2013年6月30日日曜日

K.515 弦楽五重奏曲 第2番 ハ長調

今日は充実の室内楽・弦楽五重奏を聴いてみましょう。
モーツァルトは6曲の弦楽五重奏曲を残しています。
通常の四重奏曲にビオラを加えた編成で、中音域が充実し一層の表現の幅と深さを増した作品となっています。
この第2番は第1番(K.174)が作られてから14年後の1787年、モーツァルト31歳の時の作品で、大きな構成を持ち全4楽章で30分以上かかる作品です。
ご紹介する第一楽章はハ長調ですが、半音階を含む不安定な音の進行と、揺れ動くような転調を巧みに操って独特な「哀しさ」を醸し出しています。
この作品の作曲動機は謎のようですが、単なる社交音楽からは離れ、内面的な陰影を表現した緻密で奥深い室内楽の名作です。

弦楽五重奏曲 第2番 ハ長調 K.515 第1楽章 Allegro

2013年6月29日土曜日

K.254 ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調

モーツァルトはピアノ、ヴァイオリン、チェロのため三重奏曲(ピアノ・トリオ)を番号のあるもので7曲書いています。

その最初の曲がこのK.254です。
自筆譜では「ディベルティメント」と書かれていてモーツァルト本人にはピアノ・トリオという意識はあまりなく、自身の言葉よると「仲間うちの演奏」のために作曲された気軽で自由な雰囲気の曲になっています。
気心の知れた友人たちとこのような室内楽を演奏していたら、さぞ楽しかったことでしょうね。モーツァルトの嬉々とした表情が思い浮かぶようです。

1776年8月、モーツァルト20才の時の作品で、地元ザルツブルクで書かれています。この頃には若さ溢れる社交的で明るい曲が数多く残されています。上昇気流に乗っている輝くエネルギーを感じさせる曲です。

ピアノ三重奏曲 変ロ長調 K.254  第1楽章 Allegro assai 

2013年6月28日金曜日

K.296 ヴァイオリン・ソナタ ハ長調

モーツァルトは多くのヴァイオリン・ソナタ(40曲以上)を書いてますが、貴族に献呈したり、出版社に売ったりしていたようです。いずれも小規模な作品が多いですが、モーツァルトが比較的気軽に作っている様子が伺えます。

便宜上ヴァイオリン・ソナタと呼びますが、モーツァルトの時代、主役はピアノで、正式には「ヴァイオリン伴奏付ピアノ・ソナタ」なのだそうです。

K.296の第2楽章も、非常にリラックスした伸びやかで爽やかな曲想を楽しめます。
1778年3月にマンハイムで作曲されました。

ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K.269/ 第2楽章 Andante sostenuto ヘ長調

2013年6月27日木曜日

K.297 (300a) 交響曲 第31番 ニ長調 「パリ」

1778年初夏、パリ滞在中のモーツァルトは3年半ぶりに交響曲の作曲をしました。
「コンセール・スピリチュエル」の支配人ジャン・ル・グロから依頼で作曲されたのがこの交響曲です。
パリ訪問前に訪れたマンハイムではモーツァルトは多くの音楽的刺激を受けていました。
管楽器による色彩効果、ダイナミックな表現法などを学びとっていました。そして、何よりも同地の希にみるほどすぐれたオーケストラは、彼に大きな驚きを与えたといわれています。
折しもル・グロから交響曲の作曲依頼を受けたモーツァルトは、マンハイム楽派の様式にフランス的な表現法を織り込みながら、当時としては大規模な交響曲を作曲することとなり、ここに彼の交響曲の新しい一歩が踏み出されました。
第一の特徴はクラリネットを初めて採用したことで、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トラペット各2本の完全な2管編成をとっていることです。随所に管楽器の協奏的効果がみられるのは、マンハイムで活躍していた管楽器の名手たちから啓発されたものだと思われます。
完成後、6月18日に初演され大成功を収めたと記録されています。
ここでご紹介する第1楽章は全楽器のユニゾンで華々しく堂々と始まり、当時の聴衆への配慮がうかがえます。

交響曲 第31番 ニ長調 K.297(300a)/第1楽章 Allegro Allegro


photo:ラムサール条約登録湿地 佐潟(新潟市西蒲区)
余談
この時期にモーツァルトは父宛に長い手紙を送っています。その中でこの曲に関して次のように書いています。

