2015年1月31日土曜日

K.492 「フィガロの結婚」 第4幕 フィナーレ

伯爵はスザンナと秘かに会えるのを楽しみにやってきます。
そして、スザンナの服を着た伯爵夫人をスザンナと勘違いして、甘い言葉をささやくのです。
これで動かぬ浮気の証拠が押さえられてしまいました。伯爵夫人は何も知らない伯爵に正体を明かします。スザンナと思って近寄った伯爵は、実はそれが自分の妻だったことを知って驚きます。
深く反省した伯爵のことを、夫人は温かく許してあげたのでした。
めでたし、めでたしでフィナーレを迎えます。


「フィガロの結婚」K.492 第4幕『フィナーレ』

<訳> (小学館 魅惑のオペラ 01巻より転載)
 (前半略)
伯爵     伯爵夫人よ、許してくれ!
伯爵夫人 私はあなたより素直ですから、はい・・・と申します。
全員    これで、みんな満足でしょう

       苦痛と気まぐれで過ごした今日一日
       喜びと満足で締めくくるのは ただ愛だけだ!
       花嫁花婿・・・友達も
       みんな楽しく踊り、花火を上げよう!
       楽しい音楽に合わせて みんなで祝いに急ぎましょう。
余談
かなり簡略化した形ですが、なんとかフィナーレにこぎ着けました。
今回、改めてDVDを見たり関係書籍を読んでみて、このオペラのストーリーは人間関係が複雑にからんで、1度観ただけではなかなか理解出来ないのではないかと思いました。
物語は喜劇的ですが、権力に対する批判精神や、人間の心の深淵に触れる内容で、何回観ても飽きません。
それもこれもモーツァルトの素晴らしい音楽があればこそです。彼の音楽はどんな場面でも、その根底に人間への慈しみと愛にあふれています。台詞のひとつひとつが極上のハーモニーと旋律に乗って、私たちをこの上ない幸福感に包んでくれます。これからもずーっと愛され続けていくことでしょう。

2015年1月27日火曜日

K.492 第4幕 『早くおいで、美しい喜びよ』

Happy Birthday !!  Wolfgang Amadeus Mozart !!!

舞台は変わってその夜、屋敷の裏庭です。
伯爵を懲らしめるためにスザンナと伯爵夫人が衣装を交換してやってきます。スザンナはマルチェリーナからフィガロが来ていることを知らされ、いたずら心を込めて歌うのがこのアリアです。
本当はフィガロに向けた愛のアリアなのですが、陰で聞いているフィガロは伯爵に向けたものだと誤解して非常に憤慨します。


「フィガロの結婚」K.492 第4幕『早くおいで、美しい喜びよ』 アンダンテ 8分の6拍子 ヘ長調

<訳> (小学館 魅惑のオペラ 01巻より転載)
 スザンナ
  早くおいで、美しい喜びよ
  愛がお前を招いている所へ
  夜空に光がまたたいている間に。
  ここでは小川では、つぶやきそよ風も戯れ
  甘いささやきに心はよみがえる
  花はほほ笑み、草木はさわやかに
  すべてを愛の喜びに誘う。
  早くおいでいとしい人、この木々の茂みに
  あなたの額をバラの花冠で飾ってあげたいの。

生誕259年おめでとう !!
今年もこの日がやってまいりました。天上界のモーツァルト様、お誕生日おめでとうございます。
あなた様がこの世に出現されたことは、天からの人類へのかげがえのない贈り物でした。
本当にどれだけ感謝しても足りないくらいです。ありがとうございました。これからもよろしくお願い申し上げます。

2015年1月25日日曜日

K.492 第3幕 二重唱『やさしい夜の風が』

そこにスザンナが登場します。スザンナたちの結婚の行方を案じていたいた伯爵夫人は、スザンナから「万事うまく行きましたから」という報告をうけます。
安堵した夫人は、いよいよ伯爵を懲らしめるための作戦を立てます。スザンナが伯爵に今夜会う場所を知らせる偽の手紙を書くようにいいます。
そこで歌われるのがこの「手紙の二重唱」と呼ばれるカンツォネッタです。
手紙の文句を伯爵夫人がいって、スザンナが同じ文句を繰り返しながら筆記していくカノンの形で歌い続けられていきます。シンプルな歌ですが、モーツァルトの筆致は絶品です。


