体とされています。モーツァルトの周囲にも多くの名士・知識人が入会していて、彼の音楽活動を陰に陽に支援していたようです。
1784年の12月14日にモーツァルトはウィーンのフリーメイソンのロッジ(支部のような組織)「慈善」に入会します。このことはモーツァルトに少なからず影響を及ぼしと推測されます。
ここで聴くフリーメイソンのためのカンタータは、概ねこの時期に書かれたと考えられていますが、未完に終わっています。
第1曲はモーツァルトが残した歌声部・ヴァイオリン・バスの楽譜に、友人のシュタートラーが補筆したもので演奏されています。
男声合唱で宇宙の魂である太陽への堂々とした賛歌を謳い上げています。
【歌詞大意】第1曲
汝、宇宙の魂よ、おお太陽よ、今日この日、最初の祝祭歌を捧げん!
偉大なる者よ、汝なくして我ら生くことなし。
実り、熱、光は汝からのみ来る。
(作詞:ローレンツ・レオポルト・ハシュカ、訳詞:東京書籍「モーツァルト事典」より引用)


カンタータ「汝、宇宙の魂よ」K.429(468a)/第1曲 変ホ長調

余談
フリーメイソンからモーツァルトは様々な影響を受けたのではないかと考えられます。
この頃のモーツァルトの予約演奏会の会員は174名いたなかで、約40名がフリーメイソンの会員であったようです。また、晩年に金銭的に困窮した際にも会員がモーツァルトに援助の手を差し延べたようです。このように現実生活では多くの助けを受けた団体であったといえます。
さらに、この時期を境として、モーツァルトの音楽は一層の深化を遂げて、余人の達し得ない世界にまで高まったように感じるのは私だけでしょうか。
そんな楽曲の数々を、これから順次取り上げていこうと思っています。
なお、フリーメイソン〔Freemason]の表記は他にも、フリーメイスン、フリーメーソンなどがありますが、このブログでは「フリーメイソン」に統一させていただきます。

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