それは聖体節〔1778年6月18日〕に演奏されて、大いに喝采を受けました。聞くところでは、『ヨーロッパ通信』にも、その記事が出ていたそうです。・・・・〔途中略〕・・・・・
あくる日は、・・・・〔途中略〕・・・・最初のアレグロのまん中に、これはきっと受けると思っていたパッサージュが一つあったのですが、はたして聴衆は一斉に熱狂してしまいました。そして拍手大喝采です。でもぼくは、書いている時から、それがどんな効果を生むかを知っていたので、それを最後にもう一度出しておきました。・・・・ 」

この内容から察すると、聴衆は曲の途中で拍手喝采していたようです。
今で言うと人気ロックバンドのノリノリのコンサートの様相だったのかも知れません。

現代では考えにくいですが、こんなコンサートがあっても楽しいと思います。

2013年6月26日水曜日

K.397 幻想曲 ニ短調

モーツァルトはピアノのためにソナタの他、変奏曲や幻想曲をいくつか書いています。
幻想曲は即興的な楽想を随所にもち、自由な構成で、テンポや調性を変動させるなどの特徴があるそうです。

このニ短調は自筆譜がないため、謎の多い作品です。作曲の動機や時期は不明なのだそうですが、一般的1782年に成立とされているようです。
短調の哀愁を帯びた旋律でとても人気の高い作品です。
おもしろいのは後半のアレグレット(4分の2拍子)の明るい曲想が唐突に現れるところです。アインシュタインは「最も高い意味で子供らしい、あるいは天国的」と評しています。
短調の非常に沈んだ曲の中でも、それに埋没せずにどこか客観視して『なんちゃってね!』とほほ笑んでいるモーツァルトの顔が私には浮かびます。

幻想曲 二短調 K.397

2013年6月25日火曜日

K.545 ピアノ・ソナタ ハ長調 第3楽章

第3楽章は明るく活発なアレグレット。
リズミカルで軽快に曲を締めくくります。

ピアノ・ソナタハ長調 K.545/第3楽章 Allegretto

余談
モーツァルトのピアノ・ソナタは技巧的にはあまり難しくないけれども、音楽として表現しようとするとこれほど難しいものはないとよく耳にします。
その音の少なさ・・・・無駄な音がひとつもないことが演奏者にとっては「ごまかし」が利かない怖さがあるのかもしれません。
時々演奏会で、ロマン派の圧倒的な音量と迫力に満ちたソナタを聴くのも刺激的で楽しいですが、普段自宅で聴くのはやはりモーツァルトが最高です。

2013年6月24日月曜日

K.545 ピアノ・ソナタ ハ長調 第2楽章

第2楽章はアンダンテ ト長調。
シンプルでゆったりとしたメロディが、微妙に色彩を変え移ろいながら流れて行く美しさには言葉を失います。
深い安らぎを感じさせてくれる楽章です。

ピアノ・ソナタハ長調 K.545/第2楽章 Andante

余談
K.545は ピアノ・ソナタ第16番? 15番?
モーツァルトのピアノ・ソナタはその時代の研究によって番号が違うものがあります。
このソナタも、旧モーツァルト全集(※)では第15番ですが、新モーツァルト全集では16番になっています。
モーツァルトの時代には、書いた曲がきちんとは残っていないため、ケッヘル番号もその版によって随分と違っているものがたくさんありますが、混乱を避けるため一般的には初版の番号が使われています。
ピアノ・ソナタも現在一般的には番号で呼ぶよりもケッヘル番号で呼ぶ場合が多いようです。
ベートーヴェンのようにきちんと番号が付いていて、「月光」とか「悲愴」などの名前が付いているのに比べると、ちょっと一般的には分かりずらいのは否めません。
※モーツァルト全集・・・国際モーツァテウム財団(国際的権威のあるモーツァルト研究機関)が刊行しているモーツァルトの作品全集で、旧版と新版(1954年~2007年刊行)がある。

2013年6月23日日曜日

K.545 ピアノ・ソナタ ハ長調 第1楽章

休日の朝はモーツァルトのピアノ・ソナタが似合います。
そのシンプルで精錬された美しさが心地よく体に響いて細胞が活性化されます。モーツァルトの音楽がもたらしてくれる比類のない感覚です。