「フィガロの結婚」K.492 第3幕『やさしい夜の風が』アレグレット 8分の6拍子 変ロ長調

<訳> (小学館 魅惑のオペラ 01巻より転載)
スザンナ  そよ風に・・・
伯爵夫人 甘く優しいそよ風が・・・
スザンナ  優しいしそよ風が・・・
伯爵夫人 さわやかに吹く今宵・・・
スザンナ  さわやかに吹く今宵・・・
伯爵夫人 庭の茂み、松の木の下で・・・
スザンナ  松の木の下で・・・
         庭の茂み・・・松の木の下で・・・
伯爵夫人 それでわかるわ。
スザンナ  おわかりになりますわね。

今日の『きらクラ!』
ゲストにピアニストの三舩優子さんをお迎えして楽しいトーク炸裂でした。
なんといっても圧巻はふかわさんと三舩優子さんの連弾による「キラキラ星変奏曲」でした。
ふかわさんの音楽対する熱い思いが伝わってきて、とても好感がもてました。ほとんど楽器のできない私などでも、アマチュアでもプロでも本番への緊張感のすさまじさの一端を知ることができました。
これからも頑張れふかわさん! 真理さんとの「鏡の中の鏡」に向けて!!!

2015年1月24日土曜日

K.492  第3幕『どこへ行ったの、あの頃の喜びと嬉しさは』

その後、お話は複雑な経緯をたどり、裁判に敗れたフィガロが、実はマルチェリーナおば様と弁護人バルトロの二人が若かりし頃の恋の火遊びをした結果できてしまった子供だったことが発覚し(笑い)、フィガロとスザンナは無事に結婚できることになります。
一方、悲しみの癒えない伯爵夫人ロジーナは伯爵と結婚した当時の幸せな日々を回想し、今の身の上を嘆いて歌うのがこのアリアです。甘くてやるせない歌ですが、途中からアレグロになり気持ちの変化を表しています。


「フィガロの結婚」K.492 第3幕『どこへ行ったの、あの頃の喜びと嬉しさは』 アンダンテ ハ長調

<訳> (小学館 魅惑のオペラ 01巻より転載)
 伯爵夫人
  どこへ行ってしまったのかしら あの甘く楽しい思い出は
  どこへ行ってしまったのかしら 唇に交わされたあの誓い・・・
  涙と苦しみの中で 私にとってすべてが変わってしまったのに
  あの幸福な思い出はどうして 私の胸から消えてしまわなかったのかしら
  せめて私のひたむきな思いが あの人に伝わって
  薄情なあの人に伝わって その心を変える望みでも現れれば!

余談
『どこに行ったの、あの興奮と勝利の喜びは・・』 昨夜はふてくされて早く寝てしまいました。
朝起きてNHKニュースのスポーツコーナーを見ていたら、サッカーアジア杯のことには全く触れませんでした。国民の気持ちを汲んでいて好感がもてました。もうなかったことにしよう。
選手たちは一生懸命やっているのに、見勝手な人間ですみません<m(__)m>。

2015年1月18日日曜日

K.492「フィガロの結婚」 第3幕『もう訴訟に勝っただと』

様々な登場人物の複雑な思惑がからんだ、ドタバタで第2幕が終わって、舞台は伯爵家の居間です。
伯爵夫人との画策を進めるスザンナが現れ、伯爵に気のある素振りを見せます。
機嫌をなおした伯爵でしたが、スザンナが帰り際にフィガロにささやいた一言を耳にして、自分はだまされているのではないかと疑心暗鬼になって歌うアリアです。
傲慢身勝手な伯爵の本音をさらけ出した場面です。


