2016年12月29日木曜日

K.238 ピアノ協奏曲(第6番)変ロ長調 第1楽章

今月はモーツァルト20歳(1776年)の作品を主に聴いていますが、この年モーツァルトはピアノ協奏曲を3曲書いています。
彼のピアノ協奏曲は番号が付いているものが27曲ありますが、1~4番は他者の作品の編曲ですので、この作品は彼のオリジナル作品としては K.175 ニ長調(第5番)に次ぐ2曲目にあたります。
第7番と第8番が素人演奏家のために作られたのに対して、この第6番は難しい演奏技法を要求する部分があることから、彼自身(または姉ナンネル)のために作曲されたと思われています。しばしば再演され、後のマンハイム=パリ旅行でも取り上げられています。
この第1楽章のアレグロには、「アペルト aperto」という発想記号が付いていますが、これは「開いた」という意味から、「はっきりとした」とか、さらには「堂々とした」というような意味のようです。 協奏的ソナタ形式で、第1主題は明快で淀みがありません。カデンツァはモーツァルト自身が残しているもので演奏されています。


ピアノ協奏曲 変ロ長調 K.238/第1楽章 Allegro aperto 変ロ長調 4/4

余談・今年最後の「きらクラ!」
年末も押し迫って来ました。
先日放送された「きらクラ!」では、リスナーの今年の1曲が紹介されていました。この番組は、ふかわさん、真理さんの魅力に加え、リスナーの投稿もユーモアあり感動ありの非常に豊かな内容が多く、毎回興味が尽きません。特に印象に残った今年の1曲を記載させていただきます。

横浜市・くらべすさん
 福島公開収録から:「群青」… (合唱)会津若松市立第二中学校 特設合唱部
 会場でお聴きになって涙が止まらなかったとのことですが、私もラジオを通して涙ぐんでしまいました。様々な部活の生徒さんが集まり、純粋に音楽に取り組まれている姿は心から感動しました。取り組まれた生徒さん・先生方にとっても一生の宝物になると思います。素晴らしい合唱を聴かせていただき深く感謝します。

山梨県中央市・ご自愛は442ヘルツさん
 フランク作曲:「バイオリン・ソナタ イ長調 第4楽章」(チェロ編曲版)
 4ケ月に及ぶ長期入院をされていらいした間、この曲を毎夜消灯後の眠りに就く前に繰り返し繰り返し聴き続け、折れそうになる心を支え、明日への活力になったそうです。
 現在は退院され、通院生活を送られていらっしゃるそうですが、この曲を聴き続けておられるそうです。

福井市・低音トランペッターさん
 エルガー作曲:「変奏曲“謎”から 第9変奏“ニムロッド”」
 新婚8ケ月の今年の3月、ご主人が車にひかれ1ケ月の意識不明の後に持ち直したものの、記憶障害等の大きな後遺症を負われていらっしゃるそうで、心よりお見舞い申し上げます。
 入院中のご主人の病院へ向かう車中で、豊かに実った田園地帯の風景をバックにこの曲を聴き胸に迫るものがあり、「人のあたたかさ、自然の美しさを感じ、今年を前向きに乗り切る原動力になった」そうです。
 想像を絶するご苦労がおありかと存じますが、どうか明るい光が差す日が来ることをお祈り申し上げます。

 それぞれの方々のそれぞれの実体験は心を打つものばかりです。
 音楽をはじめ芸術は私たちを鼓舞する力を与えてくれます。どんなに辛い体験にも音楽は無条件に寄り添ってくれます。来年もまた音楽を愛し、音楽に愛される生活を続けられることを祈ります。

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