そんな中でモーツァルトが「初心者のために」書いたことで知られる、ハ長調のソナタを聴いてみましょう。作曲されたのは1788年6月26日と作品目録に書かれていて、交響曲第39番と同じ日付になっています。
技巧的には初心者に配慮してあるそうですが、そのシンプルさが彼の音楽の魅力を一層引き立てています。
第1楽章は4/4拍子のソナタ形式で、音階を上下するメロディが特長的です。

ピアノ・ソナタハ長調 K.545/第1楽章 Allegro

2013年6月22日土曜日

K.216 ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調

新潟海岸(西区)からの佐渡遠望
モーツァルトはヴァイオリン協奏曲を主なもので5曲残しています。
そのうちの4曲(2番~5番)を1775年、19才の時に故郷ザルツブルクで書いています。
このように一時期集中的に取り組まれて以後は書かなくなったことは大変興味深い現象です。

モーツァルトのお父さんは高名なヴァイオリン教育者で、幼い頃から英才教育を受けたモーツァルトも自身名手であったようです。
一説によると父親から離れるためにヴァイオリン協奏曲を書かなくなったという説もありますが、真偽は定かでありません。
この第3番は前作の2番の約3ケ月後に書かれていますが、表現の幅が飛躍的に発展しているといわれています。
伸びやかなヴァイオリンの独奏とオーケストラがかけあいながら、いきいきとした楽章を構成しています。

ヴァイオリン協奏曲 ト長調 K.216/第1楽章 Allegro

2013年6月21日金曜日

K.201(186a)交響曲第29番 イ長調

モーツァルトは番号の付いているもので41曲の交響曲を残しています。
後のベートーヴェン、ブラームス・・・・等に比べると随分と数が多いですが、当時の交響曲は演奏会の序曲的な範疇にあって、現在のような主演目ではなかったようです。

この第29番はモーツァルト18才の時の作品で、その流麗で端正な出だしから聴くものの心を捉えます。
室内楽のような緻密で均整の取れた仕上がりで、イタリア的な明るさと気品のある快活さが全編を貫いています。
若きモーツァルトの金字塔的作品といえるでしょう。

交響曲 イ長調 K.201 第1楽章 Allegro moderato

2013年6月20日木曜日

K.452 ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 第3楽章

ピアノの軽快で愛らしいメロディーで始るこの第3楽章は広く親しまれています。
オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンとピアノの掛け合いが生き生きとしていて、室内楽の楽しさを満喫させてくれます。最後は冒頭のモチーフが華やかに演奏され曲を閉じます。

ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 K.452/ 第3楽章 Allegretto 変ホ長調

余談
後にベートーヴェンもこのK.452とまったく同じ編成の曲を1つだけ書いています。しかも同じ変ホ長調で。
これについてアインシュタイン(モーツァルト研究家:相対性理論のアインシュタインとは別人)は以下のように評しています。

「ベートーヴェンはこの曲を、自分のピアノ五重奏曲(Op.16)によって凌駕しようと欲するだけの価値のあるものとみなした。そしてこの曲に及ばなかった。モーツァルトがこの曲で、コンチェルト的なものとの境界線に触れながら、しかもこの線を踏み越えない感情の繊細さは、ただ感嘆すべきもので、凌駕しうるものではないからである。」
                  (アルフレート・アインシュタイン「モーツァルト その人間と作品」 p.362)

その結果、「ベートーヴェンは、モーツァルトには《凌駕する》余地はあまりないことを感じ、モーツァルトとの競争を避ける」ことになったという。ベートーヴェンに限らず、モーツァルトに肩を並べる作品を書いた作曲家を見つけることは困難のようです。

2013年6月19日水曜日

K.452 ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 第2楽章

第2楽章はラルゲット。ピアノの分散和音を伴奏として、管楽器の美しい旋律が次々とあらわれ移ろいながら終始ゆったりと流れていきます。

ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 K.452/第2楽章  Larghetto 変ロ長調

2013年6月18日火曜日

K.452 ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 第1楽章

自作目録の中で、モーツァルト自身が「これまでに書いた最上の曲」と考えていた曲として知られている五重奏曲を聴いてみます。
ピアノと4種の管楽器(オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット)という珍しい組み合わせですが、モーツァルトの手にかかると極上の音楽に仕上がってしまいます。
音色の違う個性的な楽器が見事に調和して絶妙なハーモニーを奏でています。
1784年3月、モーツァルトがウィーンで精力的に活動していた時期の作品で、モーツァルト自身のピアノ演奏で4月1日に初演され、大喝采を浴びたといわれています。