「フィガロの結婚」K.492 第3幕 『もう訴訟に勝っただと』  マエストーソ 4分の4拍子 ハ長調

<訳> (小学館 魅惑のオペラ 01巻より転載)
アルマヴィーヴァ
  わしがため息をついている間に 召し使いが幸福を得ていいのか?
  わしが望んでかなわぬものを 召し使いが手に入れていいのか?
  わしに愛を目覚めさせておきながら わしを愛するでもなく
  あんな男と結ばれるのを 黙って眺めていてもいいのか?
  こんなことでいいのか?
  このまま安心させておくものか このまま満足させておくものか
  許せない 向こう見ずな奴!
  言語道断だ、主人を笑いものにするとは。
  わしの楽しみといったら 仕返しをすることだけ
  復讐こそが 残されて楽しみだ。

余談
いつの時代も、権力者というのは傲慢身勝手になりがちなのでしょうが、このアリアも伯爵のエゴ全開です。
今の時代にこんなこと言ったのが明るみに出たら、パワハラ、セクハラで一発失脚間違いなしです。

2015年1月15日木曜日

K.492「フィガロの結婚」 第2幕『恋とはどんなものかしら』

悲しんでいる伯爵夫人、そこへスザンナ、ケルビーノと相次いでやってきます。
伯爵夫人とスザンナは伯爵の行状を暴くために囮捜査をしようと画策します。
つまり、伯爵をスザンナの名前でおびき出し、女装させたケルビーノと会っているところを見つけて動かぬ証拠を突きつけようという計画です。
ここでケルビーノが伯爵夫人に歌うのがこの有名なアリエッタです。
このチャーミングなメロディーを美少年に歌われたら、ご婦人方の心は溶けてしまうことでしょう。


「フィガロの結婚」K.492 第2幕『恋とはどんなものかしら』 アンダンテ・コン・モート 4分の2拍子 変ロ長調

<訳> (小学館 魅惑のオペラ 01巻より転載)
ケルビーノ
  恋とはどんなものなのか ご存知のご婦人方・・・
  ご覧いただけましょうか 僕の心に恋があるかどうかを。
  僕が感じていることを申し上げようにも 初めてのことなのでわからないのです。
  でも胸には憧れに満ちたものを感じているのです
  それは時には喜びであり 時には苦しみです。
  凍るかと思えば燃え上がり またすぐに凍ってしまうのです。
  自分を幸せにするものを探しているのですが
  誰が持っているかも その正体もわかりません。
  ひとりでにため息が漏れ 悩み・・・胸はときめき。
  昼も夜も 静まる時がなかろうと 僕は好きなのです こうして悩んでいるのが。
  恋とはどんなものかしら 教えてくださいご婦人方
  僕の心に芽生えているかどうか 僕の心に恋があるかどうかを。

2015年1月12日月曜日

K.492「フィガロの結婚」 第2幕『愛の神様』

場面が変わって第2幕は伯爵夫人ロジーナの部屋です。
夫人はかつて自分をあんなに愛していてくれた伯爵が、今は心変わりして次から次に他の女を追いかけるのに夢中になっていることを嘆き悲しむカヴァンティーナです。微妙なニュアンスに富んだ気品ある音楽です。


「フィガロの結婚」K.492 第2幕『愛の神様』 ラルゲット 4分の2拍子 変ホ長調

<訳> (小学館 魅惑のオペラ 01巻より転載)
伯爵夫人ロジーナ
  愛の神様、慰めの手を差し伸べてください
  私のこの苦しみと嘆きに。
  大事なあの方を私にお返しください
  さもなければせめて私に死をおあたえください。

