2017年11月5日日曜日

K.173 弦楽四重奏曲(第13番)ニ短調

ウィーン四重奏曲の第6曲目は初期弦楽四重奏曲の中で唯一の短調で、有名なハイドン・セットのK.421と同じニ短調になっています。モーツァルトの23曲の弦楽四重奏曲の中で短調はこの2曲のみです。
作曲されたのはウィーン滞在中の1773年9月頃と思われます。アレグロ・マ・モルト・モデラート(アレグロだけど、非常に中庸なテンポで)の表記は父レオポルトによって書き込まれています。
ここで聴く第1楽章は2/2拍子、ソナタ形式で、第1主題は前打音のついた下行分散和音で、シンコペーションとオクターヴ跳躍によってとても個性的なものになっています。その後ユニゾンによる衝動的で不安定なモティーフが何度も繰り返され、内面的な揺れを感じさ、非常に緊張感のある密度の濃い作品になっています。


弦楽四重奏曲(第13番)ニ短調 K.173/第1楽章 Allegro ma molto moderato

<写真> ウィーン シェーンブルン宮殿の庭園

余談
このウィーン旅行の目的は、17歳になったモーツァルトの就職先を探すことでしたが、マリア・テレジアが権勢をふるい、ウィーン音楽界の重鎮達が鎮座していた環境では父の努力も実を結びませんでした。
モーツァルトの就職活動はその後も困難の連続で身につまされます。
そしてモーツァルトはこのニ短調の作品を書き上げた後に、再び弦楽四重奏曲を書くのは9年後の1782年のハイドン・セットまで待たなければなりません。

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