第1楽章はゆるやかで長い序奏ののちに、優美な主題がピアノで呈示され、それに続いて各楽器が次々とテーマを展開していきます。

ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 K.452/ 第1楽章 Largo - Allegro moderato 変ホ長調

2013年6月16日日曜日

K.488  ピアノ協奏曲 第23番イ長調 第2楽章

第2楽章は嬰ヘ短調、6/8拍子です。
モーツァルトの協奏曲の緩徐楽章の多くは「アンダンテ(歩くように)」で指定されていますが、この曲は珍しくアンダンテより遅い「アダージョ(ゆるやかに)」で指定されています。
シチリアーノ風のリズムにのり、静かで哀愁を帯びたピアノのソロで始まり、限りなく繊細で美しい楽章です。

ピアノ協奏曲 第23番イ長調 K.488/第2楽章 Adagio 嬰ヘ短調

K.488  ピアノ協奏曲 第23番イ長調 第1楽章

ピアノ協奏曲はモーツァルトが生涯にわたって書き続けた主要な作品ジャンルです。
番号のあるもので27曲が残されていますが、いずれも名曲の誉れ高い作品の数々が並びます。
特にこの23番イ長調はたいへん人気の高い曲です。全体に上品な明るさと気品を兼ね備え、聴く者の心を優しく包んでくれます。
 第1楽章は冒頭の柔らかいヴァイオリンの下降音形にすーっと心が引き込まれます。それからは全てのメロディ、和音、ピアノの独奏がまったくの自然な流れとなって滑らかな曲想を展開していきます。正に天衣無縫の世界です。
作曲されたのは1786年の3月、モーツァルト30才の円熟期の作品です。
楽器編成は、独奏ピアノ、フルート、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、チェロ、コントラバスとなっています。 トランペットとティンパニを欠き、オーボエの代りにいっそうやわらかな響のクラリネットを加えています。

ピアノ協奏曲 イ長調 K.488 第1楽章 Allegro

2013年6月15日土曜日

K.412 ホルン協奏曲 第1番 ニ長調

ホルンという楽器は牧歌的でおおらかな響きを持っていてとても好きです。
モーツァルトはホルンのために4つの協奏曲と1つの五重奏曲を残しています。
いずれも親しい友人であったザルツブルク宮廷楽団ホルン奏者のロイトゲープのために書かれています。
この曲のスケッチ譜には「さあ行け、ロバ君!」とか「ちょっと一息」とかいったいたずらっぽい落書きがあるそうで、ロイトゲープとモーツァルトがたいへん気のおけぬ仲であったことが推測されます。
曲は緩徐楽章のない未完成で、2楽章形式になっています。
ホルン独特の響きを巧みに生かした伸びやかな曲想はホルンの代表曲として広く愛されています。

ホルン協奏曲第1番 /第1楽章 Allegro (K.412)


ホルン協奏曲第1番 /第2楽章 Allegro (K.514)

2013年6月14日金曜日

K.423 ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 第2楽章

尾瀬のミズバショウを背景に、ヴァイオリンとヴィオラという珍しい組合せの二重奏曲をお送りします。

モーツァルトがザルツブルクに滞在中の1783年、かつての同僚、ミヒャエル・ハイドン(有名なヨーゼフ・ハイドンの弟)は大司教のコロレドから二重奏曲をつくるよう依頼されていました。しかし、ハイドンは当時病気でこれを果せなかったので、モーツァルトが代りに、このK423(&K424)を作曲して急場を救ってやったのだと、ハイドンの弟子が報告しているそうです。
ハイドンはこれらの作品を高く評価し、この総譜を生涯宝物として大切に保存していたといわれています。
ここでもモーツァルトの友人思いの人柄が表れています。

ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 K.423 /第2楽章 Adagio

2013年6月13日木曜日

K.136 ディベルティメント ニ長調

新緑の尾瀬・山の鼻 2013.6.8
ディベルティメントの語源はイタリア語の「divertire(楽しい、面白い、気晴らし)」に持ち、明るく軽妙で楽しく曲風であり、貴族の食卓・娯楽・社交・祝賀などの場で演奏されていました。楽器編成、楽章数は特に指定はなく様々で自由に書かれています。

先日聴いた晩年のK.563とは対照的なディベルティメントを聴いてみましょう。

K.136は1772年、モーツァルト16才の時の作品です。
若きモーツァルトの瑞々しい感性がほとばしり、エネルギー溢れる、文句なしの名曲。
おそらく誰もが耳にしたことのあるモーツァルトの曲の中で、最もケッヘル番号が若い作品かと思われます。