先日の「きらクラ!
まだ余韻に浸っています。素晴らしく充実した内容で、何度か聞き返してしまいました。 特に印象的なのが冒頭の3つの投稿です。
◇青森県階上町のねまき猫(?)さんの『音楽の中に湖面に映える輝きが、雪原の曲線的な影、草を分けて歩く足の感じなどを覚えて、もう一度素直な気持ちに戻って前を向いて行こうと思います・・・・』なんと素敵な表現でしょう。音楽のもつ力を感じさせてくださいます。
◇同郷の新潟県上越市・純米吟醸さんの『名曲と銘酒に支えてもらってよい一年にしたい・・・』お正月らしく、ふかわさん真理さんに大うけでした。
◇三重県四日市市・マロンさん。お友達の読み聞かせの会のお話よかったです。そこで終わるかと思ったら、なんと!!「BGM選手権スペシャルの開催を宣言します!」・・・ファンファーレ・・・・!!!
素晴らしい投稿をされたリスナーの方々、それを取り上げて遊び心一杯に演出されたコダマッチさん。きら☆クラ!ワールド炸裂でした。こんなに面白く幸せな気持ちにさせてくれる番組は宝物です。ふかわさん、真理さん、コダマッチさん、スタッフの皆さん、これからもよろしくお願いします!!!

2015年1月11日日曜日

K.492「フィガロの結婚」 第1幕『もう飛ぶまいぞ、この蝶々』

伯爵がスザンナを口説きに部屋に来た際に、この恋多きケルビーノが、なんと伯爵夫人にまで想いを寄せているという話を偶然耳にしてしまします。
激怒した伯爵はケルビーノを遠隔地の連隊への配属を命じます。
そこへフィガロが村の娘たちを連れて登場。「私たちは殿様が廃止なさった、忌まわしい習慣(初夜権)から逃れられる初めてのカップルです。村の皆の衆と一緒にお礼を言わせてください」という。大勢の証人を頼んで初夜権廃止を再確認させようというフィガロの画策にしぶしぶ伯爵は同意します。
その後、配置換えを命じられて落胆するケルビーノを見つけたフィガロが、出征を励ますために歌うのがこの有名なアリアです。行進曲風の豪快な歌ですが、内容には皮肉が込められています。


「フィガロの結婚」K.492 第1幕『もう飛ぶまいぞ、この蝶々』 アレグロ・ヴィヴァーチェ ハ長調

<訳>  (小学館 魅惑のオペラ 01巻より転載)
 フィガロ 
  もう飛び回れぬぞ、愛の蝶よ
  昼夜かまわず飛び回り 美女の憩いを乱しには行けないぞ
  かわいいナルシスト、愛のアドニスよ。
  こんな羽根飾りももう無駄だ
  上品な軽い帽子をかぶるのも長い髪も、派手な服装も
  女のように紅をつけるのももうできないぞ。
  軍人になるのだ!
  口ひげ生やし、はいのう背負い 肩には銃を、腰には剣
  高い襟に鼻筋たてて 大きなかぶとに大きな頭巾
  名誉はたんまり銭は僅か!
  踊りの代わりに泥の中を進軍。
  野山を越え、谷を渡り 雪の中、暑さの中 ラッパの音にまじって
  砲声が雷のように耳をつんざくぞ。
  ケルビーノよ、いざ進め 輝かしい栄光と勝利に向かって。

今日の「きらクラ!
今日の放送は年に一度のBGM選手権スペシャルでした。冒頭の投稿で開会宣言とファンファーレが流れてぶっ飛び、大笑いしてしまいました(毎年してましたっけ?)。センス最高!!!!!!!
今回のお題は私は何も浮かばなくてパスしてしまいましたが、3つのお題それぞれにリスナーの感性が輝いていてとても楽しませていただきました。私の知らない曲が一杯出てきて、それぞれの音楽で詩の世界が予想もしない色彩を放って実に面白かったです。
プレイバックでは懐かしい記憶がよみがえりました。特に今回はBWV1000番様の貴重な資料があって倍楽しめました。これからもこの秀逸な企画を一生懸命応援していきます!!!!

