これから取り上げる3曲のピアノ・ソナタ(K.330、K.331、K332)はK.333と同様に、1783年に書かれた作品で、この3曲は翌年の1784年にウィーンのアルターリア社から出版されています。
それぞれのソナタは短期間書かれているにもかかわらず、互いに異なった特異性を備えていて、とても充実した作品群となっています。
K.330はアルフレート・アインシュタインが「かつてモーツァルトが書いた最も愛らしいもののひとつ」と評している作品で、ウィーンで忙しく活躍しているモーツァルトの明るく前向きな生活を映し出しているようです。
以前第1楽章を取り上げていますので、ここでは第3楽章のアレグレットを聴いてみます。
この楽章はほとばしるような快活な主題で始まる、ソナタ形式ですが、展開部では民謡にインスピレーションを受けた小さな間奏曲を代用していて、意外性を発揮しています。
ピアノ・ソナタ(第10番)ハ長調 K.330(300h)/第3楽章 Allegretto
Link >> 第1楽章
<写真>新潟市秋葉区 新津川の河川敷の水仙(4月下旬撮影)
◆余談◆
この頃のモーツァルトのピアノ・ソナタは「愛らしい」という形容がぴったりな作品群です。
モーツァルトはこれらの作品を演奏会で弾いたり、弟子の教材として使ったり、出版したりと、多方面にわたって活用し、収入を得ていたと思われます。
ウィーンの寵児として八面六臂の活躍をするモーツァルトの絶頂期の輝きに満ちた作品群と言えるでしょう。
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