大変多くのCDが販売されていますが、ここでは弦楽四重奏版と弦楽合奏版の2種類の演奏を載せました。いづれの演奏も味わいの違った魅力があります。

■ディベルティメント ニ長調 K.136(125a) 第1楽章 Allegro

弦楽四重奏版


弦楽合奏版

2013年6月12日水曜日

K.563 ディベルティメント 変ホ長調 第6楽章

いよいよこの長大なディベルティメントも最終楽章に辿りつきました。
第6楽章 アレグロ 変ホ長調 6/8拍子。
全体はかなり複雑な構成になっているそうですが、冒頭のヴァイオリンで示されるロンド主題が軽やかで、伸びやかな安らぎを感じさせてくれます。曲の最後を飾るにふさわしい充実した楽章です。

ディベルティメント 変ホ長調 K.563 第6楽章 Allegro 変ホ長調

●写真:mari rose @ mari garden
余談
この K.563は本当に私のお気に入りです。
何度聴いても飽きません。晩年のモーツァルトの円熟した技巧と豊かな曲想、そして人生を達観したような憂いを感じさせる奥深さ。一生の友とも云える名曲です。

K.563 ディベルティメント変ホ長調 第5楽章


第5楽章はこの曲の2つ目のメヌエット。
出だしの和音がどこかのどかな趣をただよわせ、愛らしいさを醸し出しています。
メヌエット-トリオⅠ-メヌエット-トリオⅡ-メヌエット-コーダの順で演奏されされ、大規模なメヌエットを構成しています。

ディベルティメント変ホ長調K.563 第5楽章 Menuetto : Allegretto

2013年6月11日火曜日

K.563 ディベルティメント変ホ長調 第4楽章


第4楽章はアンダンテ。2/4拍子。文字通りゆったり歩くようなヴァイオリンとヴィオラのユニゾンで始まります。
主題と4つの自由な変奏曲で構成されています。
シンプルでありながら陰影に富んだ奥深さを感じさせます。味わい深い楽章です。

ディベルティメント変ホ長調K.563 第4楽章Andante 変ロ長調

2013年6月10日月曜日

K.563 ディベルティメント変ホ長調 第3楽章


第3楽章は一転して明るく活気あるメヌエットです。
この曲には2つのメヌエットがありますが、この楽章はアレグロで3部分より構成されています。
小気味のいい3拍子のリズムを基調に、ヴァイオリン、ビオラ、チェロの旋律の受け渡しが見事に調和しています。

K.563/第3楽章 Menuetto : Allegro 変ホ長調

K.563 ディベルティメント変ホ長調 第2楽章


K.563の第2楽章はアダージョ。
ゆったりとしたチェロの分散和音で始ります。
このテーマをヴァイオリンとヴィオラが受け継ぎ静かに息づくようにメロディーが流れて行きます。
途中で短調の翳りが見えた後、ヴァイオリンが大胆な2オクターブ以上の音の跳躍を奏で、胸を裂くような深い悲哀を感じさせます。

この頃のモーツァルトはウィーンを席巻したしたような人気も凋落し、経済的に困窮していたと伝えられています。そんな状況を救済してくれたのが、この曲を献呈したプフブルクでした。
彼への感謝の気持ちと同時に、モーツァルトの現実を覆う沈んだ雰囲気を醸し出し、作品に深い陰影をもたらしています。

ディベルティメント変ホ長調 K.563 第2楽章 Adagio 変イ長調

K.563 ディベルティメント変ホ長調 第1楽章



室内楽の最高峰ともいわれる、弦楽のトリオK.563の第1楽章を聴いてみます。
この曲はフリーメイソンの盟友で、しばしばモーツァルトの金の無心に応じてくれたウィーンの豪商、プフベルクのために1788年9月27日に書かれました。有名な3大交響曲を書き上げた時期にあたります。
通常の弦楽四重奏からヴァイオリン1本を除いた、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ各1本のめずらしい編成になっています。
全体は6楽章形式で、演奏に40~50分かかる大作です。
モーツァルトの円熟した作曲技法と、深みを増した人間性を感じさせる豊かな曲想は、正に「室内楽の最高峰」と云われるにふさわしいものです。

ディベルティメント変ホ長調 K.563 第1楽章 Allegro 変ホ長調