2015年1月8日木曜日

K.492「フィガロの結婚」 第1幕『自分で自分がわからない』

このオペラではケルビーノという伯爵の小姓がたびたび登場します。
どんな女性にでも恋してしまう思春期の少年なのですが、メゾソプラノが歌う役柄(いわゆるズボン役)で、最初観るとこの少年役が女装するというシーンもあって混乱してしまします。 そのケルビーノが登場する第1幕の場面です。

スザンナがマルチェリーナと口論した後ひとりになると、小姓のケルビーノが部屋に入ってきます。
せんだって庭師アントニオの娘バルバリーナと一緒にいたところを伯爵に見つかって追放されそうなので、伯爵夫人にとりなしてほしいと懇願します。「あら最近彼女に恋しているの」とスザンナがからかいます。
彼は目下女性なら誰でもときめいてしまう年頃なのです。ここでケルビーノが歌うアリアです。


「フィガロの結婚」K.492 第1幕『自分で自分がわからない』

<訳> (小学館 魅惑のオペラ 01巻より転載)
ケルビーノ
   自分で自分がわからない
   火のように燃えては冷め 女と見れば顔は赤らみ 胸は高鳴る。
   愛という言葉ひとつに 僕の心は乱れ なぜかはわからないけれど
   恋を語らずにはいられなくなる。
   目覚めていても恋を語り まどろんでいても恋を語る
   水に、影に、山に、花に、草に、泉に、大気に、
     むなしいひびきを運ぶこだまにも恋を語るのさ。
   たとえ だれも聞いてくれなくても 自分ひとりで恋を語るのさ。

2015年1月6日火曜日

K.492「フィガロの結婚」 第1幕『もしも踊りをなさりたければ』

伯爵がこの部屋をフィガロ達にくださるというので、フィガロは有頂天ですが、それを聞いたスザンナは伯爵の下心に気づきます。
最近伯爵が奥方に飽きて、スザンナに色気を示しているばかりか、夫人との結婚を機に廃止を宣言した初夜権を復活させたいと画策していることをスザンナから聞いたフィガロは大いに憤慨します。
それならこちらにも手があるぞと計略をめぐらすフィガロが歌うカヴァティーナ(素朴な旋律をもつ歌謡的な声楽曲)です。


「フィガロの結婚」K.492 第1幕『もしも踊りをなさりたければ』

<訳> (小学館 魅惑のオペラ 01巻より転載)
フィガロ もしも踊りをなさりたければ、伯爵様・・・ギターを弾いて差し上げましょう。
      もしも手前の学校に入門なさりたければ、踊りの一つもお教えしましょう。
      知っていますとも 今にわかりますよ 
      だからここはひとつ なりをひそめてそらっとぼけているほうが 
      秘密を暴くには都合がよさそうだ。
      策を用い 手を尽くし あちらこちらに悪ふざけ・・・もくろみすべて覆しましょう
      策を用い手だて尽くして 罪深い冗談なさろうものなら
      どんなたくらみも覆してみせましょう。
余談
オペラを聴くようになる以前に、知識としてあらすじを読んだとき、正直このストーリーのたわいなさには抵抗を感じました。そしてこの前時代的な「初夜権」の話に至っては閉口してしまい、これが私のオペラ鑑賞を遅れさせた原因のひとつでした。喜劇として楽しむ心の余裕が足りなかったようです。
しかしこの人間臭く愚かしいストーリーが、モーツァルトの音楽によって愛しい人間劇として芸術にまで昇華される様には驚くほかありません。

2015年1月4日日曜日

K492「フィガロの結婚」 第1幕『5つ… 10… 20…』

第1幕の開幕です。
時は18世紀、舞台はスペイン、セヴィリャのアルマヴィーヴァ伯爵の館。
伯爵の従者フィガロと、同じく伯爵家の女中スザンナの結婚式当日のお話です。

アルマヴィーヴァ伯爵から結婚する2人に与えられた部屋で、フィガロは伯爵が下さるというベッドが部屋に入るかどうかをみるため部屋の寸法を測っています。スザンナは鏡台に向って帽子を被ろうとしています。
その冒頭に歌われる小二重唱です。ふたりの希望にあふれる気持ちを軽やかに奏でます。


フィガロの結婚 K.492 第1幕「5つ… 10… 20…」

<訳> (小学館 魅惑のオペラ 01巻より転載)
フィガロ  5つ… 10… 20… 30… 36… 43…
スザンナ 本当にうれしいわ、あつらえたみたいに、私にぴったりよ。
       見てよ、フィガロ、ちょっと見てよ、私のベール。
フィガロ   すばらしい。よく似合うよ。あつらえたみたいだ。
スザンナとフィガロ
        婚礼の日の朝。私に(君に)なんて愛らしくて、素敵なんだろう。
        スザンナお手製のこのベール
余談
期待感でうきうきするような素晴らしい序曲の後に、すぐこの二重唱が始まりますが、ここまで聴いただけで、完全にモーツァルトの世界に陶酔してしまいます。見事なプロローグです。脱帽!

