2016年11月9日水曜日

K.308 (295b) アリエット「淋しく暗い森で」

K307(284d)と対をなす作品です。
前作とは異なって、歌詞の内容によってテンポや調性が激しく変化する作品です。
歌詞はアントワーヌ・ウダール・ドゥ・ラ・モット(1672-1731)によるものです。
この対の作品は、モーツァルトの歌曲の中で初めて完全なピアノ伴奏パートを伴っていて、フランス語の歌唱とあいまって、豊かで繊細な表現に満たされています。

<歌詞大意>
さびしく暗い森で先日私が散歩をしていると、木蔭で愛の神(キューピッド)たる子供が1人眠っていた。
近づくと私はその美しさに引き込まれたが、それは、忘れようと誓った不実な女の目鼻だちそのものだったのだ。
彼は赤い唇をし、彼女のようなきれいた顔をしていた。
私がため息をもらすと、わけもないのに彼は目覚め、すぐに翼を広げると、復讐の弓をつかんで飛び立ちながら、私の胸を傷つけた。
「お行き、もう一度身をこがしにシルビィアのもとへ行くがよい。おまえは一生彼女を愛するのだよ。ぼくを目覚めさせてしまったから」。 (音楽の友社「作曲家別名曲解説リブラリー モーツァルトⅡ」より)


アリエット「淋しく暗い森で」K.308 (295b) Adagio 2/2 変イ長調

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