モーツァルトはザルツブルクの大司教の支配下で長く思うような作曲が出来ない環境から逃れ、1781年に独立した音楽家を目指す道を選び、ウィーンに定住したました。
溢れる才能を発揮しようにも、オペラを上演出来る劇場もなかった地方都市ザルツブルクを離れ、環境の整った音楽の都を根城にすることは彼にとって必然の道でした。
そして、ウィーンに定住してから最初に完成したオペラが、この「後宮からの逃走」です。
当時の皇帝ヨーゼフ2世はイタリア語ではなく、母国語・ドイツ語でのオペラを希望し、またモーツァルトも同じくドイツ語オペラを作りたかったため、台本はドイツ語で書かれたブレツラーのものを、モーツァルトの知人であったゴットリープ・シュテファニーが改編した版を使っています。
自立した作曲家として生活していくためには、オペラの成功は必須条件だと思っていたモーツァルトは、非常な情熱を傾けて作曲に臨みました。
その結果、青春の瑞々しい感性に満ち溢れた記念碑的な作品となりました。
このオペラは、当時ウィーンで流行していたトルコを舞台とした題材なので、序曲もピッコロ、トライアングル、シンバル、大太鼓が加わった、トルコ風の華やかな音色が疾風のように流れます。途中短調のアンダンテがはさまり、再びプレストに戻ります。
「後宮からの逃走」K.384 序曲 Presto ハ長調
≪主な登場人物≫
コンスタンツェ(ソプラノ)…ベルモンテの恋人
ベルモンテ (テノール)…コンスタンツェの恋人・スペインの貴族
ブロンデ (ソプラノ)…コンスタンツェの侍女
ペドリロ (テノール)…ブロンデの恋人でベルモンテの従者
オスミン (バス)………大守の後宮の番人
セリム (語り)………トルコの大守
≪簡単なあらすじ≫
スペインの身分の高い家の娘コンスタンツェは、航海中に海賊に襲われて捕虜になってしまい2人の召使い(ブロンデとペドリロ)と共にトルコの大守セリムに買い取られ、今は大守の後宮(ハーレム)に幽閉されています。
ベルモンテは恋人のコンスタンツェを救い出すために、大守の別邸に乗り込みます。
しかしそこでは番人のオスミンに妨害され追い返されますが、偶然会ったペドリロと脱出の計画を練ります。
宮殿の庭ではオスミンが今では女奴隷になっているブロンデに言い寄りますが、彼女は全く相手にしません。
一方大守はコンスタンツェに執拗に求愛しますが、彼女は頑として拒否するため、大守の我慢は限界になりつつあります。
そんな中、ベルモンテの救出計画は・・・・・・
◆余談◆
「フィガロの結婚」から2年ぶりにオペラを取り上げます。
オペラを扱うのは、私にとってはかなりハードルが高いのですが、オペラのないモーツァルトは考えられませんので、非力を顧みず書かせていただきます。不備も多々あろうかと思いますが、ご海容ください。
詳しくストーリーを追ったりすることはしないで、主なアリアをピックアップして、モーツァルトのオペラの楽しさを伝えられるようにしたいと思っています。
写真はオペラとは全く関係なく、ちょっと時期が遅れてしまいましたが、年末・年始に撮影した白鳥を主体に載せさせていただきます。この白鳥たちがみな北国に帰ってしまう前にフィナーレを迎えたいと思っています。
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