2013年6月29日土曜日

K.254 ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調

モーツァルトはピアノ、ヴァイオリン、チェロのため三重奏曲(ピアノ・トリオ)を番号のあるもので7曲書いています。

その最初の曲がこのK.254です。
自筆譜では「ディベルティメント」と書かれていてモーツァルト本人にはピアノ・トリオという意識はあまりなく、自身の言葉よると「仲間うちの演奏」のために作曲された気軽で自由な雰囲気の曲になっています。
気心の知れた友人たちとこのような室内楽を演奏していたら、さぞ楽しかったことでしょうね。モーツァルトの嬉々とした表情が思い浮かぶようです。

1776年8月、モーツァルト20才の時の作品で、地元ザルツブルクで書かれています。この頃には若さ溢れる社交的で明るい曲が数多く残されています。上昇気流に乗っている輝くエネルギーを感じさせる曲です。

ピアノ三重奏曲 変ロ長調 K.254  第1楽章 Allegro assai 

2013年6月28日金曜日

K.296 ヴァイオリン・ソナタ ハ長調

モーツァルトは多くのヴァイオリン・ソナタ(40曲以上)を書いてますが、貴族に献呈したり、出版社に売ったりしていたようです。いずれも小規模な作品が多いですが、モーツァルトが比較的気軽に作っている様子が伺えます。

便宜上ヴァイオリン・ソナタと呼びますが、モーツァルトの時代、主役はピアノで、正式には「ヴァイオリン伴奏付ピアノ・ソナタ」なのだそうです。

K.296の第2楽章も、非常にリラックスした伸びやかで爽やかな曲想を楽しめます。
1778年3月にマンハイムで作曲されました。

ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K.269/ 第2楽章 Andante sostenuto ヘ長調

2013年6月27日木曜日

K.297 (300a) 交響曲 第31番 ニ長調 「パリ」

1778年初夏、パリ滞在中のモーツァルトは3年半ぶりに交響曲の作曲をしました。
「コンセール・スピリチュエル」の支配人ジャン・ル・グロから依頼で作曲されたのがこの交響曲です。
パリ訪問前に訪れたマンハイムではモーツァルトは多くの音楽的刺激を受けていました。
管楽器による色彩効果、ダイナミックな表現法などを学びとっていました。そして、何よりも同地の希にみるほどすぐれたオーケストラは、彼に大きな驚きを与えたといわれています。
折しもル・グロから交響曲の作曲依頼を受けたモーツァルトは、マンハイム楽派の様式にフランス的な表現法を織り込みながら、当時としては大規模な交響曲を作曲することとなり、ここに彼の交響曲の新しい一歩が踏み出されました。
第一の特徴はクラリネットを初めて採用したことで、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トラペット各2本の完全な2管編成をとっていることです。随所に管楽器の協奏的効果がみられるのは、マンハイムで活躍していた管楽器の名手たちから啓発されたものだと思われます。
完成後、6月18日に初演され大成功を収めたと記録されています。
ここでご紹介する第1楽章は全楽器のユニゾンで華々しく堂々と始まり、当時の聴衆への配慮がうかがえます。

交響曲 第31番 ニ長調 K.297(300a)/第1楽章 Allegro Allegro


photo:ラムサール条約登録湿地 佐潟(新潟市西蒲区)
◆余談◆
この時期にモーツァルトは父宛に長い手紙を送っています。その中でこの曲に関して次のように書いています。

それは聖体節〔1778年6月18日〕に演奏されて、大いに喝采を受けました。聞くところでは、『ヨーロッパ通信』にも、その記事が出ていたそうです。・・・・〔途中略〕・・・・・
あくる日は、・・・・〔途中略〕・・・・最初のアレグロのまん中に、これはきっと受けると思っていたパッサージュが一つあったのですが、はたして聴衆は一斉に熱狂してしまいました。そして拍手大喝采です。でもぼくは、書いている時から、それがどんな効果を生むかを知っていたので、それを最後にもう一度出しておきました。・・・・ 」

