2016年12月15日木曜日

K.253 ディヴェルティメント ヘ長調 第1楽章

K.253 のディベルティメントは「食卓音楽」シリーズの第4作目にあたります。
同じ楽器編成(オーボエ、ホルン、ファゴット各2本)で3楽章で構成されています。
この第1楽章はアンダンテのテーマと5つの変奏からなっています。多楽章構成の作品で、冒頭の楽章が主題と変奏になっているのはとても珍しく、モーツァルトの作品では他にフルート四重奏曲K.298 とピアノ・ソナタK.331 のみです。
この楽章は全体で126小節というかなり長い音楽になっていますが、おそらく大司教からのリクエストに合わせたものと思われます。
6本の木管楽器が緻密なアンサンブルを奏で、温かい雰囲気に終始しています。


ディヴェルティメント ヘ長調 K.253/第1楽章 Andante

写真に寄せて
写真は新潟市西蒲区の国上山(くがみやま)の五合庵(ごごうあん)です。
越後の高僧・良寛が長い漂泊の旅を終え、文化元年(1804年)から十数年、住まいした庵です。
ここでの良寛は何事にもとらわれず、何者にも煩わされない生活だったと伝えられています。
筍が顔を覗かせれば居間を譲り、子供にせがまれれば、日が落ちるまで鞠付きに興じ、「この子らと 手鞠付きつつ遊ぶ春 日はくれずともよし」という歌も残しています。また、良寛独特の書法もここで生み出されています。
良寛はモーツァルトの生年の2年後の1758年に生まれ、1831年に亡くなっています。西洋でモーツァルトが活躍していた時代に、極東の日本ではこのような清貧の高僧が生きていたのです。

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