2017年12月16日土曜日

K.195(186d) 聖母マリアのためのリタニア

モーツァルトはザルツブルク時代に4曲のリタニア(K.109、K.125、K.195、K.243)を残していますが、その中からこの時期(1774年)に書かれた第3曲目のリタニアを聴いてみます。
この曲は、イタリアのロレートのサンタ・カーザの聖マリア礼拝堂の壁に刻み込んであったテクストによるため「ロレートのリタニア」とも呼ばれます。
5曲から構成されていて、前作から一段と充実した内容になっていて高く評価されています。
ここで聴くアニュス・デイは深い感情を湛えたソプラノの独唱で始まり、広い音域のコロラトゥーラを繰り広げるソロにコーラスが2回応答し、祈りの言葉で静かに曲を閉じます。


聖母マリアのためのリタニア K.195(186d)/第5曲 アニュス・デイ(神の仔羊)Adagio ニ長調

<写真>オーストリア デュルンシュタインの修道院教会にて

◆ 追悼 岩本賢雄先生 ◆
私の部屋にはいつも右のモーツァルト像が飾ってあります。
岩本先生から頂いたもので、イラストは先生のご友人の大関氏が描かれた作品です。
先生は高校で英語の教鞭を執ってらっしゃいましたが、音楽への造詣も非常に深く、赴任された高校で吹奏楽部を立ち上げ、ご自身で指導されて県下トップレベルに導かれました。また県下の高校文化部活動をまとめた組織を立ち上げられたり、そのご活躍分野は多岐に渡ります。
そんな先生とお会いできたのは、当地に以前あった「モーツァルト愛好会」という会の集まりでした。その会の中でモーツァルトの全曲をCDで鑑賞しようという企画が始まり、既に退職されていた先生が講師としてお話をしてくださいました。
スコアを片手にした各楽曲への先生の解説は、深い知識に基づいた、とても啓発される内容でした。また先生の語り口からモーツァルトへの愛情・敬愛の念が溢れ出ていて、私は先生のお話を聞くたびに心が暖かくなりました。
その会が事情で解散した後も、先生は個人で「モーツァルト全曲観賞会」を続けられて、数年をかけて全曲観賞を達成されました。その達成記念の会で、右のポートレートをいただきました。

その先生が今月の10日に他界され、先日お通夜に参列させていただきました。
以前より闘病中とは伺っていましたが、何度かコンサートでお姿を拝見していました。
先生に最後にお会いしたのは、7月21日の「前橋汀子 バッハ無伴奏ソナタ演奏会」でした。
当日開演前に近くの公園を散歩していたら、先生が池のほとりで休んでいらしゃる姿が目に入り、僭越ながら声をかけさせていただきました。先生の近況を伺い、私の近況もお伝えしてとても楽しい時間を過ごすことが出来ました。また帰りは車で先生のお自宅までお送りすることができました。
本当にお世話になりました。有意義なお話を沢山聞かせていただき感謝しております。
どうか天国で安らかにお休みください。

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