合唱が終わると、太守は悲しげにしているコンスタンツェに話しかけます。
「お前はまだ悲しがっているのか。私はお前を自分のものにしようと思えば、すぐに出来るが、それは望むところでない。私としてはお前が心から私を迎えるようになってほしいんだ。」と紳士的に求愛します。
そう言われたコンスタンツェは「私はベルモンテを愛しているので、あなたの愛を受け入れることはできない」と言って、このアリアを歌います。
悲しみの表現も比較的軽やかで、美しいコロラトゥーラの装飾をふんだんに盛り込んだアリアになっています。このことはモーツァルトが大衆に親しみやすく、わかりやすいオペラを意図していたことをうかがわせます。
「後宮からの逃走」K.384 第1幕 アリア『私はある人を愛し、とても幸せでした』/変ロ長調 Adagio - Allegro
<訳> (小学館 魅惑のオペラ 第17巻より転載)
コンスタンツェ
私はある人を愛し、とても幸せでした。
愛の苦しみなど知らずにいました。
真実の愛を誓ったのです そしてこの心のすべてを捧げたのです!
ところが愛の喜びは一瞬にして消えてしまいました。
別れという悲しい運命が訪れてのです。
だから私は今 深い悲しみに暮れています 涙に濡れているのです。
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