2015年1月3日土曜日

K.492 歌劇「フィガロの結婚」 序曲

瓢湖から望む飯豊連峰
「フィガロの結婚」は現在上演されるオペラの中でも最も人気の高い演目のひとつです。
18世紀に数多く作曲されたオペラの中で、現在でも上演されるのはモーツァルトの他にはほとんど見当たりません。それほど時代を超えて支持されるのは、モーツァルトの音楽の素晴らしさにほかありません。
この作品の原作はフランスの劇作家ボーマルシェが1784年に書いた風刺的な戯曲ですが、内容がフランス革命の発端となったといわれるほど体制批判的だったため、台本の段階でイタリア人作家ロレンツォ・ダ・ポンテが問題のある部分を割愛して、オペラ・ブッファ(喜劇的要素の入ったオペラ)の形にして上演にこぎつけました。
初演は1786年5月1日、ウィーンのブルク劇場で行われました。序曲と4幕28曲からなり、上演時間はおおよそ3時間です。
この序曲は開演前の高揚感をかきたてる傑作中の傑作で、単独でもよく演奏されます。


歌劇「フィガロの結婚」K.492 序曲
余談
この拙いブログを始めてから3年、ようやくモーツァルトのオペラを取り上げます。
モーツァルトの音楽は器楽曲だけでも十二分に素晴らしいのですが、オペラはさらにストーリーと舞台効果が加わりその魅力は倍増されます。
私がオペラを生で鑑賞したのは20年ほど前のこの「フィガロの結婚」が初めてでした。
クラシック音楽とは無縁の環境で育った私にとってオペラなんて別世界の事柄でした。20歳代でモーツァルトの音楽が大好きになり数多くの楽曲に接して心酔しましたが、オペラは言葉の壁もあり敷居の高いものでした。しかし色々なモーツァルト関連書籍を読むと、どれも異口同音にモーツァルトのオペラの素晴らしを讃えていました。そして遅ればせながら私もようやく生で鑑賞する機会をもって心から納得しました。
オペラで繰り広げられる多様な人間関係、ひとりひとりの感情の機微にモーツァルトの音楽がぴったり寄り添い、実に色彩豊かな世界を展開していました。言葉と音楽がこれほどまでに美しく生き生きと表現される世界を初めてまのあたりにした思いでした。 それ以来、近くに興行が来ると欠かさず足を運んでいます。

2015年1月1日木曜日

【謹賀新年】K.320 セレナーデ ニ長調「ポスト・ホルン」第4楽章

新年あけましておめでとうございます。
2015年が皆様にとりまして幸多い年となりますようお祈り申し上げます。

年の初めは華麗な白鳥の姿とともに、フルートとオーボエの音色が優しさに溢れている、ポスト・ホルンセレナーデの第4楽章を聴いてみます。
モーツァルトが多くの体験を重ねたマンハイム=パリ旅行から、故郷ザルツブルクに帰っていた1779年の8月に完成しました。7楽章からなるこのセレナードは何らかの祝祭のために書かれたと思われますがはっきりわかっていません。
第2メヌエットに駅馬車に用いられていたポスト・ホルンが使われていることからこの名前で呼ばれるようになりました。


セレナーデ ニ長調「ポスト・ホルン」K.320 第4楽章 Allegro ma non troppo
写真に寄せて
写真は新潟県阿賀野市水原の有名な瓢湖の白鳥です。先日(12月28日)素晴らしい快晴に恵まれた日に撮影してきました。数時間居座って、ずーっと観察していました。餌を啄む姿、エネルギッシュに飛び立つ姿、大きな翼を広げて悠々と空を舞う姿、滑るように着水する姿・・・・・うっとりするような美しさでした。