K.563の第2楽章はアダージョ。
ゆったりとしたチェロの分散和音で始ります。
このテーマをヴァイオリンとヴィオラが受け継ぎ静かに息づくようにメロディーが流れて行きます。
途中で短調の翳りが見えた後、ヴァイオリンが大胆な2オクターブ以上の音の跳躍を奏で、胸を裂くような深い悲哀を感じさせます。
この頃のモーツァルトはウィーンを席巻したしたような人気も凋落し、経済的に困窮していたと伝えられています。そんな状況を救済してくれたのが、この曲を献呈したプフブルクでした。
彼への感謝の気持ちと同時に、モーツァルトの現実を覆う沈んだ雰囲気を醸し出し、作品に深い陰影をもたらしています。
ディベルティメント変ホ長調 K.563 第2楽章 Adagio 変イ長調
この音楽に、気持ちをゆだねて行くとほんとに深い、おそらくは感情といったものさえ陳腐に思われるほど音楽そのものが完全に自立していて、音楽の持っている人に訴え得るすべてがふくまれている様な感じすらします。日常のなんでもないところにも転がっているなんでもないののにこの音楽で永遠性をもたらしめているような、言い換えるならば宇宙の起源から考えられないような偶然性の中で生きている自分といったものに照らし合わされていくような音楽これを聞くのは自分にとって至福のときなのかもしれません。
返信削除Nasubi Fripp様
削除随分前にコメントをいただいておりましたのに、とても深い内容に圧倒されて、返信のタイミングを逃してしまっておりました。深くお詫びします。
まだFripp様のおっしゃっていることを理解するには、私は力が足りませんが、これからも機会がありましたら、コメントお願い申しあげます。