この内容から察すると、聴衆は曲の途中で拍手喝采していたようです。
今で言うと人気ロックバンドのノリノリのコンサートの様相だったのかも知れません。

現代では考えにくいですが、こんなコンサートがあっても楽しいと思います。

2013年6月26日水曜日

K.397 幻想曲 ニ短調

モーツァルトはピアノのためにソナタの他、変奏曲や幻想曲をいくつか書いています。
幻想曲は即興的な楽想を随所にもち、自由な構成で、テンポや調性を変動させるなどの特徴があるそうです。

このニ短調は自筆譜がないため、謎の多い作品です。作曲の動機や時期は不明なのだそうですが、一般的1782年に成立とされているようです。
短調の哀愁を帯びた旋律でとても人気の高い作品です。
おもしろいのは後半のアレグレット(4分の2拍子)の明るい曲想が唐突に現れるところです。アインシュタインは「最も高い意味で子供らしい、あるいは天国的」と評しています。
短調の非常に沈んだ曲の中でも、それに埋没せずにどこか客観視して『なんちゃってね!』とほほ笑んでいるモーツァルトの顔が私には浮かびます。

幻想曲 二短調 K.397

2013年6月25日火曜日

K.545 ピアノ・ソナタ ハ長調 第3楽章

第3楽章は明るく活発なアレグレット。
リズミカルで軽快に曲を締めくくります。

ピアノ・ソナタハ長調 K.545/第3楽章 Allegretto

◆余談◆
モーツァルトのピアノ・ソナタは技巧的にはあまり難しくないけれども、音楽として表現しようとするとこれほど難しいものはないとよく耳にします。
その音の少なさ・・・・無駄な音がひとつもないことが演奏者にとっては「ごまかし」が利かない怖さがあるのかもしれません。
時々演奏会で、ロマン派の圧倒的な音量と迫力に満ちたソナタを聴くのも刺激的で楽しいですが、普段自宅で聴くのはやはりモーツァルトが最高です。

2013年6月24日月曜日

K.545 ピアノ・ソナタ ハ長調 第2楽章

第2楽章はアンダンテ ト長調。
シンプルでゆったりとしたメロディが、微妙に色彩を変え移ろいながら流れて行く美しさには言葉を失います。
深い安らぎを感じさせてくれる楽章です。

ピアノ・ソナタハ長調 K.545/第2楽章 Andante

◆余談◆
K.545は ピアノ・ソナタ第16番? 15番?
モーツァルトのピアノ・ソナタはその時代の研究によって番号が違うものがあります。
このソナタも、旧モーツァルト全集(※)では第15番ですが、新モーツァルト全集では16番になっています。
モーツァルトの時代には、書いた曲がきちんとは残っていないため、ケッヘル番号もその版によって随分と違っているものがたくさんありますが、混乱を避けるため一般的には初版の番号が使われています。
ピアノ・ソナタも現在一般的には番号で呼ぶよりもケッヘル番号で呼ぶ場合が多いようです。
ベートーヴェンのようにきちんと番号が付いていて、「月光」とか「悲愴」などの名前が付いているのに比べると、ちょっと一般的には分かりずらいのは否めません。
※モーツァルト全集・・・国際モーツァテウム財団(国際的権威のあるモーツァルト研究機関)が刊行しているモーツァルトの作品全集で、旧版と新版(1954年~2007年刊行)がある。

2013年6月23日日曜日

K.545 ピアノ・ソナタ ハ長調 第1楽章

休日の朝はモーツァルトのピアノ・ソナタが似合います。
そのシンプルで精錬された美しさが心地よく体に響いて細胞が活性化されます。モーツァルトの音楽がもたらしてくれる比類のない感覚です。

そんな中でモーツァルトが「初心者のために」書いたことで知られる、ハ長調のソナタを聴いてみましょう。作曲されたのは1788年6月26日と作品目録に書かれていて、交響曲第39番と同じ日付になっています。
技巧的には初心者に配慮してあるそうですが、そのシンプルさが彼の音楽の魅力を一層引き立てています。
第1楽章は4/4拍子のソナタ形式で、音階を上下するメロディが特長的です。

ピアノ・ソナタハ長調 K.545/第1楽章 Allegro