2018年11月28日水曜日

K.466 ピアノ協奏曲(第20番)ニ短調/第1楽章

弦のシンコペーションが静かに波打ち、暗欝な胸騒ぎを抱かせる流れに鋭く3連符の上昇音が切れ込み、一気に緊張感が高まる・・・そして独奏ピアノがニ短調の孤高の旋律を奏でながら登場する・・・この哀調を帯びた始まりの美しさには、何度聴いても心を奪われます。
作曲されたのはフリーメイソンに入会した翌年の1785年2月10日で、翌日の11日の予約演奏会でモーツァルト自身のピアノ演奏で初演されました。
当時の協奏曲は社交的で華麗な作風が一般的だった中で、この作品はデモーニッシュな要素を爆発させるような曲想で、全く新しい音楽の地平を開いたと言えると思います。
作曲に際してモーツァルトにどんな変化があったのかは推測するしかありませんが、内面的な何らかの衝動が彼を突き動かして、この曲の創作へと導いたのではないでしょうか。
記念碑的なこの作品は多くの人に愛され、ベートーヴェンもこの作品を愛奏し、第1楽章と第3楽章にカデンツァを残しています。(モーツァルト自身のカデンツァは、残念ながら残っていません。)
ここで聴く第1楽章は一般的なソナタ形式ですが、緻密な構成でピアノとオーケストラが一体化して壮大な交響的響きを生みだしています。

ピアノ協奏曲(第20番)ニ短調 K.466/第1楽章 Allegro (Cadenzas:Ludwig von Beethoven)
Link >> 第2楽章

余談ひふみんはモーツァルトがお好き
今週の「きらクラ!」では加藤一二三氏がゲストで出演され、本当に楽しく有意義な内容でした。
・名人戦の前にモーツァルトの戴冠式ミサを聴いて、肩の力が抜けてタイトルを取ることが出来た。
・対局の前にはモーツァルトを聴くことが多い。モーツァルトの音楽は「そのままでいいんだよ」というような安心感を与えてくれる。
・20連敗して苦しんだ時、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番を聴いて、「もう負けない」という確信的な自信が湧いた。
等々、同じくモーツァルトを愛する者にとって、我が意を得たりのお話の数々、本当に嬉しく感じました。
加藤氏もおしゃってましたが、モーツァルトの音楽には、その人本来のエネルギーを引き出してくれるような不思議な力があるように感じます。

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