2018年4月10日火曜日

K.425 交響曲(第36番)ハ長調「リンツ」/第1楽章

あまり居心地のよくなかったザルツブルクへの帰省を終えて、1783年の10月末にモーツァルト夫妻はウィーンへの帰途につきます。そしてその途中にリンツに立ち寄り、モーツァルトの大ファンだったトゥーン侯爵の大歓迎を受けます。
そしてその侯爵の肝入りで、11月4日に開かれた演奏会のために、この交響曲は作られました。モーツァルトは『何しろスコアをひとつも持ってこなかったから、大急ぎで曲を書き上げなきゃいけません』と10月31日付けの父宛の手紙を残しています。
つまり、ちょっと信じがたい事ですが、演奏会までの僅か3日~5日間でこれだけの曲を書き上げたということになります。
どんなに急いで書いたからといって、作品の質を落とすことのないのがモーツァルトの常ですが、この作品も伸びやかで気品に溢れ、とても愛されています。
ここで聴く第1楽章は付点リズムを伴うアダージョの荘重な序奏に始まり、アレグロの晴れやかな主部が続き、鮮やかな対照をなしています。


交響曲(第36番)ハ長調 「リンツ」K.425/第1楽章 Adagio - Allegro spiritoso
Link >>> 第4楽章 Presto

<写真>新潟市・鳥屋野潟公園の桜(4月5日撮影)

余談今週の「きらクラ!
先週のやぱげーのさんの連続投稿で“木々のうちで何より愛らしいもの”の詩に3人の作曲家の別の曲が紹介され、とても興味深く聴かせていただきました。同じ詩にこれだけの作曲家が曲を付けるということは、それだけこの詩が魅力的なんだと思いますが、そのよさを知るためには、語学力が・・・残念。
「ここ好きクラシック」でシベリウスの交響曲第2番の3~4楽章が紹介されましたが、この部分は私も大好きなところです。生演奏で聴くと本当に胸が熱くなります。
今週もふかわさん、真理さんの明るい笑い声に溢れた素敵な内容で、心から堪能させていただきました。

5 件のコメント:

  1. (筆者は現在定期メンテナンスのため、ベットの上で時間をもて余しており、また、自身のblogにコメントするという愚行をお許しください。)

    リンツというとブルックナーが思い浮かびます。
    言わずと知れた交響曲の大作曲家ですが、これほど個性的な作曲家も珍しいと思います。
    どの交響曲も、繰返しの多い1時間を超す演奏時間、基本的に同じスタイルを貫いた驚くほどのワンパターン。普通の健全な感覚の人なら『付き合いきれない、好きになれない』派になるのが当然だと思います。
    しかし世の中には、この方の交響曲に深く心酔している変わり者(?)の方が少なからずいらっしゃいます。恥ずかしながらこの私もその一人として、末席を汚しております。

    ブルックナーの交響曲の特徴は、その技法に名前が付くようなものがいくつかあります。
    第1楽章の冒頭が弦のトレモノで始まる【ブルックナー開始】、楽想が変わる前のゲネラル・パウゼ【ブルックナー休止】(普通の作曲家は楽想の変化をいかにうまく繋げるかに腐心しますが、この方はそんなのお構い無し)、2+3又は3+2の【ブルックナー・リズム】等々、非常に特異な音楽の世界を展開します。
    そして厄介なのは、いくつもある版の問題です。何か人に言われる度に自身が書き直したり、周りの関係者が手を加えたりと、複雑極まります。原典版、ハース版、ノヴァーク版などが主に演奏されています。マニアの方は演奏を聴いて、どの版かわかるそうですが、音楽の素人の私には違いは殆んどわかりません。

    そんな音楽の特異点のブルックナーの交響曲の底知れない魔力にはまってしまった私は、もう逃れることが出来ません。
    その大地を揺さぶり、天空に放たれるような重厚で荘厳な響き。心と体の奥底に共鳴するかのような豊かで厚い和音。浪々と流れる大河を想わせる壮大な旋律。等々その魅力は私の文章力ではとても表現出来ません。
    いい演奏にあたると、冒頭のブルックナー開始のトレモロから音が立ち上がって来るところで、すでに目頭が熱くなります。そして、お決まりの最終楽章のゲネラル・パウゼから次第に盛り上がって、fffのフィナーレを迎える頃にはエクスタシーの極致。

    このような至福感を味わえる演奏は、簡単には巡り会えませんが、それを求めてコンサートに足繁く通うのがファン・信奉者の宿命です。しかし、地方に居るとブルックナーの演奏にはめったにお目にかかれません。
    頻繁に演奏されている首都圏に足を向ければいいのでしょうが、負担が大きく二の足を踏んでしまいます。なので普段はCDを聴いています。しかし、ヘッドフォンで聴くのは苦手で、ステレオを大音響で鳴らして全身でその響き受けとめたいので、家族、ご近所様が不在の時しかかけられません。ブルックナー・エクスタシーを味わうためには茨の道を歩むのも信奉者にとっては修行のようなものです。

    ブルックナーは私生活では、沢山の女性に求愛しても全て実らず、独身で一生を過ごしました。これだけ個性的で比類のない作品を残した作曲家の、おそらく風変わりで強烈な個性を受け入れられる女性はいなかったのでしょうね……。

    それにしても、ブルックナーの交響曲を聴くたびに「よくぞ、これほどの音楽を残してくださいました。あなたなしには、この世にこのような音楽は鳴り響かなかったでしょう。感謝!!」と思ってしまいます。

    私の敬愛するモーツァルト、そしてブルックナーが同じオーストリアの出身であることは、長い歴史に培われた音楽文化、そして人々の暮らしを支えた豊かな自然風土がもたらしたものかも知れません。

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    1. 私もブルックナーが大好きです。
      トランペットとホルンを吹いていた時期があり、金管楽器大活躍の曲からマーラー、ブルックナーとハマりました。
      実は、ブルックナー交響曲全集をMP3データにして、毎日のようにカーステレオで聴いております。
      もし、演奏できる機会があるのなら、一生に一度でいいから、8番を吹いてみたいというのが夢です。が、現実は厳しく、ブランクありすぎて演奏は無理でしょうね。
      せめて、演奏会で1度聴いてみたいものです。

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    2. BWV1000番様、いつもお世話になっております。
      コメントありがとうございます。
      ブルックナー・ファンでいらしたなんて、すごく嬉しくなりました。
      初対面の方でも、ブルックナーが好きと聞くと、凄く親近感を抱きます。
      確かに金管楽器を演奏される方にとっては憧れの曲なのでしょうね・・。
      あの音響の中に自身も参加できたら、素晴らしい感動でしょうね・・・。

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  2. love mozartさん
     大切なメンテナンスの期間ですね。

     今朝、鞍掛山散策に行きましたが、其処彼処から小鳥の囀りが聞こえ始めています。季節は春。雪道が緩んで歩きにくい時期でもあります。
     今朝も前回の「きらクラ!」を味わい深く聴くことができました。

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    1. 山ずきかっちゃんさん、コメント有難うございます。
      頻繁に散策を楽しまれていらっしゃるようで、羨ましいです。
      これからの新緑の季節は、山が自然の息吹で最も輝きを放ちますよね……。また、素敵な山行報告をお待ちしてます。

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