2018年10月17日水曜日

K.457 ピアノ・ソナタ ハ短調 /第2楽章

第2楽章は一転して穏やかなアダージョ、変ホ長調のゆったりした旋律が流れ、心を奪われるような安らぎに満ちた楽章となっています。
ロンド形式で“sotto voce”(ソット・ヴォーチェ:ひそかな声で)という滅多に見ない曲想指示がなされた穏やかな主題が、エピソードを挿みながら3回ほど繰り返されます。そのつど優雅で華麗な装飾が施され、豊かな陰影を伴いながら変奏されていきます。楽章を閉じるコーダも細かな動きを伴って静かに終わります。
エピソードの中にベートーヴェンの「悲愴」の第2楽章に似たフレーズが出てくるのも興味深いところです。


ピアノ・ソナタ ハ短調 K.457/第2楽章 Adagio 変ホ長調

余談
「芸術の秋」真っ盛り。当地でも素晴らしい演奏会がいくつも開かれています。
私も今月は既に4回ほど足を運びました。
その中で特に印象に残ったのは、辻彩奈さんがN響と共演したモーツァルトのヴァイオリン協奏曲 イ長調 K.219「トルコ風」でした。
辻さんの演奏は初めて聴いたのですが、完璧ともいえるテクニックで伸び伸びと奏でられた旋律に深く感銘しました。私にとって何度か聴いたこの曲のベスト・パーフォーマンスでした。
辻さんはまだ20歳ということで、将来が本当に楽しみです。

また先日は当地のアマチュア市民楽団がバッハの「ヨハネ受難曲」を全編演奏するという、驚くべき演奏会がありました。
受難曲は私にとって非常に敷居が高く、今まで生演奏はおろかCDも通して聴いたことがありませんでしたが、今回初めて全曲を聴いて深い感銘を憶えました。
当日配布された手作りの厚いプログラムの対訳を見ながら聴いていたら、敬虔な信仰心を謳い上げる清浄な思いが、宗教的に門外漢の私にもひしひしと伝わって来て、心が洗われるようでした。今まで知らなかった新しいバッハの世界を垣間見た思いでした。
この演奏会を実現された、指揮者でチェンバロも演奏された八百板氏をはじめ多くの関係者に敬意を表します。そして、このような団体が地元にあることに大きな誇りを感じました。

4 件のコメント:

  1. 「芸術の秋」を満喫されておられるご様子。素晴らしいですね。

    私は機会に恵まれて仙台の「こだまっちさん」講演会に行ってきました。
    「こだまっちさんとはどんな人なのでしょうか」と、love mozartさんも関心をよせておられたことを思い出します。
     遠藤真理さんのhttp://www.endomari.com/ Instagram に、こだまっちさんの写真が掲載されていました。
     とても楽しい講演会でした。

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    1. かっちゃん様、コメントありがとうございます。
      仙台の講演会に行ってらしたんですね・・・・。
      私もいつかコダマッチさんの講演会に行きたいと思っています。
      近所に講演に来て下さるといいんですが・・・。
      真理さんのインスタのご紹介ありがとうございました。
      こんな素敵なサイトがあるなんて全然知りませんでいた。
      またよろしくお願いします。

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  2. アマチュアで「ヨハネ受難曲」全曲だなんて、すごいです。
    昔、あるラジオドラマのオープニングとエンディングに「ヨハネ受難曲」の第21曲と第1曲が使われていて、それが縁でこの曲を聞くようになりました。
    といっても、全曲はなかなか無理。
    きっかけになった2曲を何回も聞いては越に入っています。

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    1. BWV1000番様、コメントありがとうございます。
      「ヨハネ受難曲」はアマチュアといっても、みなさんほとんどプロレベルで、本当に素晴らしい演奏でした。新鮮な感慨に満たされました。
      2020年の3月には当地の東京交響楽団定期演奏会でマタイ受難曲が鈴木優人氏の指揮で上演されます。こちらも非常に楽しみです。

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