2017年4月2日日曜日

K.376(374d) ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 第1楽章

1781年の夏にモーツァルトは6曲からなるのヴァイオリン・ソナタ集、いわゆる「アウエルンハンマー・ソナタ」をまとめています。そしてこの曲集は年末にアルタリア社から「作品(2)」として出版されました。1778年に出版された「選帝侯妃ソナタ」以来の作品集です。
自立した作曲家として楽譜の出版も大切な収入源であったと思われますが、著作権が確立していなかった当時は、海賊版も横行していたためか、モーツァルトに大きな収入はもたらさなかったようです。
このK.376はこの曲集の第1曲にあたります。
第1楽章はフォルテの和音で始まり、これにヴァイオリンの柔らかい旋律が続いています。全体を通して簡明で生き生きとした楽章です。


ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 K.376/第1楽章 Allegro

<写真>近くの田圃のわき道に顔を出した土筆

余談
この曲集はアウエルンハンマー嬢(オーストリアの実業家アウエルンハンマー氏の令嬢ヨゼファ)に献呈したので、「アウエルンハンマー・ソナタ」と呼ばれています。
このアウエルンハンマー嬢は才能豊かなアマチュア以上のピアノ奏者であったようで、モーツァルトも高く評価していたようです。以後彼女との2台のピアノのためのソナタ K.448や2台のピアノのための協奏曲を共演していたようです。
この才能豊かな彼女はモーツァルトに心をよせていたようですが、モーツァルトは彼女に対して音楽以外には全く興味を示さず、むしろ嫌悪していたようです。
そのことは、1781年8月22日付の父宛の手紙にかなり辛辣に書かれています。
「……では娘はどうか。画家が悪魔を本物らしく画こうと思ったら、この娘の顔に助けを求めるほかない、と言ったところです。……」(岩波文庫「モーツァルトの手紙(下)」P16より引用)
モーツァルトが残した多くの手紙は、彼の音楽とは裏腹に世俗的でえぐい内容も多く当惑してしまいます。普通ここまで書かないよ……。

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